吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

甦るおきあがりこぼし

2012年06月21日 | モノ

皆さんも子供の頃、きっと見たことがあると思います。

驚いたことに現在でも造られていますAmazonおきあがりポロン
ただセルロイドのおもちゃはその可燃性が危険視されて昭和40年頃には無くなっているような
ので、現在のものは材質が違うのでしょう。

これは家内のもので、さらに上の世代から引き継いだようです。僕より年上かもしれません。
何度目かの引っ越しの時に破損したはずです。十年前にはすでに壊れていたように記憶して
います。
捨てようとしたのですが、家内の命令により修理することになって、ずっと保管していたのです。
後頭部が潰れていたのを直して、あとは接着するだけだったのですが、当時良い接着剤が見
当たらなかったので先送りにしたのです。
セルロイド製品は非常に肉薄で、首と胴の接着面は破断しているため、肉盛接着しなければな
りません。両手は剥離で接着面が見えないので気楽なのですが。
最近になって空気中の水分で固まる非溶剤系の万能接着材が出てきて具合が良さそうだった
ので、決行したのです。
接着という作業は、失敗すると確実に母材を痛めるので接着剤の選択には神経質になりたい
ところなのです。
まあほとんど忘れていたのですけどね。

僕も小さい頃この手のヤツをぶっ潰した記憶があります。うちは荒くれ男兄弟なのでね。
おもちゃとの付き合い方には「壊す」というプロセスが普通にあったのです。
あ、でも生まれて初めて買ってもらったミニカーはまだ持っています。

この状態で十数年、接着作業時間は数分。固定したらあせらず待つ。これがコツ。


後頭部には潰れた跡があります


揺らしてやるとポロンポロンと懐かしい音がします。おもちゃピアノと同じく金属棒を叩く音です。
セルロイドのボディは共鳴体として優れているようで良い音です。
あー、なんかすごく癒されるー。良いなあ。
起き上がりこぼしは何度でも起き上がる。当たり前だけど。しかもその度にきれいな音を立てて。
これは素敵だ。捨てなくて本当に良かった。

セルロイドは光で劣化するので、お日様は避けて保存しましょう。
管理さえ気を付ければ向こう数十年は大丈夫でしょう。
今度、首にリボンを結んであげよう。


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