傷物OK!
僕はプラスチック外装のスクーターやファミリーバイクがあまり好きではありません。
プラスチックの外装は、必ず壊れしかも交換パーツが高価であったり、欠品であったりするから
です。
ミニバイクはしばしば無料回収の対象になっていますが、これは機能的に使えなくなるというよ
りは、外装が痛んで乗る気がしなくなって不要になるということが多いと思います。
生産者にとっても、そういったことで買い替え需要が発生するというのは都合が良いのでしょう。
特に衝撃を与えなくても、劣化しだすと次々に亀裂が入ります。
いつまで経っても腐らないし自然に還ることもないけれど、劣化して割れたり、表面が荒れたり
はするという何とも厄介な素材です。
外装に大きなダメージを負うと、本人はあまり気にしなくても「割れ窓理論」的に悪戯され易くな
るようです。
キレイなバイクには手を出せないヘタレどもも少々痛んだバイクに対してはハードルが低くなる
ようです。
「どうせ大事にされていないんだから良いだろう」
と思うらしい。
それで、大事にしていたスクーターが外装パネルの破損を機に悪戯が増え遂には盗まれてし
まったことがあるのです。
僕はそのパネルを交換するつもりだったので、傷をそのままにしていたのです。
今ならネットで交換部品を探すのも容易なのですが、当時はまだそんな時代ではなくて部品の
捜索には時間がかかったのです。
プラスチック部品も物によっては、半田ごてで溶接の様にして直すワザがあるようですが、なか
なかキレイに直るものではありません。
軟質プラスチックは接着剤の効きが悪いことも多いのです。
ああしかし、先人の知恵と趣味性には心よりの尊敬を奉げたい!
陶磁器の繕いの技法には、傷を消すワザの他に、傷を楽しむという考え方があるのです。
代表的なのが「金継ぎ」
割れた器を漆で接着し、あえてその傷を金で目立つように仕上げる技法です。
傷を偶然性の産物の文様と解釈するわけです。
このマイナスをプラスに変える発想の転換は素晴らしい!
損傷の面積が広い場合、「蒔絵直し」という技法もあります。
損傷部分に蒔絵を描いてしまうというミスマッチ、カオスの美です。
参考サイト
下の方に蒔絵直しがあります、また他のページにも金継ぎを含めいろいろな直しの技法があり
ます。素晴らしいです。
割れたプラスチックをつなぐのに、針金で結ぶという方法が古くからあります。
これもその原型のような技法があります。
青磁茶碗 銘馬蝗絆(せいじちゃわん めいばこうはん)
鎹(かすがい)で磁器を継いでいるのです。しかもその鎹が錆びるのも風情としているのですね。
我が「ふくらはぎ号」にも、前オーナーの手になる補修跡がありました。
亀裂が広がっていたようなので、同様の手法で補強しました。
別の場所の亀裂も同様に補修しました。
傷を消すという価値観を唯一のものとせず、傷を楽しみ味わうという視点を加えると、プラス
チック外装のバイクともうまく付き合えるような気がします。
次は金継ぎ風の補修をやってみようかな。
〆は 徒然草 第137段 花は盛りに
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ドリルで削孔してクラックの進行を止めて、ステンレスワイヤーでステッチ、振動防止のために裏からコーキングでシールしています。
ハンダで修理する場合は他の部品で共材のランナーを造ってクラックの裏にV字開先を開け、ランナーを溶かし入れるようにするとよいです。
開き防止にホッチキスの針をいれるのも効果的です。
でもいっそトタンで造り直してスチームパンクっぽいスクーターってのもいいかも(笑)
実は、最近増えてきた空気中の水分で固まる肉やせしない万能接着剤
を使った修理方法をテスト中です。
外観をほとんど目立たずに簡単に修理できる予定です。
今まで長々と書いてきたことは何だったんだ! みたいな。
ふくらはぎ号の外装パネルを磨いている間、ネイキッドな状態で使っ
ていたのですが、意外と見た目が悪くなかったのです。
そう、脱いでも結構いけるんです。