人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

『六道輪廻』初本読み

2009年03月03日 | 舞台
 先週の金曜昼過ぎ、山懐という言葉がふと浮かぶ風景、吉野連山を
横切って一路伊勢へ。京都回りで今年3度目の集中稽古に入る。
 三日間のハードな稽古に神経を磨り減らしたが、皆の成長を確認出来て
頼もしい想いも持った。

 役者としてはまだまだ一進一退だが 組織として、また創造集団として、
劇団伊勢は夫々の特質が鮮明になりつつある。節目を迎えた劇団伊勢に
立ち会える事に、20年を共にしてきた感慨を感じる。そして改めて、
敦賀市民劇団を続けていく意義を確信した。

 市民劇団も今節目を迎えている。少数ながら質の高い団員が結束を固め、
未来に夢を繋ごうという自覚にようやく目覚めてきたように思うのだ。
 抗生薬が、飲み切らねば効かないのと同じに、兆しが感じられる今こそ、
手を弛めず努力を続ける時期だと思う。
 ともすれば楽(らく)したいと思ってしまう怠慢な自分に、そう言い聞かせ
ながら、帰途についた。

 さて、火曜はひな祭り。忙しくて玄関の飾りは恐竜たち(3年前に勝山
恐竜博物館で買った、優れもの!)のままだ。
 朝6時前に起きて、すっ飛びで駅へ。電車がない?!時間を勘違いしていた。
 仕切り直して7時4分の電車で東京へ。

 まずは、不思議人Mr.時広氏のアトリエで、6日の松江での舞台の衣装合わせ
と打ち合わせ。ついでに美味しいブランチをご馳走になった。
 彼は洋食でと思っていたのを、私のわがままで「絶対米!和食で!!」と
無理をお願いした。お料理も手早く上手な方なのだ。

 ただ私は、大復活した花粉症のため味はほとんど分からずじまい。免疫が
出来たとうそぶいていたが、今年はあえなく降参だ。でも目に来てないのが
有り難い。
 
 衣裳はもう、完璧に美しいものばかりで大満足。こんな素敵な衣裳を芝居
で着せてもらうのは、私の場合奇跡に近い。時さんとの仕事ならではだ。
 気を良くして5日の再会を約し、次なる仕事へ向かった。

 場所は野村萬斎氏の稽古場「よいや舞台」。15分前に着いたが、萬斎氏を
除いて、ほとんどの関係者は既に集まっていた。

 橋掛かり付きの立派な能舞台のある部屋である。一応足袋は用意したが、
今日は初本読みのみ。萬斎氏がやってきて役者・スタッフ・制作者らの
紹介の後、本読み開始。

 滑らかなしゃべりの若村さん、一言一言を確認するように素読みなさる
麻実さん、腹に響く低音の萬斎さん、静かに小さく語る万作さん、そして
他の若い女優さんたちや子役、狂言師たちもなかなかだ。

 私は花粉で喉と鼻がやられ、ひどいガラガラ声だったが、後半に出てくる
「息子を喰おうとする老母」の役だけが台詞ありなので、実にピッタンコ。
喜ぶべきか、へこむべきか・・・。役としては、一番興味のあったコロス役
がメインなので、同じくコロスの狂言師たちや若い女優さんたちとどう創って
いくか、今から楽しみだ。

 スタッフの中の振付師の名前をみてビックリ。30年近くご無沙汰していた
森田先生ではないか!?お顔を拝見してまたビックリ。面影はそのままだが、
白いものが目立ち、パッと見では全く分からない。思わず「森田先生?」と
声をかけたら、懐かしい表情がニッコリと笑いかけた。

 名刺交換して歳月の長さを噛み締めた。彼の振り付けなら安心だ。モダン
ダンサーながら地に足の着いた和の感覚をお持ちで、私は大好きだった。

 萬斎氏は、子役を意識して平易な話し方をなさり、分からない事は分からない
と素直におっしゃりつつ、演出のイメージはハッキリと伝えて下さった。
 楽しくなりそうだ。アニメーション・キャラのような絵が浮かぶ。衣裳も
奇想天外なものになりそうだ。だが、設備があまり整ってないホールで初日を
開ける為、なるべく人力で頑張りましょうとおっしゃる。この点は『蕨野行』
も同じ。

 鳴り物、新しい音楽、鍛えられた体と豊かな発想力。それらを武器に、
どんな舞台が生まれるか、本当に楽しみになってきた。
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