初日祝い

　大好きなオリオン座が輝く夕べの夜空は、格別の美しさだった。
　今日は雨交じりの強風が吹いて寒い。

　文学座の『越前竹人形』が、今夜初日を迎える。
　水上勉独自のシンプルで美しい世界観が、観客の心を打つだろう。そうあって欲しい。

　友人も本日、織物教室展の初日を迎えた。
　根気のいる手作業の成果である作品たちは、慎ましい彩（いろどり）と触感で、目と心を和ませてくれた。

　規模の大小にかかわらず、目標地点“初日”に着地させるエネルギーに敬意を表す。

　日本の偉大なる古典小説『源氏物語』54帖は、書写するにも翻訳するにも膨大なエネルギーと年月を要する。
　中身の濃さは世界一。
　人間探究をここまで面白く、老若男女ともに深く共感させる作品にした紫式部は怪物だ。
　その根気、情熱、鋭い観察眼。

　他人様がみな偉く見える、秋の夕暮・・・。
　
　
　＜新幹線の車窓から撮った冠雪前の富士山。
　　天変地異がこの美しいシルエットを変えてしまうのか＞