中国近代詩における文学と国家
風と琴の系譜 捷 著 御茶ノ水書房 定価(本体4600円+税)
中国近代詩人たちの「風(国家への意識)」と
「琴(個人精神の自由)」に引裂かれる
文化的アイデンティティーの葛藤の軌跡
【本書の内容】
序 章 中国近代詩における風と琴の系譜
第一章 新詩詩論における「人格」言説
第二章 「愛国」と「文芸」のはざまでー聞一多と精華圏の詩人たち
第三章 一九二〇年代中国におけるタゴールの受容と聞一多の格律詩
第四章 穆木天における「国民文学」の試行ー女性・カフェ・故国と象徴詩
第五章 二つの国家に翻弄された詩人ー江文也
終 章
付論一 歌われる女性と伝統
付論二 陶晶孫の描いた女性たちー都市の記号及びアイデンティティーの象徴として
詩人の感情はもともと静かな琴のようで、様々な風がそれに吹きつける時、自然に様々な音の波紋を作り出すのだー梁実秋
詩人は一枚の蓄音機の音盤であるべきである、鉄針がそれに触ると直ちに響くようなー聞一多
私は蘆葦である。その時、一陣の名も知らぬ奇異な風が私に吹きつけ、意外にも音を発したのだ。風が吹きすぎると私は沈黙する私は一本の笛或いは一つのラッパにはなりたくないのだー何其芳