2018年5月16日
エドガー・ケイシー療法でのマッサージ
聡哲鍼灸院 遠藤聡哲
1. ケイシーのリーディングにおけるマッサージ
・ ケイシーはマッサージとオステオパシーの重要性をリーディングで説いていた。
・ マッサージは体液のコントロール、とりわけリンパ管の流れを良くし老廃物の排泄を促すことで重要であり、オステオパシーは神経系の流れを良くすることで重要。
・ なので「オステオパシー的マッサージ(オステオパシックマッサージ)を勧めた。
・ その方法は背骨を中心に脊柱の両側をオイルマッサージするものであり、目的は自律神経と中枢神経の協調を取ることである。
ケイシーは自分より15歳年上の同じケンタッキー州出身で後にオステオパシーを創設するA.T.スティルと出会う。スティルはもともとは西洋医学の医者だったが自分の息子を伝染病で亡くし、そこから「筋骨格系のバランスが健康維持にとても重要ではないか?」と気付きオステオパシーという手技療法を作った。この一部の技法を取り出して作ったのがカイロプラクティックである。オステオパシーはアメリカ医学界ではすぐに有効だと認知され、以降オステオパシーを行う医師はDo.Oとされ薬の処方箋も出せ一部の州では外科手術もできる。ケイシーのリーディングでは圧倒的に多くの場合でオステオパシーをせよ!と出てくる。
ケイシーはリーディングで「ハロルド・ライリーに会いに行け」と指示される。ハロルド・ライリーはニューヨークのロックフェラーセンターで施術を行っているほどのもっとも有名な日本では理学療法士に相当する人物であった。ケイシーとライリーは過去世でエジプトで同僚だったとされる。ケイシーが亡くなったあともライリーは30年以上長生きし、その後自分のクリニックをマッサージスクールとしてケイシー財団中に作った。
2. ケイシー流マッサージで使うオイル
(ア) 3つのオイル
① ピーナツオイル 筋骨格系に。 関節が痛い、
関節炎がひどい時にはピーナツオイルだけ、でも勧めた。これはヨウ素の濃度がほかのものより高いからと思われる。
② オリーブオイル 粘膜系に。 皮膚などの疾患に。
③ ひまし油 免疫系に。
マッサージにはピーナツオイルとオリーブオイルを半々に混ぜたものが最も多く勧められた。
ただこれには若干の皮膚刺激があるため、これにラノリンを全量の5%加えるように勧めた。ラノリンとは羊毛脂ことである。羊の毛には水をはじくために毛に油が付いている。これをこそげとると焦げ茶色の松脂のような脂が取れる。この油膜成分のことである。
(イ) そのほかのオイル
④ 樟脳オイル(=傷跡用オイル)
自作する。天然樟脳:オリーブオイル=1:4として樟脳成分20%のオイルを作る。これを傷跡ややけど、側彎の背骨などに塗る。正常細胞と傷になっている部分の境目の際に塗布することがポイントである。「樟脳を感じ取ると細胞は本来の形に戻ろうとする」とリーディングは伝えている。傷が若ければ半年、10年物など古ければ樟脳オイルを塗っても数年かかるだろう。しかし「傷跡は無ければ無い方がよい」とリーディングは伝えている。細胞は時間が経過していても時間を掛けて修復できるのである!
⑤ 夏場用オイル
ピーナツオイルとグレインアルコール(醸造用アルコール。「いいちこ」が良い)を半々混ぜて自作する。
塗布した後清涼感があり夏場にとても良い。
3. ケイシー流のマッサージの目的
① リンパの流れの改善 ②自律神経と中枢神経の協調
- リンパの流れの改善を図る
リンパ管は神経を支配を受けて、いくらか収縮する。リンパ管はとても重要な排泄経路であり、これが滞ると浮腫(むくみ)となる。マッサージを行うことでリンパの流れが改善される。
- 自律神経と中枢神経の協調を図る
背中の脊柱の際には交感神経節が一本の線で繋がった交感神経幹が存在する。この神経幹、神経節を通って脳から各臓器に指令が行き、また末梢からの感覚神経が脳に感覚を伝える。通常トラブルを起こしているのはこの交感神経であり、これをなだめるマッサージを脊柱の際に行うことで自律神経と中枢神経の協調を図る。
4. ケイシー流のマッサージテクニック
・ 棘突起(きょくとっき)を中心に左右3cmくらいのところに感覚神経のピークがある。直径3cmの円を想定し、らせん状に首から腰に向かってサーキュラーモーションでマッサージする。この時、上は頸椎3番あたりから下は尾骨近辺まで行うと良い。
・ 円を描くように指先を回すが脊椎から離れていく(出ていく)半周は強く、脊椎に戻ってくる半周は弱く力をいれる。この時、両手を重ねた方が受ける方は気持ちよい。
・ 両手で左右同時に噴水を描くように行っても良い。
・ 脊柱の際の片側を頭の付け根(頸椎3番あたり)から尾骨に向かって同側3回行う。尾骨まで行った手を身体から離さず密着させた状態で首の付け根のマッサージ開始部分まで手を滑らせて戻し、再度スタートする。(手を離すとマッサージを受けている人が不安になる)