虹のじ ゅもん

当ブログを訪れた人には「夢が叶う」という呪いがかかる。

猫をかわいがったら呪いはさらに強力になるであろう。

音だけの花火

2020-07-08 | 
音だけの花火

都会の花火は音ばかり
高い建物に阻まれて
何も見えない

だから
膝を抱えて目をつぶり
まぶたの裏に
記憶の中の花火を見る

隣には幼友達があの頃のままで
はしゃいでいる
友達の浴衣は紺地に朝顔
私の浴衣は白地に朝顔
ちょっと似てて
ちょっとちがう
大きな音がするたびに
猫がおびえた鳴き声をあげ
近所の犬が遠吠えをして
飼い主にしかられる

振り返るのは好きじゃないけど
楽しい記憶を反芻して
明日の力にする
幸せな記憶は
生きる希望になる

(金澤詩人16号に掲載していただきました)

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4 コメント

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Unknown (なっち☘️)
2020-07-09 12:00:44
何て素敵な詩!と思ったら、入選作だったんですね✨
情景が目に浮かぶし、とってもとっても強く共感しました。
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なっち☘️さん (虹のじゅもん)
2020-07-09 19:16:58
入選というか、入賞候補作のうちの一つということだと思います。
今年は花火大会、ないのかなあ。
なんだか、寂しい2020ですね。
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音だけの花火 (onecat01)
2020-07-09 23:00:31
 虹のじゅもんさん。

 音だけの花火とは、そういう意味だったんですね。今は遠い、幼い日の追憶の花火でしたか。

 この詩に込められた切ない郷愁を、ちゃんと汲み取られた「金沢詩人」の選者の方にも、敬意を表しました。

 幸せな記憶は
 生きる希望になる

 最後の言葉は、貴方ならではの感性であり、誰もが胸を打たれます。これからも、胸に届く詩を、全国に発信してください。その分だけ、日本が正しい方向へ戻されるような、そんな希望が湧いてきます。

 良い詩を、ありがとうございます。
返信する
onecat01さん (虹のじゅもん)
2020-07-11 07:29:08
日立には高い建物がないので、花火の音がすると、どこかな、とベランダにあがってさがしました。
都会では音ばかりで何も見えません。
それでも、記憶がありますからね。
楽しいことは、きっとまたあると思いながら暮らしています。
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