のり巻き のりのり

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火定(かじょう)を読んで 

2021年08月15日 | 読書
ドジです。ついうっかり同じ記事だと思って消しちゃったんです。
 
そもそも私はあわてん坊のおっちょこちょい。
 
今までも失敗ばかりしてきましたから。
 
職場でも大事な資料を消してしまい、叱られたことも。
 
気を取り直して再記しますが、もう読まれた方はスルーしてくださいね。
 
「火定(かじょう)」この本、私は2日間で読みましたが、読みでがあります。
 
時は天平年間、光明皇后が設立した悲田院(孤児院)、施薬院(庶民のための診療所)が舞台です。
 
遣新羅使節が持ち帰ったであろうと思われる、疫病が奈良の都に蔓延するのです。
 
疫病は裳瘡(もがさ)今で言う天然痘。
 
まさにパンデミックです。
 
施薬院で働く医師が懸命な手当をするのですが、都の人口の三分の一が命を落としたという恐ろしい疫病。
 
当時の人々が何を考え、どんな生き様、どんな死に様をしたのかが生々しく書かれています。
 
1300年前のことを書いていますが、実は現在のことを映しているのかと思います。
 
なぜなら、そこには、官民の確執や乖離、身分差や貧富の差による命の重さなど、現代にもそのままあてはまることが書かれているのですから。
 
物語の中心となる医師たちが立ち向かうのは、目に見えない敵です。
 
それは、人間の心との戦いなのです。
 
場面が進むにつれ、のめり込んで読みました。
 
最後には涙が出ました。医師かくあるべきかと。
 
ストーリーの展開がおもしろいのと、私は漢熟語がたくさん出てくるのも好きでした。
 
覚えることも使うこともできないだろうけれど、こんな言い方があるんだと、楽しみながら読みました。
 
今は軽い言葉が流布しすぎていますから、そんながっつり言葉がかえって新鮮に思えたのかもしれません。
 
多少歴史的要素に理解がある人なら、ぜひ読んでみてください。今だからこそ。
 
1300年前も、命について真剣に考えた人がいたのでしょうから。