こんばんは。
夫が荷物を引き上げに行った。施設、いわゆるサービス付高齢者住宅へだ。
そのために車を借りて行ったのだが、帰りは少し遅くなってしまったこともあり、
少し荒い(スピード的に)運転になったようだ。
今の車は「安全運転を心がけてください」などとお説教するらしい。
姑とこはその施設よりもさらに遠方の病院に入院中だ。
一か月以上は入院となると言われている。
そこで施設の荷物を引き上げ、解約しておいたほうがいいという判断だ。
一旦、食事を摂らずに脱水症状となってしまうと、ひと月以上も入院となるとは、
私たちは相当、認識が甘かったのだ。
点滴では水分しか補給できない。
もともと今年の初めにきいた診断結果でも、「脳内の血流量が落ちている」と言われており、
身体の機能には問題がなくても、「食べなければ」とか
「ここに気をつけて身体を動かさなければ」といったことは出来ないみたいだ。
入浴の時に戸惑っているというか、上手く出来ないでいる、不器用だと感じさせることが
あったのを今更ながら思い出す。
施設に入った後の とこ は、無気力だし、常に被害者意識が拭われなかった。
見ていると、「老い」ではなく、「寂しさ」が とこ の「モノに対する執着心」を取り払って、
食欲や生きていく力を失っているように思う。
かつて。
こっそりと打ち明けるように「すごくいい指輪を持っているの」と言っていた とこ。
「これね」と弾む気持ちが溢れ、大切なモノの入った箱を開ける とこ。
お友達から「お嫁さんから買ってもらったのって自慢してたわよ」と、
私がプレゼントした雨の日用のショートブーツの話をされたあの日。
とこ は食べるものに対しても、おざなりなチョイスではなかなか「美味しいわね」とは言わない。
「あそこの●●はね、もっと美味しいの」と、何のてらいもなく、言う。
たくさんの素敵なモノたち、美味しいものの話。
それが、とこ だった。
昨年の12月半ばに、これは一人にしておけない、とこちらに来た時に、「なんであんなに要らないものばっかり…」と力なくつぶやいて、反省ばかり。
そして、鍵を開けるのも、薬を扱うのも、見ているこちらがもどかしくなるような手つきだった。
しかし、キッチンの流しの食器類を洗ってくれて、洗ってもらっていながら僭越だが、
特にこれといって問題もみあたらないと、「普通だよなぁ」と思ってしまっていた。
…それが3月の初旬に「脱水症状で入院」「もはや週末のフェーズに入っている」だ。
にわかには、受け入れがたい。とりわけ息子たる夫には。
私自身、肉親の衰えに対して、怒りを覚えたことがあった。
実家の父が入院した際、父の職場である個人事務所へ行くと、
以前と違って母が手伝っていないこともあり、好きなようにしているのだろう、
雑然としているのを見て、姉と一緒に憤慨し、声高に二人で言いつのった。
今まで、父は「片づけろ」と私たちに怒鳴っていたのに、このざまは一体なんなんだ、と。
母親の、おぼつかなさ、お金の管理のことも含め、それらが
夫の中に言葉にならないような怒りになって、まだ今もあるけれども、
荷物を整理したり、そのほかもろもろのことで、手続きをすすめなくてはならない。
だから彼は今日、「お母さんも一緒に戦ってね」と言ってきたのだそうだ。
親の老いをみて、自分の行く末のことも思いを巡らせられる。
自分を奮い立たせている。。
とこ が、夫が、少しでも、柔らかい心でいられるようになればいいな。
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