建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

大島秀明,天野克也,浅沼由紀,谷口汎邦:高齢者の外出行動と座りスペース利用に関する研究

2012-03-16 16:13:53 | 書架(高齢者関係)

高齢者の外出行動と座りスペース利用に関する研究

—品川区の場合—

大島秀明 天野克也 浅沼由紀 谷口汎邦

日本建築学会計画系論文集 (563),171-177,2003-01-30

 

1、       研究の背景と目的

全国各地において従来から、歩行行為と座り行為を同時に捉えた歩行者空間の計画は少ない。特に歩行者の外出においては、若い世代と異なり長時間の立ち歩行行為が困難であり、外出頻度が減少する場合には身体機能の低下や社会的交流機会の減少等、様々な問題が生じる可能性が考えられる。

本研究では、高齢者に対する座りスペースの必要性に着目し、高齢者の外出行為と座りスペース利用の実態及び座りスペース利用の外出行為への影響を捉えることを目的とする。

 

2、       外出行動の実態

外出頻度と外出時間に関しては、年齢よりも歩行状況による差が大きい。しかし、歩行が不自由な人でも週2,3回以上外出している。外出場所(目的)については、年齢、歩行状況に関わらず、散歩、買い物による外出が多い。他の外出場所についてはより高齢者な人ほど図書館利用が増え、病院等への通院は歩行が不自由な人、高齢者な人ほど比率が高い。

 

3、       外出時座り行為の実態

徒歩の場合は公園等の散歩道の椅子、乗り物利用の場合は駅の椅子の利用率が高い。歩行に不自由のある人は、不自由のない人に比べ、道端の縁石等の利用率が高く、座りスペースがないために利用している事が考えられる。

座りスペース設置に対する重要度評価は、年齢による差はみられず、公共施設内等においては重要であると評価した。しかし、歩行が不自由な人の方が重要度評価は高く、歩行の不自由な人に対する座りスペース整備の必要性を確認した。

 

4、       座りスペース整備による外出意向への影響度

歩行が不自由な人、より高齢な人ほど影響度が大きい。「お休み石」を実際に利用することは、外出意向に対して影響度が高く、外出促進の効果が期待できると考えられる。

 

5、       まとめ

「お休み石」等の具体的な座りスペース整備事業の高齢者に対する外出促進への有効性と、高齢者の生活圏内における適切な座りスペース整備の必要性を示したと考える。

公共空間における座りスペースはバリアフリーに関する条件とともに、今後の高齢化社会を前提とした街づくり計画等において欠かせない条件の1つであると判断できる。

 

6、       感想など

座りスペースがある事は、外出を促進することは結果からでているし、それは高齢者にとって休むためだけのものでなく、交流の場であり、生きがいに繋がるものだとも考えられるので、そのような大切な場をどのようにすることでより良い空間が提供できるのか、もっと広げて考えてみたくなった。

 

(秋山慶斗)


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