最近、嵩上げ田んぼが増えましたが、ああいう基盤工事をすると、伝来の畔の植生が失われるそうです。
普通、自然に元に戻ると、誰もが思っている事ですが、しかし、それは単なる、思い込みでした。(私もそう思っていた)
うちの近くも、嵩上げ田んぼにされて、農地整備された地区があります。
そこはやはり、前に見えた従来の植生は見えません。
こうした農地整備をした畔は在来種は消えてしまい、牧草植物のような草が生え広がります。また、外来種が入り込みやすくなることも分かっています。
それが、十年経っても、二十年経っても、まだ変わらないようです。
そこで、タイトルでも書きましたが、畔は大事、農地整備された畔は、先祖伝来の植生が生えない、なのです。
こうした畔にも絶滅危惧種が生えていました。
水田の畦畔を再生するには、いろいろ方法を見ますが、表土の移植や種を撒く方法などが研究されているようです。
表土の移植は一番確かですが、かなりの工事になります。
在来種を撒くってのも、その前に用意しておかねばならないです。
何にせよ、元がないと生えないので、表土を残す、近くに在来種があること、などが、畔の植生を残す生命線となります。
これは田んぼの畔だけでなく、道路工事の法面、ダム工事、メガソーラー、ゴルフ場、川や池などの植生にも言えることです。
だから畔だけの話ではないのですが、昔の畔には絶滅危惧種が多く生えていたので、タイトルに畔、ということにしました。
また畔を含めて、土のこと、表土の件はあとでこれからもやります。
まあ、この畔、また表土も同じなのですが、だいたいにして、がーと工事してしまうと終わりなのです。
表土は、その土地の種や苗木の子供の保存場所になっているのです。
夏の花、オシロイバナ。これもうちの周りの畔では生えてません。
もう、うちの周りでは見られない花になってしまいました。(2,3キロ先に見つけたので、目星はつけています)
最近、ドイツなどの生態系ネットワークを調べているのですが、この畔ってのも、生態系ネットワークでは、回廊とかパス、コリドー、経路と呼ばれる役割をしています。
また、こういう何でもない場所でも、植物の重要なハビタット(生息域)になります。
ドイツでは、こういう部分をラインビオトープ、一つの生息地とも見ていて、虫たちの重要な生息地(ハビタット)にしています。
コアエリアとエリアをつなぐ回廊の役目もさせています。
石垣、石積みの畔や田んぼの斜面がありますが、あれも生態系や植生もあり、大事なハビタット、コリドーとしています。
日本もこの畔、元に戻していくと良いと思いますね。
新設でなくて、昔の復元なので、もともとあったものの復元、自然再生になるので、新たなリスクが生まれるものでもない。
自然の草地として、虫たちの生息地として、緑の回廊、森と森、ビオトープ、川、沼、湧水部などをつなぐコリドーなどとして活用できます。
水路の連続性の再生とともに、生態系ネットワークとしてつなげたら、さらに良くなると思います。
それに、昔ながらの畔ってのが、なんだか私は懐かしいのです。
オミナエシ。
和歌でも出てくる我々は古代から馴染んだ花ですが、これも。ぜんぜんうちの周りでは見られません。
女郎花 秋の野風に うちなび 心ひとつを たれに寄すらむ
菅原道真を左遷した藤原時平の和歌です。
ウツボグサ
季節折々の野生の花が、畔に咲いていたらとても、心安らぐと思います。
それが、田んぼの畔ってだけで、人々はどこでも見れるのです。
またもとに戻したら・・・たぶん。
ミゾソバ。
どういう植物が生やすか、ですが、そこには周りの水の環境からも影響を受けていることも関わって来ます。
田んぼや水路からの水の供給がどうなっているかも大事なようです。