環境省の自然共生サイト30by30の感想:
正直に言いますと、良い思いはしませんでした。
ニュースにもなりました。
自然共生サイトを初認定、環境省「トトロの森」など122件
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2023100601000829
サイトはこちら。環境省 自然共生サイト
中には良いと思う場所もありました。
しかし、企業の森、里地、市街地の緑が多い印象です。
目指す3割のうち、20%は「景観」の国立公園、狩猟区の「鳥獣保護区」です。
これでは、断片化したままですし、企業の敷地などは、改変された自然が自然として残るでしょう。
以下に問題点を挙げて行きます。
・EUの生息地指令のような、重要生息環境の生息地の確保がない。
EU生息地指令では、重要ポイントとなる生息環境が指定されています。
哺乳類、爬虫類、両生類、魚類無脊椎動物、植物を含む 1000 種を超える種と、230の特徴的な生息地タイプ
簡単に上げると、
沿岸および塩性植物の生息地
海岸砂丘と内陸砂丘
淡水域
低木林
自然および半自然の草原
湿地、沼地
岩石地や洞窟
森林
など。
これが、絶滅の危機に瀕しているか、まだどれほど残っているか?という「生息地のレッドリスト」も発行もされています。
「森林」も、EUでは温帯、寒帯、高山、照葉樹林、針葉樹林などと分けて把握して取られていますが、日本はそういう森を分けて取ることもしていないようです。
・それぞれの種からの保護がない
上に加えて、鳥類指令があり、一応すべての野生の鳥は守られる前提で、リスト種の生息地を良好にするようにしていますが、日本は、このそれぞれの種類から見た生息地環境の確保もない。
EUでは、これらが進化した、さらに拡充したものが、ナチュラ2000という一大ネットワークになっています。
今までも記事でも書きましたが、
シマフクロウの生息地には、樹齢300年の木が必要なのにないこと、今は知床ぐらいしか生息地がないこと
タンチョウも生息地はどうするのですかね。
これは、トキ、コウノトリ、その他、シャープゲンゴロウにしても、何でも言えます。
「島理論」でもやりましたが、一か所の小さい島や個体群は絶滅する運命にあり、絶滅しないようにするためには、大きな島にする、生息地となる環境をあちこち複数用意する。つなげて落ち伸びられるようにすること。大きな島(収容力)、複数化、つなげること、も大事です。
モズの林縁と餌場の生垣ネットワーク。
生息地繁殖場となる林縁の天然の要塞である多重空間+エサ場(昆虫が多数の田んぼや草地)の同時セットが必要
こうしたことから、日本の30by30を見てみると、何か不足しているのが多いように思います。
単にこれでは、どこかの報道でも見ましたが、東京全区のエリアが取れたというだけの、面積があるだけに見えます。
・だとしたら、どうしたらいいのか?というと、これは私の考えです。
まずはコアエリアとして、自然の力で動く自然を中心のコアエリアを各地で、複数個所取る。
このコアエリアがないと、我々は、本来の自然を無くしてしまいます。母樹林となるような場所です。母体。
これは今ある自然のあるところ、全部取るほうが良いでしょう。
そこにバッファエリアでコアエリアを守る。欠けたり不足している分は、コアエリアもバッファーエリアも取り戻す。
コリドーでコアエリアや海川里水路などをつなぐ。
日本全体から、末端までの様々な生態系ネットワークを再生回復させる。
この最終目的地は何か?どうやるか?はもっと、あると思います。今のところ、これぐらいしか上げられませんが。
こちらがまず中心で、まず基本的に立ち上げねばならない事項と思います。
住宅街の公園、工場の敷地などは、言うならば「飛び石」です。生態系ネットワークではコリドーでつなぐ、点の生息地。
「飛び石」では、日本の生態系を背負って立つコアエリアには少々、荷が重いと言えます。
コリドー、余白でも、これは、日本の生態系や生物層を担うには、厳しいと思います。
自然のコアエリアに対し、こういう人口的な場の公園や、企業森林など「飛び石」は、コアエリアの捕捉として、いくらあっても構いません。
(しかし、工場の森などでは、これは昔ながらの本来の植生でしょうか?改変した自然で行くのか、本来自然で行くのかも、ここは考慮ポイントと思います、例えば一方を江戸期に合わせて、一方は現代の会社の庭にするなら、つながった場合に何が起きるか?そういうことも研究対象と思います)
そうして出来るだけ大きな生態系を保全する、体系を構える。(というのは、生態系ネットーワークの考え方でやりました)
なにを言っている。自然はそこらへんにあったらいい。「点」でもナニでも、人間が平地にして自然にしたエリアは立派な自然。自然はミドリ、「ミドリ」の「面積」があればいい。合計で東京都の「面積」あるんだ、と思う人もいるかもしれません。
前回記事「古い森林、原生林には大切な自然生態系がある」でもやりましたが、改変とか、入れ替え、代替え(ノーネットロス)で済ませるのは、これは難しいものになると思いますね。
「環境展望台
海外ニュースで、
「フランス生物多様性庁、古森林の重要性を伝える冊子を公表」
フランスの国立公園の調査では、古森林の森では、虫目の昆虫はフランス本土全体の半分にあたる約5000種、キノコ類は75%に当たる1万5000種が存在するということが分かったそうです。」
本来の自然には、本来の自然がありますし、作られた自然、改変された自然にはない、重要な自然の要素が詰まっていると思います。
コアエリアを本来自然で確保しておくべきことは、ドイツからも思います。
けっこうドイツを引き合いに出していますが、自然保護が進んでいるので、意外とコケ、地衣類、シダ類など、合わせて絶滅危惧種が8000種ぐらいと多いのです。
これはどうやら何かしら歴史的に開発が進んだ結果です。近代の工場化、農地開拓、何にせよ、開発がなかったら、そのような状態にはなってないと思います。
これは、あとから取り戻そうとしても、いくら取りつくろうが、自然に代替えは難しい、と言う結果だと思います。
日本はまだドイツに比べたら少ないですが絶滅危惧種は少ないとは言えず、日本もまず先に開発をさせてしまうと、自然をあとから補充や代替え化していったとしても、未来には、植物や菌類などの絶滅危惧種は数千、万台になって行くと思われます。
また「点」ですが、上の記事「島理論」でもやりました。
「生息島(生息地)のサイズが小さいと、たとえ生息環境の質が変わらなかったとしても、多くの種が絶滅します」
ということなので、小さい生息環境では、生息環境としては不足ですし、多くが絶滅する運命にあります。
ですので、自然などを、創出した自然で取り替える。それはしないほうが良いでしょう。
まだまだ発見されないものもあるでしょうし、いざとなったら、日本は本来ある自然が取り戻せます。
それに、地下には土壌性質、岩盤、水脈もありますし、だから、取り替えたら済むと言う、人間の目論見通りに、自然ってならないと思いますね。
小さいところに移す、押し込める、一か所だけで良しとするのも危ないことです。
つまり、「面積」がただあればいいわけでもないと、思います。
こうしたことから、日本中どこでも、本来の自然が残る場は(今ある自然は全て)、まず残す、コアエリアなどにしていく。
もう、このコアエリアは今ある自然で全部取りましょう。
今ある自然は今後、増えることはあっても、少なくなることはもうあり得ません。(としておきます)
そこに生息地指令のような、なくてはならない生息重要環境を備える。これは創出ではなく、自然にある形で。
ナチュラ2000のように、それぞれの種から保全も備えていく。
どう考えても、基本的にはまず、これが基礎に必要と思いました。
全部、これは自然のままの形で、です。基本的に。
こういう、生物学からしたらば、いろいろな考察ポイントがあって、まあコアエリアもどう不足を補いどう足すかとか、失われた場からどうやってコアを回復させるか?とか、地球の観点から見たダイナミクスや変化などもあるとか、生態系の動きや仕組みもまだまだ、今後、確認や研究の必要があることと思います。
にしても、やっぱり、本来の自然でコアエリアの確保、生息地や生息環境の確保拡充は必要、と思います。
そして、この状態が保全状態が何%良好かを見て調査や分析していくシステム、旧時代の生物多様性の知識の無い開発は中止し、新時代の生物多様性観点からの人間の柔軟性、また観光イベントに使うこと等、この件ははしょります。
・そもそも自然全体の回復構想がない
次は全体構想です。
・EUは自然再生法で、全土の自然生態系を回復させる
ここに来て、EUはさらに進化して来ました。
EUではこのたび(11月10日)自然再生法が議会で合意されました。
簡単に言うと、現在、どのような生息地が、昆虫(花粉媒介者)などの種類、農地のやせ細り等が、劣悪かどうかを把握し、全土の自然生態系を、2050年まで修正・回復させるというものです。
そのため、「回復構想」を設定、そこへ持って行く「修復計画」なるものを作ろうとしています。
日本にも一応、自然再生推進法というのがあり、部分的には自然再生が行われています。
今までも記事に出ました。
これも部分的なものなのですね。
EUでは生息地指令、鳥類指令、ナチュラ2000に加え、30億本、自然に流れる川約2万km以上、30by30もやる。グリーンベルトという、長い緑の生態系ロードもあります。
そして、さらに全土の回復構想です。
(こういうEUでも生態系の破壊が80%もあり、かなり荒廃しているのです)
我が国より先んじて、自然を保全してきたEUに比べ、日本はどうでしょう?
水銀農薬で、コウノトリやトキを絶滅させた頃からEUは鳥類指令を出していましたが、日本はほとんど何もしておりませんでした。
それから半世紀、いったいどれほどの自然が消え、どれほどの昆虫が減少したでしょう?
日本では、魚が何%消えたか?花粉媒介者が消えたか。鳥や哺乳類が地域から消えたか?
また生息地の環境として、どれほど良好なのか?どれほど特徴的なタイプが絶滅し、あと残りどれほどなのか?
相当に悪い状態に思いますね。
日本の生物多様性評価書では、↓ぐらいで、表記されています。
まずは、日本も、全土の生態系回復構想が必要だと思いますね。減少も把握して。
日本もそもそも、全体構想からやって、各地域隅々まで見た回復計画を作って、今から初めて、同じく2050年ぐらいを目指して、全土回復して行かねばならないと思います。
今回の30by30では、日本の全土の自然生態系を背負って立たせるものとしては、厳しいものと思いますね。
何もこれは30by30にしなくても良いとは思います。
別の計画として、全土回復の体系を立てたら良いと思います。そして、そこに加えての30by30ということになるでしょう。
もし、30by30で行くとなると、改変され、人工的な場が自然として残ったり、それにより、手つかずの自然が開発へと進んだりする懸念もあります。
せっかく今の場所で生きている動植物も、この人工的な限られた場にしか生きれないようになるとも思います。
大阪万博で注目されましたが、夢洲(人工島)が絶滅危惧種の貴重な生息地、守れと言われています。そんな未来になっていくように思いました。
企業の森だけでは平地の雑木林が増えるのかなとは思います。クマゼミとかは大量に増えたり・・・
ここにインセンティブ、補助金、助成金が入るとなると、利権の匂いがして来ます。
地域活動などされていた団体などには良いでしょうが・・・
金をばら撒き、企業が得をするだけの、無意味な30by30にはならないでもらいたいです。
でなければ、私の住む地域も残り僅かの自然も守られないでしょう。
ウミガメも来る海岸も守られず、30by30の保全区など何それ、オイシイの?で、周りはセメント固め、公共工事で工事だらけ、のままとなってしまうでしょう。
限られた場のみが保護されるモノになってしまい、他は放置されます。開発だらけになります。
まずは、日本全体からの全体構想、体系を。
それが、日本全土どこも取り残すことがなく、隅々まで照らす自然生態系であって欲しいです。
日本自然保全区アマテラスとか、ヤマトタケル自然ネットワーク、日出る国の自然体系でも何でも、名前は良いですが・・・
核心を持つ自然保全体系の基礎を。
以上、ネット民ですが、ネットで分かるのを基本に書いてみました。取っ散らかってますし、間違っていたら、すいませんが、これは私の地域のためにも、真剣に書きました。
思い切り思ったことを書いていますが、豆腐メンタルです・・・
このブログを応援したかったら、したの写真をぽちっとしてね
でぐちになってるので、出るか戻るかしてね
ページビューもあまり分からない仕組みなので、あちこち見ても分かりませんので、ご遠慮なく見ていってください。
生息地をふやそう
日本も昆虫基本計画で、昆虫やミツバチを増やそう
読んでいただき、ありがとうございました。