山之上もぐらの詩集

山之上もぐらの詩集

山之上もぐらの詩集

2024年01月11日 | 日記

  風の声

 

私の耳の歌口に 風がその唇を寄せて

透明に光る息を 吹き込む

 

私の耳管は 狭い音域の中で

つたないメロディーを奏でる

 

美しくはないが 私の耳にだけ聞こえる

心地好いメロディー

 

少女の顔が浮かぶ

懐かしい白い顔が 初夏の風の中に甦る

 

振幅するレゾナンス

過ぎ去った刻と今という空間の摩擦音

 

私の蝸牛管は捻れた宇宙の臍

暗黒星雲の中心から吹き出す喇叭管

 

その向こう側

 

透きとおった輝きのまま

浮かんでいる多元宇宙の小さなシャボン玉

 

少女の顔が浮かぶ

懐かしい白い顔が 初夏の風の中に甦る

 

耳骨の磁石コイルが

猛スピードで遠ざかる億光年の宇宙から

なごりの信号を受信している