メメント・モリ 死を思う
心中でない限り 孤独死でない死があるだろうか
そして、心中でさえ 孤独死でないと、
誰が言えるだろうか
人は、自分の命を、自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ
どんなに幼く いたいけな子どもでも
人は、自分の命を 自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ
私は、昭和天皇の死を、
厳粛な気持ちで、思い出す
私は、陛下の死に至る経過を、
厳粛な気持ちで、思い出す
国民の安寧のみを願われた陛下は、
陛下の命を、陛下一人で担われ、
陛下一人で死なれた
私の敬愛する陛下は、
陛下の命を、陛下一人で担われ、
陛下一人で死なれた
私は、陛下の死を、
厳粛な気持ちで、思い出す
人は、自分の命を、自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ
大病院の立派な個室のベッドの上で、
沢山のチューブに繋がれて、
家族に見守られながら、迎える死も、
古いアパートの
酒瓶とカップ容器の散らかった一室の、
糞尿まみれの干からびた死も、
人は、自分の命を自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ
沢山の参列者と それに勝る沢山の白い菊に囲まれた
大寺院の立派なホールに飾られた死も
苔むした樹海の奥の 手ごろな枝ぶりの下の
小動物に喰われて 白くばらばらに散らかった死も
人は、自分の命を 自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ
心中でない限り
孤独死でない死があるだろうか
そして、心中でさえ 孤独死でないと、
誰が言えるだろうか
人は、自分の命を 自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ
子どもにかけようとするその手に、
言おう
残された どんなに幼く
いたいけな子どもでも
もう一度言おう
人は、自分の命を、自分で生き、
自分の命を 自分一人で担い、
自分一人で死ぬのだ