セミの脱け殻
俺を脱ぎ捨てて、
夏の空に飛び去った魂は、
その夏の中に、亡びた。
白い骨の林の中で、
脱殻の俺は、まだ、地表に這い出た姿のまま、
落葉樹の幹に、爪を立て、空を見上げている。
陽は暖かく、まっすぐ俺に、ふりそそぐ。
とっくの昔に、魂が亡びていても、
骸の俺は、ここに居て、
今、春風に吹かれている。
セミの脱け殻
俺を脱ぎ捨てて、
夏の空に飛び去った魂は、
その夏の中に、亡びた。
白い骨の林の中で、
脱殻の俺は、まだ、地表に這い出た姿のまま、
落葉樹の幹に、爪を立て、空を見上げている。
陽は暖かく、まっすぐ俺に、ふりそそぐ。
とっくの昔に、魂が亡びていても、
骸の俺は、ここに居て、
今、春風に吹かれている。