A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ソロは究極の自己表現・・・・一人3役の出来栄えは

2011-08-21 | CONCORD
By Myself / Cal Collins


ジャズでソロをやれる楽器は限られる。ピアノが代表的だが、ギターソロアルバムもあるにはある。ギターはジャズではそもそもはリズム隊の一員、ソロの花形に加わったのはチャーリークリスチャンからだ。それ以来ギターはジャズの世界ではソロとリズムの両面で活躍している。

ちょうど中学生の時、ビートルズブームがあり、日本ではグループサウンズブームが起った。歌を歌いながら、リードギター、リズムギター、そしてベースギターを分担して演奏していた。しかし、ジャズを聴くようになりジャズの世界では一人のギタリストで、ソロもとりリズムも刻むことが分かった。でもギターはいつも脇役であり、表で出ないものと思っていた。主役になったギターを知ったのは、バニーケッセルのポールウィナーズであり、ウェスモンゴメリーのリバーサイド盤、そしてハーフノートを聴いてからだ。そし、ビルエバンスとジムホールのアンダーカレントを聴いた時、唯一のアップテンポの曲、マイファニーバレンタインでのギターの役割が実に新鮮に聞こえた。メロディーとリズムだけでなく、ベースラインコードの動きも実は役割にあることを。

チャーリークリスチャンはサックスのソロのようにギターを操ったが、ギターをピアノのように操るのが、このカルコリンズだそうだ。ソロはもちろん、単にリズムをとるだけでなく、細かいコードワーク、そしてベースラインも。まさに一人3役である。ソロアルバムを聴くとその技が良く分かる。

このカルコリンズは、シンシナティーのローカルミュージシャンだった。それを中央に引っ張り出したのは、ベニーグッドマン。そのグッドマンと一緒の演奏を聴いて、コンコルドのハウスギタリストに迎えたのは、オーナーのカールジェファーソンであった。
元々はカントリーのギターもやっていたというコリンズは、今回のアルバムでも、その片鱗を感じさせる部分がある。しかし、最後のルート66、そしてジャクソンカントリーブルースを聴くと、正真正銘のジャズギタリストであることは間違いない。ジャズ界で最も無名なギタリストの面目躍如である。

自分はギターも弾かないし、ギターフリークでもない。なのに、ギターのソロアルバムを退屈せずに聴きとおせるということはきっと名アルバムなのだろう。
そして、もうひとつこのアルバムの演奏の特徴を挙げておく。コンコルドではお馴染みのレコーディングエンジニアのフィルエドワードは、録音に当たって通常のギターアンプの音を録るのと同時に、コリンズのギター”Benedetto Cremona”の至近距離に高感度マイクを設置し、このギターのアコースティックなサウンドを同時に録音したそうだ。その結果が、実に切れのいい演奏の要因のひとつでもあるのだろう。

ベニーグッドマン時代のコリンズ



1. By myself
2. Where are you
3. What is this things called love
4. Stairway to the stars
5. No moon at all
6. P.S. I love you
7. Sunrise sunset
8. The gypsy
9. All the things you are
10. The nearness of you
11. Route 66
12. Jackson country blues

Cal Collins (g)

Produced by Frank Dorritie
Recorded by Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Francisco,CA. December 1979

Concord CJ-119
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