もう秋ですが、今春、高槻にも茨木のピスタッキオに匹敵するイタリアン
がオープンしていたと知り、さっそく予約電話をしました。
連絡したのはラストオーダーの時間を過ぎた、平日の午後2時過ぎ。
その週末のランチは既に満席でしたので、日を変えて翌週末に予約。
偶然にも私の誕生日に近い日となったので、一応その事を告げるも
「特別な事は何もできません」とクールなお返事が。
「もちろん、何かして欲しいわけではなくて、お伺いするのを楽しみ
にしています」と返答したものの、一瞬予約自体を取りやめようかと
考えた。
実は昨年、私の誕生日前後に、某宿でスタッフの女性から不快な
応対を受けていて、その事を思い出し、良くない予感がしたのです。
まぁその時の話は、いつかまた、傷が癒えた時にでも。
ただ既に連絡先を伝えていたので、そのまま予約続行。
予約時に好き嫌いを聞いてもらえるのは素晴らしいと思いますが、先
に2コースの内どちらにするか決めて下さい、決めたら変更は不可、
時間は何時からにして下さいと言われました。
これには「翌週の話なのにずいぶん強気だなぁ、でも席数少ないし、
仕入関係や他の予約客の時間と重なったら大変だろうから」と解釈。
高い方のコースはメインが一種類しかなく、ネットの情報によると、
この半年ビスティカ(ステーキ)が多いようなので、我ながらせこいと
思いつつ、2500円とメインがついて3500円の1つずつで予約。
受け付けた方から見れば「記念日」と言いつつ、そんな選択内容がお
気に召さなかったのかもしれませんね。
店への行き方
場所は、以前訪ねた事のあるフレンチ「レ・コパン」さんのお向かい。
JR高槻駅からだと、西武の建物の道路をはさんだ反対側の歩道をその
まま進み、最初の信号の一本手前の道を左に折れて、次の角を曲がった
場所。
アプローチは狭く、隠れ家風。
こげ茶の木製通路はバリアフリー仕様で、ゆるく傾斜がついています。
予約時の心配は私の杞憂であって欲しいと願いつつ、指定された時間
11時半の開店と同時に店へ。
見れば店前のメニューに
「本日は予約で満席」とあります。
メニューに使われているエルメスオレンジが、いかにもイタリアンです。
予約して正解だったと思いつつ、店内へ入ると私達が一番乗りでした。
細身の女性スタッフが迎えてくれ、口調や抑揚で電話応対してくれた
方だとわかりました。
まだ他の客はいないのだし、せめてマクドナルド風に笑顔無料とか、
リップサービスで「本日は記念日に利用いただき・・・」とか、お祝い
位言っても損はないと思うんだけどなぁ。
最初に感想を述べると、店内、接客、食器類はシンプルかつクール。
料理はメニューを減らし、その分厳選した素材を使い、繊細な盛り
付けと、五感の中では特に、嗅覚を刺激する皿が複数ありました。
ただ、後でも書きましたが、料金が不明瞭。
1番入口に近く、厨房から遠い席に案内されましたが、壁側ですし、
客は多くても10人までですから、落ち着いて食事できました。
荷物を入れるかごを出して下さったので、椅子の真下へ。
元はお好み焼きやさんだったという店内。
厨房は一番奥にあり、大きな窓からシェフの姿が見えます。
壁、天井、テーブルクロス、食器も白で、圧迫感はありません。
ちなみに店名のキアーロはイタリア語で「明るい」という意味です。
壁には小さな絵が1枚だけ、花は見当たりませんでした。
席は10席。
フレンチの店みたいな印象で、それは料理にも通じるものがありました。
と言っても、以前パリで食べた重厚なイタリアン★とも違う雰囲気。
だからよくあるイタリアンの豪快・大盛り・気さくなイメージを期待して
はいけません。
それにこちらはリストランテ。
「シチリアの味を伝えたい、美味しいものをたくさん作るから少し大きさや
形は違うけれど、できたてをどうぞ」と言ったコンセプトのトラットリアの
「ピスタッキオ」さんと比べること自体、無理がありました。
でも、男性よりたくさんいた女性客はやはり「ピスタッキオ」さんの話を
されていましたね。
その後到着した予約客は3組。
広い店ではないし、何気なく聞いていると、全てその場でのコース選択では
ないですか!
オーダーも3組の二人連れのパターンは、各1コースずつと私達と同じ。
やはり皆考える事は似ていて、
・いろいろ食べたい
・でもランチに1人3500円は冒険
・よって2人で1つずつのコースにして、メインはシェア。
ということらしい。
とすると、いったい予約時のあの応対は何だったのでしょう?
店内の各席や壁には当日のメニューはなく、選んだコース内容のサービス時に
簡単な説明がある程度。
でも、だいたいの内容はわかっても、
トルタ、アロスティート、スキャッチャータ、コンフィ、キタッラ・・・と聞いて
すぐ理解できる人は少ないのでは。
食材も国産、イタリア産だけでなく、もう少しわかりやすい産地や内容の案内
があれば親切だと思いました。
それでは順に料理をご紹介します。
尚、写真撮影の許可は得ています。
どの皿も冷たいものは冷たく、温かい皿は暖められて供されました。
小さな前菜
きのこのトルタ マッシュルームのアシュタート添え
これはスターターにぴったりで、軽くて華やかで、茸の香りが楽しめました。
波紋のようなお皿のデザインのように、この後続くお料理に期待が高まる一品。
フォカッチャ
ローズマリー入フォカッチャ 最初は1人2切れ。
自家製で、おかわりもできると思います。
ローズマリーは好き嫌いがあるから、これ位の量でいいのかもしれません。
私達には最近控えている塩分・油分が強すぎたのか後で、喉が渇いて困りました。
前菜の盛り合わせ
戻り鰹のアロスティート 小かぶのマリネ
アロスティートとは、温かくしての意味。
なると金時のスキャッチャータ フォワグラムースと
「スキャッチャータ」はつぶすという意味の菓子パンで、トスカーナ生まれ。
野菜や果物を薄くカットして飾りに使われる事が多い感じ。
他の季節のメニューも通じて、かつお、ごぼう、フォワグラがよく使われているよう
な気がしました。
イタリア産 生ハム サラミ
左からたぶん、モルタデッラ、唐辛子入りサラミ、生ハム。
生ハムとサラミは定番のようです。
メロンやいちじくでなくてもいいから、今なら洋ナシや柿あたりと合わせると
季節感も味の相性も良いと思うのですが・・・ま、そんなの我が家でもしてるか。
リストランテならではの、組み合わせってあると思うので。
サラミ
・サラミは、元はイタリアで作られたドライソーセージの一種。
・語源はイタリア語の”salare” (塩)。
・イタリアはサラミの国で、100m離れただけで味が変わるともいわれる。
・地域ごとに使われるハーブに違いがあり、イタリアはニンニク、
・ドイツは塩のみ、
・スペインのものはパプリカや 赤唐辛子を加えている。
・と書きつつ、イタリアにも唐辛子入りは各地にあります。
・アブルッツォ産の"Ventricina del vastese"という赤いサラミ
Ventricina del vasteseはきめが粗く、唐辛子、パプリカ、フェンネル
シードなどで香りを付けた辛味のサラミ
・アブルッツォ州の場所は、マルケ州の下、ローマの右辺り。
・ラム肉、豚、サフランの産地。
・あるいはイタリア半島のつま先にあたり、地中海に面したカラブリア州
は唐辛子の産地で大量使用。
「ンドゥイヤ」は カラブリア特産の唐辛子入りサラミ。
・今回は唐辛子入りナポリサラミ。
・ナポリサラミは生サラミで、なめらかな舌触り。
今月のパスタ(2種類から選択)
メーリュ リングイネ
秋刀魚のコンフィとウイキョウのトマトソース、香ばしいパン粉がけ
・コンフィは、鴨や豚などの肉を、その食材の脂でゆっくりと煮る料理。
・最近は食材の油ではなく、サラダ油などで煮る場合も多い。
・肉が堅く締まるのを防ぎ、ジューシーな仕上がりになるので、鴨肉等
で多用されている。
メーリュは不明。
・リングイネはロングパスタの1つ。
・イタリア語で「スズメの舌」「小さな舌」を語源とする。
・地方によってはトレネットという呼び方をするところもあります。
・スパゲッティが円形の断面図であるのに対してリングイネは楕円形の
断面図になります。
・スパゲッティをつぶした平打ちのような感じです。
・平打ちの断面図を持っているロングパスタは他にはフィットチーネが。
・違いはリングイネは乾燥麺、フィットチーネは手打ち麺。
・又フィットチーネが平形であるのに対してリングイネは楕円形である
という微妙な形状の違いがあります。
・このちょっとした形状の差が、食感をかなり違ったもの(麺風)に。
・リングイネや、やや太めのスパゲッティは表面がざらざらとしている
のでクリームソースのような濃厚なソースによく合います。
・映画「レミーのおいしいレストラン」の主人公の名前「リングイニ」!
キタッラ
豚バラ肉とごぼうのラグーソース
・アブルッツオ州では、パスタ全般、特にロングパスタを「マケローニ」
と呼び、キタッラは古くから「マケローニ・アッラ・キタッラ」の製造
器具として広く知られています。
・名前は楽器のギターに似ていることからキタッラと呼ばれています。
・ギターの弦のようです。
・本体は木製でその両面に違う間隔で張られたハガネの弦が張ってあり、
好みのパスタの太さ(2.5mm又は5mm)の面を選び、延ばしたパスタ生地
をのせ、その上を麺棒を転がすと断面が正方形のロングパスタとなって
下へ落ちてくるという仕掛けです。
・断面が四角
・ラグーraguはフランス語と思っていたけれど、イタリア語も同じらしい。
・肉や魚介類を細かく切って煮込んで作るソースで、ミートソース等。
・ラグーソースともいう。
パスタの時点で、店の装飾やサービスは引き算、料理は足し算なのではと感じ
ました。
特にパスタは、食材をかなり小さめにカットし、多種類使用されているので、
美味しいけれど、味のポイントがぼやけてしまっていました。
上品で優しい味で、うまくまとめてあるけれど、視覚や記憶に残りにくいのが
惜しいと思います。
ビステッカ
ビステッカというと、反射的に野趣溢れるフィオレンティーナを連想してしまう
ので、一層上品な一皿に思えました。
添えてある野菜は、香りからルッコラかな。
事前に取り分け皿が必要か聞いて下さったのでお願いしたが、不要だったかな。
・サルサ・ベルデ(緑のソース)
・パセリで作る。
ドルチェ
ピオーネとマスカルポーネのジェラート。
季節の果物とジェラートの組み合わせも定番のようですね。
マスカットは半分に切られています。
ミントは双葉で出される事が多いけれど、香りが出るように細かく手で
ちぎられていました。
飲物がついています。
コーヒー、紅茶、エスプレッソから選択。
2人とも紅茶を選択。
レモン、ミルクを聞かれることなく、ストレートが登場し他は砂糖だけ。
このカップはとても持ち辛いものでした。
幸い1番スタートでしたので、お料理は比較的スムーズに出てきましたが、後半は
遅れがちに。
店内では2時間近く過ごしました。
12時以降スタートの方は、この時点でパスタの出始めだったから最後の
組は後1時間はかかったのではないでしょうか。
あいまには何度か予約電話が入っているようでした。
だとしたら平日だし、もう忙しくないだろうと予想して、午後2時に予約
電話した私も迷惑だったのかなぁ?
とにかくこちらには時間に余裕を持って赴き、早い時間のスタートが無難。
あるいは休日以外に訪れるかですね。
支払いは席でします。
実はこの記事を書いていて、料金がホムペと違う?と気づく。
どうも525円高いようだ。
2500円と3500円に税金だと6300円のはず。
コペルトについては書かれていなかったし、何だか最後までいろいろありました。
宿でもレストランでも支払い時に次回の予約をする事があります。
私達の場合は気に入れば、2回までは条件を変えて、早目に再訪する方針
ですが、3回目以降があったり、通うまでとなると年に数軒です。
今回も気に入れば2ヶ月後位にと考えていましたが、残念ながらそのまま帰宅。
トイレは入口横でなく、厨房に近いドア。
ドアに表記はありません。
・小川大喜シェフは、元 ラ・ムレーナ(現ラ・ルーナ)、ポンテベッキオ
OPIUMオピュームで修行したらしい。
・全席禁煙