「少しばかり不思議な話を書きました。
木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」 --夏川草介
木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」 --夏川草介
第一話 寄り道 【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】
第二話 七色 【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人 【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火 【主な舞台 東京都文京区】
第二話 七色 【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人 【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火 【主な舞台 東京都文京区】
図書館で借りる本を探すとき、どうしても読みたい本以外はまずはタイトルを見ます。
それから手に取って、カバーを眺め、パラパラページをめくって、後は気分次第(^^;)。
前記事の「雷と走る」はどうしても読みたい本でした。
この「始まりの木」は存在さえ知らないで、手に取ってカバーを見た瞬間、いせひでこさん、だ~~~♫とにやりとしました。私はいせひでこさんの絵本が好きなのです。
なので、迷うことなく即借りることに。
大きな樹、その懐の中に入って幹にくっつくようにして、高い枝の先を見上げるのが好きなのですが、それは枝を通して神様を見ていたのか、私は…?
と読後思ったりしました。
さて、物語ですが、足の悪い(口も悪い)大学で民俗学を教える古屋神寺郎准教授と同じ大学の院生の藤崎千佳さんが旅先で出会う不思議な出来事をテーマに、何故民俗学なのか、民俗学とは何か、日本人とは、神とは仏とは???を語ります。こういうととっても固く難しく思いますが、全然そんなことはなくてとても読みやすくスイスイ読めて、読んでいると准教授の言葉にジーンとしてきます。
このジーンとしてくるところが私が日本人であるが故、なのではないか、とか、私の中の遺伝子がジーンとさせるんじゃないか、そんなふうに考えてみたり。
物語にも登場する民俗学の父と呼ばれる柳田國男さんのことも全く知識がないのですが、この本に書かれていることを考えるとどこかしら宮沢賢治さんに繋がるる気がしてきます。
「遠野物語」も読んだことがないのですが、「遠野」繋がりのような(^^;)
と言うのも、私も少々「遠野」に繋がりがあるのですよ(^^;)
それからこの物語は、ミステリーの要素もあったりします。
何故、その地に赴くのか?その地に何があるのか?
まあ、行く先は准教授古屋神寺郎の思うがまま、なのですが、その思うがままを、弟子の藤崎千佳さんが解き明かしていきます。
そこにもうひとりのイケメン秀才弟子を始め、すべての登場人物が魅力的に絡んできます。
続編が出ればなあ、と思ったりしますが、ドラマ化映画化も面白そうです。
准教授はNHKBS心旅の火野正平さんで、藤崎千佳さんは、、、う~ん、誰だろ???
年齢は合わないけど、今は亡き竹内結子さん。正平さんも年齢は合いませんね…。
なら、江口洋介さん?「旅の準備をしたまえ」って、かっこよく決めてくれそうです。
そんな想像も楽しい物語です。
脱線してとりとめのない文章になってしまいました…。
<本文より>
「もちろん仏教の中でも心信が大事だって話はたくさんある。けれど、もともとは難しい理屈なんかない。大きな岩を見たらありがたいと思って手を合わせる。立派な木を見たら胸を打たれて頭を下げる。大きな滝を見たら、滝つぼに飛び込んで打たれるし、海に沈む美しい夕日を見て感動する。誰かが教えたわけでもなく、みんな、そうするべきだと感じただけの話さ。それがこの国の人たちの、神様との付き合い方だ」
「観音様ってのは、天から光り輝く雲に乗って降りてきてありがたいお話をしてくれる特別な仏のことじゃない。心の中にある自然を慈しんだり他人を尊敬したりする心の在り方を例えて言ってる言葉だ。、昔から心の中に当たり前のように住んでいた観音様を、忘れはじめているのが日本人ってわけさ」
だから、と片眉を上げてまたにやりと笑った。
「亡びるね」
「これからは”民俗学の出番です”」