死写会 / 五十嵐貴久

2025年01月23日 | あ行の作家
今日、女性とのトラブルが報じられている中居正広さんが芸能界からの引退を発表しました。


「性被害」と一言で言いますが、「性」は「心が生きる」ことです。
「性」に被害を受ければ心は生きられないのです。
心のない人間はいないので、心=人間です。

「死写会」はまさに「性被害」の物語です。
  
セクハラ・パワハラのその結果、どうなるか?
多くの被害者たちの想いが結集した時、どんなことになるか?

想像を絶する物語です。
男性はぜひ読んでみてください。

所詮、小説、物語じゃないか?と思われるかもしれませんが、あながちこの物語のようなことが起こらないと断言できないのではと思います。

怨念、こわいです。

主人公は誰なのだろうと思いながら読んでいきした。
初めは、試写会に参加したプロデューサーや映画誌編集者かと思いましたが、まさかの亡き人。
この主人公を想像すると、彼がしてきたセクハラ・パワハラを全部受け止めてそれでも彼を擁護して彼の仕事をサポートして生きてきたんですよね。
若い女性を無理やり愛人にして、若い清純派女優をはじめとするたくさんの女性たちにセクハラして、男性たちにはパワハラ…。
こんな人に何故尽くすのか?と思ったらそれは偏に映画製作のため。

盲目的に彼の映画にかけてきたのに…。

盲目的が覚めるのは命を失った、彼が命を救わなかった時。悲し過ぎます。
そして、この盲目的が反転したらどうなるか?

いや、命を失う前からその時を待っていたのかも?
用意周到に、静かに。そんな気がしてきました。

読者は、出来る女性の、私のような傍観者も許さない、凄まじさを見せつけられることになります。

心をなきものにされたあらゆる怨念を集合させプロデュースして、全員を残酷な方法で死に至らしめる。
この力に抗うことができますか?



<本文より>
わたしたちは何も見ていないふりをした。何も気づかないふりをした。今、その罪を問われている。
わたしたちだけではない。誰もが同じ罪を犯している。おそらくは無意識のうちに。





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