京都西陣なごみ植物店2 / 仲町六絵

2018年09月10日 | な行の作家


第一話 街角の草迷宮
第二話 清明の愛でた桔梗
第三話 どんぐりころころ
第四話 禁じられた花

京都西陣なごみ植物店シリーズの第二弾です。

前作の主な登場人物に加えて、新たにイケメン華道家、鈴池雪伸さんと小学生の黒森實君が登場します。小学生の黒森少年はともかく、イケメンの雪伸さんは、神苗さんの恋のライバルになりそうです。

前作を読み終わって期待した神苗さんと実菜さんの恋は、全然進展なしです。
まあ、このシリーズは、恋はメインにならない方がよいのかもしれません。
あくまでも、メインは植物の謎解きですから。

登場する植物は、シロイヌナズナ、ウズキキョウ、どんぐり、禁じられた花です。
禁じられた花というのは、第四話の物語の謎解きでわかる花なので、名前は控えます。
この花を見たことがあります。名前を聞いてどんな花なのかすごく気になって、咲いているというところに見に行きました。どこでも見られる花ではないので、貴重な花です。

茶花にしてはいけない花ということで、禁じられた花というタイトルなのですが、なぜ茶花にしてはいけないのかの説明もあり、それに納得しました。
女郎花、我が家の庭にもあるのですが確かに匂いがします。風情があって好きなのですが、活けるには適さないですね。

第四話、茶道や仏教のことなのでなかなか難しいです。作者は、書き終えた後大きな爽快感があったとあとがきに書いていますが。

私が好きなのは第三話です。染色のお話です。染色っていろいろな植物でできるんですね。
私の大好きなぶどう、巨峰でもできるそうなのでやってみたくなります。

それぞれの物語の最後に、登場した植物の絵が描いてあります。
とても良いです。ちなみに挿絵は、ふすいさんです。
カラーだったら、もっといいのにって思います。


本文より

「そうです。シロイヌナズナは、葉を傷つけられると他の植物の根を著しく生長させる化合物を出します。同じ種類だけでなく、他の植物にも警報を出すんです」




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京都西陣なごみ植物店 / 仲町六絵

2018年09月05日 | な行の作家


第一話 逆さまのチューリップ
第二話 信長公のスイーツ
第三話 さそり座の星
第四話 紫式部の白いバラ
第五話 蛍の集まる草
第六話 桜に秘める

6編の連作短編集。

主人公は、姉の植物店で働く実菜さんと植物園で働く神苗さん。
実菜さんは、植物の探偵でもあります。
つまり、植物にまつわることの謎解きです。だから、それぞれの物語に花が登場してきます。

「信長公のスイーツ」ではローズマリーが登場します。
信長とローズマリー、はてさてどんな関係があるのか…。

「さそり座の星」は、酔芙蓉。星と花ってどんな関係?

紫式部と白いバラの関係は?

「蛍の集まる草」はツワブキが登場です。どうしてツワブキに蛍が集まるのか?

「桜に秘める」では、桜に何を秘めたか?

とてもテンポよく、謎解きは進んでいきます。読みやすくてわかりやすいです。
一話一話、とても短い話ですが、奥は深いです。
それは、植物の奥深さであり、人の奥深さ。

いろいろな人間関係の中に登場する植物がとても存在感があり、思いがけない方向へ読者を運んでくれます。
まるで種になって飛んでいくような。着地点はここなの???って感じです。

実菜さんと神苗さんの恋も登場しますが、この1作目では進展はありません。
二人の恋は、2作目に期待です。


本文より

「…花が咲く直前の樹皮に桜色がぎゅっと詰まっているっていう話も面白かったです」



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