浜たかや「太陽の牙」(偕成社)
『精霊の守人』みたいな読み応えのあるファンタジーを探してたら、これに当たりました。
こういう時、密林さんのお奨め順検索は便利ですな~
さすが☆5つ!
児童文学の枠を越えて、非常に深い物語でした
<ストーリー>
紀元前5~2世紀、中央アジア、ウラル地方で
鉄器を武器に周辺部族を征服していく騎馬民族ユルン族
そのユルンに征服されたケタイ族の少年ケイナンが主人公。
ケイナンは同じ年頃のユルンの少年オキュレンに嘲られ、
ユルンに支配されるケタイの生活に反発心を抱きます
実は、彼は人を殺すと狼に変身すると言うデイーイン族だったのです
彼の母はそれが嫌で部族を抜けて、大地の神を信ずる穏やかなケタイの中で息子を育てていたのでした
が、ケイナンはある事件をきっかけにタイバル王と王の右手ドグールンとの対立に巻き込まれていきます
そして、ユルンに虐げられ、すべてを失ったケイナンはデイーイン族の元に走りますが
そこも決して安住のではありませんでした
そんな中ユルン族はデイーイン族が住む赤い山(鉄鉱山)を求めて侵略を開始する。。。
青銅器から鉄器時代への移り変わりを舞台とした歴史ファンタジーなんだけど
人間描写に深みがあって、ファンタジーと言うより壮大な人間ドラマになってます
故父王に対する対抗心から闇雲に周辺諸部族を制服して回るタイバル王
王に溺愛されていても、満たされないものを抱えている男勝りの王女ヒングリ
王の第一の忠臣でありながら、だんだん王に追い詰められていくドグールン
被征服民族のケタイを母に持つドグールンの息子オキュレンの劣等感
それぞれの登場人物の人間性が、ちょっとしたエピソードで浮き彫りにされる所が凄い!
主人公の敵役オキュレンや暴君タイバル王は最初は完全悪役キャラだったのが、
何故そんな人間になっていたのかが明らかにされるにつれ、だんだん哀れになってきます
特にドグールンとオキュレン親子の結末は泣けます
ファンタジーのカテゴリーに入っているものの
ファンタジー的要素は狼に変身するデイーイン族だけです
鉄を悪用されることを嫌い、必死の防衛戦をしているだけと思われるデイーイン族。。。
結局、それが自分の民に戦争のための戦争、それゆえの貧困を強いる事となっているわけで
それは、現代でも同じことが言えるのです。。。それも地球のあちこちで。。。
人間て全然進歩してませんね
そういう意味では、かなりリアルな物語なのです
歴史的背景については、かなり学術的に忠実に描かれており
鉄がユーラシア大陸を西から東へと、どのように伝播していったのか
鉄によって人類の生活がどのように変わっていったのかとか
かなり具体的に想像できて面白いです
このユルンシリーズは5冊出ており、次の巻はタイバル王の父の時代の話で
またまた、ドロドロの愛憎劇が展開されるようです
図書館から連絡が来るのが楽しみ~
『精霊の守人』みたいな読み応えのあるファンタジーを探してたら、これに当たりました。
こういう時、密林さんのお奨め順検索は便利ですな~
さすが☆5つ!
児童文学の枠を越えて、非常に深い物語でした
<ストーリー>
紀元前5~2世紀、中央アジア、ウラル地方で
鉄器を武器に周辺部族を征服していく騎馬民族ユルン族
そのユルンに征服されたケタイ族の少年ケイナンが主人公。
ケイナンは同じ年頃のユルンの少年オキュレンに嘲られ、
ユルンに支配されるケタイの生活に反発心を抱きます
実は、彼は人を殺すと狼に変身すると言うデイーイン族だったのです
彼の母はそれが嫌で部族を抜けて、大地の神を信ずる穏やかなケタイの中で息子を育てていたのでした
が、ケイナンはある事件をきっかけにタイバル王と王の右手ドグールンとの対立に巻き込まれていきます
そして、ユルンに虐げられ、すべてを失ったケイナンはデイーイン族の元に走りますが
そこも決して安住のではありませんでした
そんな中ユルン族はデイーイン族が住む赤い山(鉄鉱山)を求めて侵略を開始する。。。
青銅器から鉄器時代への移り変わりを舞台とした歴史ファンタジーなんだけど
人間描写に深みがあって、ファンタジーと言うより壮大な人間ドラマになってます
故父王に対する対抗心から闇雲に周辺諸部族を制服して回るタイバル王
王に溺愛されていても、満たされないものを抱えている男勝りの王女ヒングリ
王の第一の忠臣でありながら、だんだん王に追い詰められていくドグールン
被征服民族のケタイを母に持つドグールンの息子オキュレンの劣等感
それぞれの登場人物の人間性が、ちょっとしたエピソードで浮き彫りにされる所が凄い!
主人公の敵役オキュレンや暴君タイバル王は最初は完全悪役キャラだったのが、
何故そんな人間になっていたのかが明らかにされるにつれ、だんだん哀れになってきます
特にドグールンとオキュレン親子の結末は泣けます
ファンタジーのカテゴリーに入っているものの
ファンタジー的要素は狼に変身するデイーイン族だけです
鉄を悪用されることを嫌い、必死の防衛戦をしているだけと思われるデイーイン族。。。
結局、それが自分の民に戦争のための戦争、それゆえの貧困を強いる事となっているわけで
それは、現代でも同じことが言えるのです。。。それも地球のあちこちで。。。
人間て全然進歩してませんね
そういう意味では、かなりリアルな物語なのです
歴史的背景については、かなり学術的に忠実に描かれており
鉄がユーラシア大陸を西から東へと、どのように伝播していったのか
鉄によって人類の生活がどのように変わっていったのかとか
かなり具体的に想像できて面白いです
このユルンシリーズは5冊出ており、次の巻はタイバル王の父の時代の話で
またまた、ドロドロの愛憎劇が展開されるようです
図書館から連絡が来るのが楽しみ~