この前アップした「太陽の牙」に続く
「火の王誕生」「遠い水の伝説」「風、草原をはしる」「月の巫女」
この5作はユルン民族の歴史を取り扱ったシリーズとなっており
まとめて『ユルン・サガ』と呼ばれてます
読んでる人は少ないと思うので
思いっきりネタバレストーリーを紹介させてもらいます!
年代的には
「月の巫女」が一番古く、
ユルン民族が鉄器を手にするまでが描かれます
有史以前の伝説と言う語り口なので、話もシリーズ中一番ファンタジーっぽいです
ユルン王ザトガルは鉄の技術を持つ異民族の巫女ラトシャイと結ばれ
王は彼女の死と引き換えに跡継ぎを得た
彼は母と同じラトシャイの名を与えられ、
武勇を尊ぶユルンの風習になじまぬやさしげな少年に育つ
そんな彼の一番の理解者は、ザトガル王に滅ぼされた一族の落とし胤であり
王の右手であるグインギンの養子となっているアタルゲイだった
ある時、一族のタブーを破り終われる身となった二人。。。
一方、この事をきっかけに、
王と有力部族の対立が表面化しユルン同士の内乱に発展
この内乱の中でユルンは鉄を手に入れ、王位はグインギンが継ぐことになります
ラトシャイは死んだ妹と合体して女になり(←ここ、深く突っ込まないように!)
アタルゲイと結ばれ(精神的に)て、ケイナン(「太陽の牙」とは別人)が生まれ、
これが月(デイ)を奉じる一族デイーインの祖となるのです
続いて「風、草原をはしる」
「太陽の牙」に出てくるタイバル王の父タグタイが主人公
この時代、ユルンはチルギド民族の支配を受けて苦しんでいた
ユルンたちにとって、どこかに隠れ棲むグインギン・ダニハ王子が唯一の希望の星だった
そんな中、タグタイは女神ヒングリの化身のような少女と出会い
人目で心奪わる
が、彼女はユルンを救うと言われるグインギン・ダニハと結婚
タグタイはグインギンの代わりにチルギドに捕われてしまいます
危うく殺されそうになるところを逃げ出したタグタイは
チルギド族に対して叛旗を翻し、自らをグインギン・ダニハと名乗り
ユルンの信望を集めます
ところが、本物のグインギン・ダニハも兵を挙げ
結局、グインギンを破ってユルンを統一したタグタイは
チルギド族も破り王となるでした
一方、ヒングリは夫の敵を取ろうとして失敗し
グインギンとの間に出来た子供をタグタイに託し死んでいきます
その子の名はジェイバ、後のドグールンなのです
3番目が「太陽の牙」
ラストで、タイバル王を破ったドグールンは王となり
息子オキュレンの死骸に自分の剣を乗せて河に流します
ケイナンはドグールンの息子となります
4番目は「火の王誕生」
「太陽の牙」の主人公、ケイナンから7代経った時代
王妃を決める神事でイラー神側が勝ち、ユルー神官長の娘リガルは
神事で生き残った赤ん坊を連れて姿を消します
それから15年。。。
先王の死後、王位は気の弱い少年王カグウトが継ぐが
政治の実権は王母ダイギリと兄のイラー神大祭司タウクに握られていた
その為、民心は荒廃し
草原には村々を襲って村人を皆殺しにして回る残虐な<荒野の王>と呼ばれる賊が
暴れまわっていた
まるで、すべての生命を憎んでるかのように。。。
その頃、「燃え上がる炎の中から真の王が現れた。真の王が<荒野の王>を討ち取った・・・ドグールンの剣を持ち・・・」と言う予言が流れる
一方、リガルが連れ去った赤ん坊ホローシは彼女の死後
<柳の里>のユルー神殿に左遷されたリガルの父イギスと出会い
彼の世話をしながら暮らしていたが
そこの神殿から“ドグールンの剣”が発見されたことから
王位をめぐる陰謀に巻き込まれていく。。。
最後が「遠い水の伝説」
「火の王誕生」で思わず王となってしまったホローシ王の晩年が描かれます
前作で王となったホローシだが、愛する<柳の里>の娘<遠い水>に振られ
彼女の面影を求めて王妃を6人も変える冷たい王となってしまう
ところが、6人目の王妃にやっと出来た王子を
イラー神官の生き残りに掏り換えられてしまう
しかも、政治はおべっか使いの導師マーザンに任せっきりで
民心はすっかり離れてしまっていた
父に全く似てない王子ハドインは父に疎まれ
さらわれた本当の王子の方は、
ホローシへの憎しみを植えつけられて育っていった
結果、初恋の<遠い水>の孫娘に会えると言う言葉でおびき出されたホローシ王は
実の息子に殺されることとなるのだった。。。
長々、ストーリーをご紹介したのは
1作目の「太陽の剣」以外、これが児童文学!?って思うくらい
シビアだからなんです
どの巻も王位は血筋ではなく、それに相応しい苦労をしたものが継ぐ。。。
まぁ、その部分は正しいだけど、
その後がメデタシメデタシとは行かないんですよね
タグタイは愛する女性を失い
ドグールンは息子を失い
ホローシにいたっては、実の息子に殺される。。。
王位の代償はそれほど大きい
また、彼等の周りの人間も犠牲を強いられる
「火の王誕生」のラストでホローシがつぶやきます
「カグウト王は王位から落ちた。だが、すべてを持っている。私は王位にのぼった。でも・・・わたしは・・・うしなった。」と。。。
テーマの深さは大人にも読み応えがあるけど
子供に読ますには、あまりにも希望が無さ過ぎるような気がしますわ~
全巻通して読むと
太陽神ユルーを信仰し他文化に対し狭量で独善的な態度のユルーが
だんだん他部族の神や文化を受け入れ変わって行く過程が見えます
最初はユルー神だけだったのが
他民族と調和していく過程で、月と牝牛の神イラーを作り出し
イラー神が勢力を強めれば、享楽的で柔弱な世の中となり
次の世代でユルー神が盛り返すと厳しく殺伐とした世の中になる。。。
まるで、神々の勢力争いを人間が代わりにやっているような。。。
きっと、「遠い水の伝説」のラストで王位を継いだハドインも
その先は茨の道が続いていることでしょう。。。
「火の王誕生」「遠い水の伝説」「風、草原をはしる」「月の巫女」
この5作はユルン民族の歴史を取り扱ったシリーズとなっており
まとめて『ユルン・サガ』と呼ばれてます
読んでる人は少ないと思うので
思いっきりネタバレストーリーを紹介させてもらいます!
年代的には
「月の巫女」が一番古く、
ユルン民族が鉄器を手にするまでが描かれます
有史以前の伝説と言う語り口なので、話もシリーズ中一番ファンタジーっぽいです
ユルン王ザトガルは鉄の技術を持つ異民族の巫女ラトシャイと結ばれ
王は彼女の死と引き換えに跡継ぎを得た
彼は母と同じラトシャイの名を与えられ、
武勇を尊ぶユルンの風習になじまぬやさしげな少年に育つ
そんな彼の一番の理解者は、ザトガル王に滅ぼされた一族の落とし胤であり
王の右手であるグインギンの養子となっているアタルゲイだった
ある時、一族のタブーを破り終われる身となった二人。。。
一方、この事をきっかけに、
王と有力部族の対立が表面化しユルン同士の内乱に発展
この内乱の中でユルンは鉄を手に入れ、王位はグインギンが継ぐことになります
ラトシャイは死んだ妹と合体して女になり(←ここ、深く突っ込まないように!)
アタルゲイと結ばれ(精神的に)て、ケイナン(「太陽の牙」とは別人)が生まれ、
これが月(デイ)を奉じる一族デイーインの祖となるのです
続いて「風、草原をはしる」
「太陽の牙」に出てくるタイバル王の父タグタイが主人公
この時代、ユルンはチルギド民族の支配を受けて苦しんでいた
ユルンたちにとって、どこかに隠れ棲むグインギン・ダニハ王子が唯一の希望の星だった
そんな中、タグタイは女神ヒングリの化身のような少女と出会い
人目で心奪わる
が、彼女はユルンを救うと言われるグインギン・ダニハと結婚
タグタイはグインギンの代わりにチルギドに捕われてしまいます
危うく殺されそうになるところを逃げ出したタグタイは
チルギド族に対して叛旗を翻し、自らをグインギン・ダニハと名乗り
ユルンの信望を集めます
ところが、本物のグインギン・ダニハも兵を挙げ
結局、グインギンを破ってユルンを統一したタグタイは
チルギド族も破り王となるでした
一方、ヒングリは夫の敵を取ろうとして失敗し
グインギンとの間に出来た子供をタグタイに託し死んでいきます
その子の名はジェイバ、後のドグールンなのです
3番目が「太陽の牙」
ラストで、タイバル王を破ったドグールンは王となり
息子オキュレンの死骸に自分の剣を乗せて河に流します
ケイナンはドグールンの息子となります
4番目は「火の王誕生」
「太陽の牙」の主人公、ケイナンから7代経った時代
王妃を決める神事でイラー神側が勝ち、ユルー神官長の娘リガルは
神事で生き残った赤ん坊を連れて姿を消します
それから15年。。。
先王の死後、王位は気の弱い少年王カグウトが継ぐが
政治の実権は王母ダイギリと兄のイラー神大祭司タウクに握られていた
その為、民心は荒廃し
草原には村々を襲って村人を皆殺しにして回る残虐な<荒野の王>と呼ばれる賊が
暴れまわっていた
まるで、すべての生命を憎んでるかのように。。。
その頃、「燃え上がる炎の中から真の王が現れた。真の王が<荒野の王>を討ち取った・・・ドグールンの剣を持ち・・・」と言う予言が流れる
一方、リガルが連れ去った赤ん坊ホローシは彼女の死後
<柳の里>のユルー神殿に左遷されたリガルの父イギスと出会い
彼の世話をしながら暮らしていたが
そこの神殿から“ドグールンの剣”が発見されたことから
王位をめぐる陰謀に巻き込まれていく。。。
最後が「遠い水の伝説」
「火の王誕生」で思わず王となってしまったホローシ王の晩年が描かれます
前作で王となったホローシだが、愛する<柳の里>の娘<遠い水>に振られ
彼女の面影を求めて王妃を6人も変える冷たい王となってしまう
ところが、6人目の王妃にやっと出来た王子を
イラー神官の生き残りに掏り換えられてしまう
しかも、政治はおべっか使いの導師マーザンに任せっきりで
民心はすっかり離れてしまっていた
父に全く似てない王子ハドインは父に疎まれ
さらわれた本当の王子の方は、
ホローシへの憎しみを植えつけられて育っていった
結果、初恋の<遠い水>の孫娘に会えると言う言葉でおびき出されたホローシ王は
実の息子に殺されることとなるのだった。。。
長々、ストーリーをご紹介したのは
1作目の「太陽の剣」以外、これが児童文学!?って思うくらい
シビアだからなんです
どの巻も王位は血筋ではなく、それに相応しい苦労をしたものが継ぐ。。。
まぁ、その部分は正しいだけど、
その後がメデタシメデタシとは行かないんですよね
タグタイは愛する女性を失い
ドグールンは息子を失い
ホローシにいたっては、実の息子に殺される。。。
王位の代償はそれほど大きい
また、彼等の周りの人間も犠牲を強いられる
「火の王誕生」のラストでホローシがつぶやきます
「カグウト王は王位から落ちた。だが、すべてを持っている。私は王位にのぼった。でも・・・わたしは・・・うしなった。」と。。。
テーマの深さは大人にも読み応えがあるけど
子供に読ますには、あまりにも希望が無さ過ぎるような気がしますわ~
全巻通して読むと
太陽神ユルーを信仰し他文化に対し狭量で独善的な態度のユルーが
だんだん他部族の神や文化を受け入れ変わって行く過程が見えます
最初はユルー神だけだったのが
他民族と調和していく過程で、月と牝牛の神イラーを作り出し
イラー神が勢力を強めれば、享楽的で柔弱な世の中となり
次の世代でユルー神が盛り返すと厳しく殺伐とした世の中になる。。。
まるで、神々の勢力争いを人間が代わりにやっているような。。。
きっと、「遠い水の伝説」のラストで王位を継いだハドインも
その先は茨の道が続いていることでしょう。。。