黙って話を聞いていた村長が、あごに手を当てながら、考えるように言った。
「……それで、ひと足先に王様の城に向かった小人が、この子を急いで連れてくるように言ったのかね」
モネアは、大きくうなずいた。
「今ここにいたマジリックなら、これから城に行くと言っていたんだが……」
「村長、あんな頼りない魔法使いにまかせちゃいけませんよ」と、モネアが怒ったように言った。「雲みたいにふわふわした人じゃなく、誰かもっとしっかりした人に……」
「モネアが言うのもわかるが、突然の大風で村も滅茶苦茶だ。誰かの手があくまで、何日もかかるだろう。良くないことが起こる前にこの子を城に連れて行くには、それしかないんじゃなかろうか」
「お呼びですか?」と、シルクハットを被った男が、先ほど出て行ったドアとは反対側のドアを開け放して、小走りに近づいてきた。「わたしの最高に素敵な手品が、ぜひまた見たいとおっしゃるのなら、このまま公演を延長して差し上げても、なにも問題ございませんよ――」
にっこりと白い歯を見せて笑う男の顔を見て、モネアはあきれたようにため息をついた。
「マジリック、君はこれから、ねむり王様の城に行くと言っていたね」と、村長が言った。
「舞台の予定がなければ、残念ながら、そのとおりです」と、マジリックは目を輝かせながら言った。「なにか――」
「……それで、ひと足先に王様の城に向かった小人が、この子を急いで連れてくるように言ったのかね」
モネアは、大きくうなずいた。
「今ここにいたマジリックなら、これから城に行くと言っていたんだが……」
「村長、あんな頼りない魔法使いにまかせちゃいけませんよ」と、モネアが怒ったように言った。「雲みたいにふわふわした人じゃなく、誰かもっとしっかりした人に……」
「モネアが言うのもわかるが、突然の大風で村も滅茶苦茶だ。誰かの手があくまで、何日もかかるだろう。良くないことが起こる前にこの子を城に連れて行くには、それしかないんじゃなかろうか」
「お呼びですか?」と、シルクハットを被った男が、先ほど出て行ったドアとは反対側のドアを開け放して、小走りに近づいてきた。「わたしの最高に素敵な手品が、ぜひまた見たいとおっしゃるのなら、このまま公演を延長して差し上げても、なにも問題ございませんよ――」
にっこりと白い歯を見せて笑う男の顔を見て、モネアはあきれたようにため息をついた。
「マジリック、君はこれから、ねむり王様の城に行くと言っていたね」と、村長が言った。
「舞台の予定がなければ、残念ながら、そのとおりです」と、マジリックは目を輝かせながら言った。「なにか――」