くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

堕天使物語(4)

2021-11-16 20:01:35 | 「堕天使物語」
 会場では、これまで一部の人間しか目にすることのできなかった、彗星の映像が公開された。参加した観測者達のほとんどが、画像ではない彗星の映像を、はじめて目にすることとなった。
 白いヴェールをなびかせ、地球へと続く闇を駆けていく彗星が、大きなスクリーンに映し出された。撮影した研究者らによって、詳しい解説が加えられていった。
 彗星の発見以来、地上にいる観測者達は、それぞれの観測施設で、彗星の一部始終を記録していた。どんな小さな変化も見逃さず、データを蓄積し続けていた。映像が映し出されている間も、会場ではさかんに手があがり、独自の研究成果が次々と発表された。
 人々は、まだあきらめていなかった。たとえ彗星が、現代の科学では対抗し得ないほどの力を持っていたとしても、議論を重ね、わずかな可能性であろうとも、人類の未来を守り抜く覚悟だった。

 議長が、マイクを手に取って言った。

「次の二つの映像を見ていただきたい。これまでの映像とは、明らかに違った彗星の挙動がご覧いただけると思う。我々は撮影された映像を見て、アリ地獄からはい上がれないような無力感を抱くこととなった。実は、これらの映像について、今日ここに集まったみなさんで、大いに議論していただくために、この会議は開催されたと言ってもいい。じっくりと映像を見て、考えていただきたい。我々も説明しきれなかった事象について、思いつきでもいい、ぜひとも発言していただきたい。では――」

 と、議長がマイクを置くと、スクリーンに再び彗星が姿を現した。そこへ、不意に近づく小惑星があった。
 定められた軌道も持たず、宇宙をさまよい続ける小惑星は、ごつごつと、ノミで乱暴に削り取られたかのような岩石の塊で、大きさは、彗星の半分ほどだった。
 彗星の引力に誘われるまま、吸いこまれるように近づいていった小惑星を、彗星はその白いヴェールですっぽりと覆ってしまった。熱く燃えたぎった彗星の本体は、呑みこんだ小惑星を、ボッと一度だけ瞬く炎に変え、跡形もなく気化させてしまった。
 白く見える彗星が、見た目どおりの単なる氷の塊ではなく、実は高温の熱をおびた星であることは、研究によってわかっていた。時間の経過にともない、みるみるその大きさが増していることも、明らかだった。はじめてその姿が確認されたときと比べ、今では、ほぼ2倍近くの大きさに膨らんでいた。
 会議の席上、記録されたもうひとつの映像が、映し出された。
 彗星が、自分よりもさらに大きな小惑星と、衝突しようとしている映像だった。
 誰もが、彗星が小惑星を破壊して、変わらずに軌道を突き進んでいくだろう、と予測していた。
 だが、彗星は予測とまったく違う動きを示した。
 あろうことか、彗星は小惑星と衝突する寸前、自らの軌道を飛び出し、小惑星をやり過ごしたのだった。会議の出席者は声もなく、ただただ頭を抱えるばかりだった。
 彗星はさらに、困惑した人々をあざ笑うかのように、さらに不可解な挙動を示した。
 軌道をはずれた彗星が、本来の軌道に、また戻ってきたのだった。
 意志を持っているとしか思えない動きだった。ただ、そのことを口にする者は、一人もいなかった。
 映像を見た者は、誰しもが意志を持った彗星、という結論を一様に思い浮かべた。
 しかし、人々を納得させられるだけの説明を、誰一人として、その現象に織りこむことができなかった。

「どうでしょう。――なにか、意見はないでしょうか」
 
 と、マイクを通した議長の声が、会場内にむなしく響き渡った。

 ――――    
 
 黒い思いは、しかし本来の人の意志に反するものであった。意志に反する思いを抱くことは、自由な言動を奪われ、操られる苦痛をともなった。
 彗星よりの使者に影で支配され、欲望に対する悪しき思いが膨らむほど、良心もまた、強く刺激された。良心は、悪しき思いに満ちた自分自身を責めた。だが、いくら自分を責めても、操られている意志では、黒い思いを抱く心の闇を破ることができず、苦痛から逃れることはできなかった。
 苦痛から逃れるためには、悪しき思いに操られるまま行動するしかなかった。しかし、それこそが彗星よりの使者が意図するところであった。
 思いを実行に移すことによって、自分の中にだけとどまっていた悪しき思いが、他人の憎しみや怒りとなった。
 憎しみや怒りは、また新たな黒い思いとなって、人から人へと伝播し、次々とさらなる憎しみや怒りを産み出していった。
 悪意と、悪意を操る者に支配された人々は、支配されてしまった心の隅で、苦痛をともなう見えない鎖が断ち切られるように、と祈り続けた。祈りもまた、思いとなって時空間を貫き、ほとんど無時間の間に、宇宙の果ての果てまで、あまねく伝わっていった。

 ――――……

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よもよも

2021-11-16 06:03:02 | Weblog
はてさて。

昨日は転勤してきてから上富良野方面に出張。

昼またぎだったから、

どこかで食事を、ってなったんだけど、

観光地? だけあって選択肢がやたら多くって、

結局商店街の無料駐車場に車を止めて

当たりも外れもないだろうそば屋・・・。

世の中の動きは速くって、

感染症のなんちゃら厳しい制限が外れてそこそこしか経ってないのに、

結構混んでんじゃん??

どこから来てんのか知らんけど、

そんな中で地本色満載の生活臭がプンプン漂ってそうな作業着着て店に入って、

まぁ、人の目なんか気にしちゃいられないんで、

観光客も地元民用にも納得できるようなメニューの中から

コスパも考えたセットメニューを選んで攻めてみた。

後からヘルスメーターに復讐される有様がありありと目に浮かぶけど

きつい仕事の合間に来る昼食ってば、

なににも代えがたいオアシスだわ。。
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