ひと月以上も過ごしたプシュカルを離れたのは、3月を過ぎていたと思う。
バグアン・ラジニーシのアシュラムのある、プーナを目指し、途中にある、ウダイプルに寄った。
ここの湖上に浮かぶレイクホテルは、映画007の舞台にもなり、美しく有名でした。
客引きに案内された、小ぎれいな安ホテルには、日本人も多かったと記憶している。
近くに広大なボタニカルガーデンがあり、その種類の多さに驚いた記憶があります。
湖上ホテルへは、観光船のような船で往復し、ドリンク料金も含まれ紅茶とクッキーをロビーで頂きました。
シーズンオフなのか、人も少なかった。
ここで、私は忘れられない体験をしました。
戻るまで時間もあり、そんなにウロウロするほどの興味も無かったので、ロビーでのんびりしていた。
すると、外国人が新聞を読みながら、座っていた。
ボーイがグラスビールを運んで来た。外国人は口をつけずに立ち去った。
どれ位の時間がたったであろう?周囲には誰もいなかった。
私は、無性にビールが飲みたかった。
そして、何気なくそのソファに座り、新聞を読むふりをした。
そして、新聞で隠れるように、ビールを飲んだ。
美味しかった、中サイズの洒落たグラス一杯のビール。
もし誰かに聞かれたら、エクスキューズミーと言って、
とっても喉が渇いていたので、という事に決めていたけれど、誰もその場には来なかった。
まるで、私がビールをオーダーして、飲んでいるかのようで、後から来た人は、気に留める様子もなかった。
帰りの船の時間になり、パレスを後にした。
この一杯のビールがなければ、ウダイプルは、それほど記憶には残っていなかったと思う。
エジプトでも、高級ホテルのロビーに座っていても、自然に溶け込んでいた。
日本人だからと他国の人に言われたけど、時代も変わり、今はどう思われているのだろうか?
続く