今この世界的ベストセラーになった本を読んでいますが、正直な感想としてこれまでの私の地球温暖化に対する認識は「子供レベル」でした。
この本の「書評」は多くのメディアが書いており、コロナ禍が注目されていた頃なのでウィルスの問題がクローズアップされていますが、私は「海の問題」が一番深刻だと思います。
温暖化による海面上昇が、百年後には大都市の過半数を呑み込むコトが予想されていますが、それ位ではまだ「地球に住めなくなる日」は来ません。
最も深刻なのは「海洋酸性化」による「デットゾーン」の拡大で、それは植物プランクトンと魚を死滅させるだけでなく、酸性雨によって貴重な森林をも枯らしてしまいます。
森林は十数倍の頻度となる山火事でも失われ、地球は二酸化炭素を酸素に変える術を失い「住めなくなる日」を迎えます...
こんな破滅的な未来が見えていては、国連事務総長が「このままの経済活動を続けていては破局を迎える」と訴えるのも納得できます。
彼を絶望させたのは、こうした未来に全く目を向けようとせず、戦争なんかで大量の二酸化炭素を撒き散らしている常任理事国(ロシアだけではない)の態度でしょう。
アメリカも中国も二酸化炭素の排出量を増やしており、インドに至っては「自分で自分の首を絞める」にも関わらずロシアからの原油輸入を拡大し、経済発展を目指しております。
インドの大気汚染は毎年数百万人を死亡させるレベルに達しており、既に「夏場の外出が命懸け」の都市も多くなっております。
人は自分の体温より暑い場所では生きられず、インドの夏場では平均気温が37度に達して「住めなくなる日」が、百年を待たずして訪れます。
その時地球は、数十億人の「気候難民」で溢れかえり、動植物も「住めなく」なって食糧難は危機レベルに達します。
シベリアなどの極地で「農業が可能になる」なんて言われるのも希望的観測に過ぎず、土壌は過度に酸性化していて農業には不向きです。
更に永久凍土と氷壁は溶け続け、そこに閉じ込められているメタンの量は、現在の地球の温室効果ガスの二倍に相当します。
一度温暖化した地球は数百年では冷めないので、これらはいつかは全て溶けてしまい、その時には海水面が79メートルも上昇します。
ここまで来るともう、人類はチベット高原でしか「住めなく」なり、その地を巡る争奪戦は「太陽のそばを飛ぶ」という英語の慣用句が適当なほど激しくなるコトでしょう。