これについて1番大きな熱量を傾けて、綜合的に広く語っているのは、やはりウィキペディアかと思います。
ここでは中国人の75%ほどが「無神論、無宗教および民族宗教」としていますが、この「民族宗教」というのは色んな宗教的要素を各自がブレンドして作った「独自宗教」と言ってもよいでしょう。
「中国人の宗教観」に大きく影響しているのは、やはり近年台頭した共産主義の無神論で、これは既に廃れた感もありますが、中国人の宗教離れを加速させたコトは確かでしょう。
近年復活して来た「儒教」も、封建的だとして共産党は始め攻撃していましたが、今では党が封建主義を奉るようになりました。
儒教は先祖崇拝の宗教で、遠くの子孫からも敬われる様な生き方を目指しており、死後の世界は子孫と共に生き続けるという信仰です。
これについては「中国の悲しい遺産」というアメリカに帰化した中国人女性(アメリカ大使と結婚した)の本と、ユン-チアン「慈禧(西太后)」に生き生きと綴られているので、興味のある方は読んでみて下さい。
この民族宗教は、冒頭の「女禍補天」を描いた道教とも混ざり合っており、これはヒンドゥー教的な「物語宗教」と言えます。
道教は女神や天人が活躍する物語を伝えており、正義と幸福のタメに戦う道を示しています。
中国人の大多数はこうした民族宗教を信仰しており、それは学校で教えられた共産党の無神論とも混ざり合っています。
果たしてこのミックスが上手く行くのかは分かりませんが、綜合的に観て「中国人の宗教観」は混乱しており、統一感が無くて社会は不安定な感じです。
そこで党は愛国主義で人民をまとめようとしていますが、中国には多くの民族や言語が存在するので、無理やり1つの国にしようとするのも問題です。
これがチベットとウイグルの独立運動につながり、その闘争を支えているチベット仏教やイスラム教の信仰心が、若い世代の中国人に深い影響を与え出しています。
こうした「迫害を受けた宗教」は強固で深い信仰心を培っているので、そうした信仰から起きたジハード(聖戦)は若者達の心を強く掴みます。