既にトゥルクとの「永遠の二日」で美化しましたが、最期にもう一花咲かせて貰います。
それは世界最高峰K2の制覇で、これは史上初でアイヌ(人)にしか成し得ない快挙でした。
鳥はそんな酸素濃度の低い所は飛べず、ヒマラヤ山脈を越える鳥は存在しますが標高5000mの峠を越えるのが精一杯です。
私は6000mくらいまで登ったコトがありますが、息切れが激しくて1mよじ登るごとに突っ伏して休む必要がありました。
ついでにヒマラヤ登山の思い出を語りますと、標高5500mくらいから夏でも溶けない氷河が現れて、それはまるで「氷の迷宮」の様でした。
5mはある氷柱が無数に立ち並び、その間をどんどん入って行けますが、全く同じ光景が広がっていて奥まで入ると迷いそうでした。
トゥルクとシバジーはそんな美しい「氷の迷宮」を遊び場にし、氷柱を掘って棲みかも作りました。
「アナ雪」ではありませんが氷だけの世界というのは神秘的で、そこはアイヌにしか棲めない特別なガーデン(神の庭)でした。
そんなガーデンの主であるシバジーにとっても、酸素ボンベ無しで8600mの頂きに立つのは容易ではなく、山に命を捧げる覚悟が無ければ出来ないコトでした。
シバジーは1mよじ登るごとに休んで己の人生を振り返り、130年の長い旅の思い出に浸ります。
多くの愛する人達を戦乱で失って来た人生でしたが、もうすぐみんなと再会できると思え、山頂から彼等の声援が聴こえて来るような気もしました...