きのう民宿のお客さんから聞いた話ですが、かのピカソすら当初は全く売れず貧困に喘いでおり、それまで追究して来た写実主義から人気の出ていた抽象主義に乗り換え、巧みな売り込み戦略も駆使して成功を収めたそうです。
ここでは彼の絵の芸術性については「ニーズに答えた」としか評していませんが、芸術というのはそれで十分なのかも知れません。
わたしも一応「文芸」という芸術ジャンルをライフワークにしようと思っており、それは哲学や科学、歴史や宗教、旅や音楽などをひっくるめた「リベラルアーツ」として物語って来ました。
「物語」というのはこうしたアーツを統合するのに適したジャンルで、映画化されるのを目標とはしていますが、「文芸」ならではの詩的な味わいも捨てがたく、やっぱり本が一番ディーセント(慎み深い、本物)な芸術かと思っています。
話をポピュリズムに戻して、「芸術の使命はニーズに答えるコト」というテーゼ(命題)について論じますと、まずピカソはとにかく多種多様な芸術をもってそれに答えようとしました。
これは「下手な鉄砲かず撃ちゃ当たる」の姿勢で、偉ぶらないディーセントなスタイルと言えます。
わたしもそんなスタイルを取ろうと思っており、日本の作家では中島らも、いいだもも、村上龍、田口ランディー、内田春菊、宇野千代なんかと共鳴します。
これらはみな非常に多作な作家で、生涯書き続けるコトでリアルな才能を示しました。
今回は物語の前置きとして歌で締めますと、‘58年に16歳でデビューし80歳を超えた今も歌い続けているキャロル-キングから、「Only love is real」をフィーチャーします。
ここでは「愛だけが真実よ」と謳われており、真の芸術とはつまり愛なんだという確信が伝わって来ます。