前回で仁は、哲学的に「神と命」の関係を語りましたが、それは党の代表のように高踏的な口調によらず、伝統を尊重した上で新しい覚(おぼえ)も愛する姿勢を示しました。
今回はより具体的に「信仰の実践」について語りますが、これは身近な習慣から人生の指針まで多岐に渡るので、大まかに3つにまとめます。
まず1つは「食」に関する信仰で、イスラム教やヒンドゥー教のハラル(許された)フードは極端な例ですが、お酒や大麻なども信仰と深く関わって来ます。
仁は中国人らしく食は何でも闊達に取るタチで、肉はヘビやカエルから虫類まで好んで食べます。
因みに、中国では少ないのですが台湾には多くのベジタリアンが居り、大豆ミートの専門店をよく見かけます。
これも立派な「信仰の実践」と言え、近未来は「食糧難の時代」になると予測されるので、肉食の習慣は罪悪感を伴うモノになるでしょう。
また、中国には食べ残しを奨励する習慣がありますが、仁はこれに反対で食は誰よりもキレイに平らげ、他人の食べ残しも残さず全て食べる気概を持ちます。
この命を大事にする精神は部下達にも伝わり、仁の部隊は他の隊の半分の食糧で行軍できる様になります。
話を酒とハッパに戻しますと、仁は両方とも嗜みますが、自分の健康を害するまでに酔いしれるコトは信仰に反しました。
ハッパはタバコの様に吸うと肺に悪いので、お茶にしたり野菜として食べるだけにし、これは健康的で酒量を減らせるメリットがあります。
麻酔(あさよい)には体感を鋭くする効果があり、味覚が鋭くなってアルコールの毒性にも敏感になるので、ガブガブ飲んだりはしなくなります。
酒酔いは気持ち良くなって元気が出る位が健康に良く、グテングテンに酔っぱらって気持ち悪くなるような飲み方はしません。
続いて習慣的な「行」としての「信仰の実践」を語りますと、仁は早朝と夜中に一時間ほど外を歩きながら唱題行をする習慣を持ちます。
彼は僧侶ではないので法華太鼓は叩きませんが、歩調に合わせた手拍子はよく響き渡り、低く渋い声でゆっくりと歩む平和行進は本職顔負けでした。
「行」としては毎年12月7日の「成道会(じょうどうえ)」に合わせて、ブッタが行った様に7日間の入定断食もします。
入定とはずっと座って唱題するコトを差し、お寺で大勢で一緒にやると入り易いので、仁も五台山の山頂に広がるチベット寺院でこの会に毎年参加します。
こうした断食行は仁の心身を軽くして、欲に捕らわれない生き方が出来るようになります。
それは「人生の指針」ともなり、彼は利己心を持たずに謙虚で闊達な生き方を実践します。