今回はマトリョーシカ書法を一段深めて、パールのブログ内で他人のブログを書きます。
こうした書法は複雑で難しいと思われるかも知れませんが、キャラクターの縛りが緩くなるぶん楽に自由に書けます。
ーー 今回も私たち亡命者がモンゴルで始めた事業について話しますが、旅行者に遊牧民の暮らしを体験して貰うグリーンツーリズムには特に何の投資も必要ないので、もう去年から行っております。
このツアーを紹介するに当たっては、カスタマーの体験談を載せるのが一番良いかと思い、イギリス人貴族で私の親しい友人であるエジンバラ公が、彼の熱心なブログでそれを書いてくれたので、些かプライベートな話もありますが載せさせて貰います。
~~ わたしは世界野生動物保護基金(WWF)の総裁を務めているので、世界中の野生動物が住む僻地を旅して来ましたが、今回のモンゴル旅行はわたしのこれまでの旅の中で一番ハードで、その分最も印象深いモノになりました。
今回の旅はプライベートな一人旅で、モンゴル草原の遊牧民と結婚した、わたしの憧れの女性の元を訪ねるのが目的でした。 出発時の想いとしては、わたしはまだその恋人との結婚を諦めておらず、相手の遊牧民がどんな男かを確かめずには居られませんでした。
ウランバートルに着いてすぐに、彼女が立ち上げたツアー会社を訪ねましたが、それは市の郊外に遊牧民のゲル(大きなテント)が密集している中の一軒で、殆んどの遊牧民が遊牧生活を辞めて定住してしまった現実をまざまざと目にしました。
しかしまだ馬を飼っている人は多くおり、わたしはツアー会社の女性2人をガイドに雇って、恋人の居る草原のキャンプへ馬で目指しました。 このツアー会社は変わっていて女性しか居らず、しかもみんなウイグル人の亡命者です。 その経緯は恋人から聞いており、ウイグル自治区の女性専用の再教育中心(強制労働施設)から彼女達を解放し、モンゴルで匿っている「女子革命突撃隊」という組織に彼女は深く関わっております。
ここでは政治や革命の話はしないコトにし、モンゴル草原の旅に話を戻しますと、大草原はわたしの想像を絶する広さで、恋人の居るキャンプにたどり着くまで3日間も要しました。 これは草原の草が羊によって食べられた跡を辿って行くのですが、なかなか着かないのでわたしは迷ったのではないかと大いに心配しました。 しかし大の男が女性2人の前でオロオロするわけには行かず、彼女達は慣れているようで「水と食料は一週間分あるので心配しないで下さい」と言い、1日5回の礼拝も欠かさず「インシュアッラー(神のご意志のままに)」を口ぐせにしていました。
わたしはイスラムの女性とここまで深く付き合ったのは初めてで、これまで彼女達を男の言いなりになる弱い女性だと思っていましたが、その考えは間違いだと悟されました。 イスラム教では男女の役割をハッキリと分けていますが、両者は神の元で平等であり、むしろ家庭内での権力(権利)はイスラム女性の方が欧米の女性よりも有利なようです。 そんな彼女等は他人の男性に対してはとても謙虚に振る舞い、サービス精神もおおせいなのでガイドの仕事には向いていると言えます。
さて、3日間も大草原を旅してすっかり心が洗われ、ようやく恋人の居るキャラバンに追い付いた時には、とにかくもう恋人の元気な姿にホッとして、結婚相手の遊牧民の男(テムジン)に対する嫉妬心は消えていました。 彼女はわたしが訪れたコトをとても喜んでくれ、それはネットも電話も無い環境でしか味わえない、サプライズとワンダーに満ちた再会でした。
「Life is only what you wander (人生とはただワンダーするだけさ)」というキンクスの名曲が心に甦り、遊牧キャラバンでの暮らしやテムジンとの交流はみな、ワンダーに満ちたモノになりました。 彼はわたしから見ると、世界で最も保護する価値のある野生動物で、こんな男が現代に存在するコトはワンダーとしか言いようがない気がしました。
この大草原で過ごした二週間は、わたしの人生の旅に於いてかけがえのないモノとなり、それは言葉では表し尽くせない、驚きと不思議さに満ちた旅でした。 ~~
遊牧民の生活をしていて、何よりも嬉しいのは旅人が一緒に暮らしてくれるコトです。 ここまで大きな苦労を積んで来てくれるコトに感謝するので、ツアー代はこちらで持ってもイイと本気で思います。 どなたでも大歓迎しますので、是非とも一度はこの緑の海を渡って来て下さい。 --