その中には「最後の秘境」とされたムスタン王国も含まれ、ここには最近ようやく外国人が入れる様になりました。
秀祥のパーティもムスタン王国を目指しますが、そこへ辿り着くまでには無法地帯の「山賊の巣窟」を通らなければなりません。
また、そうした無法地帯にも病人は沢山いるので、彼等を放って素通りするワケにも行きません。
秀祥のパーティは3人だけとし、それはなるべく少人数の方が、食糧や宿の負担が少なく山旅はし易いからです。
山道を進んで行く時は、ユパが先回りして安全を確かめてから、合図で秀祥とミトに知らせる方法を取ります。
ユパはしばしば山賊と出くわしますが、パーティは医療ボランティアなので襲ってはいけないと説得します。
ユパの必死の訴えとミトの貫禄により、山賊も道を開けて秀祥を巣窟の村に通します。
そこには当然、盲腸炎や結核、梅毒や籟(らい)で苦しむ患者が居り、それらの感染症には抗生物質が達効を発揮します。
死病に取り憑かれて絶望していた患者は希望を得て、それは秀祥の眩い笑顔と共に与えられます。
村人は彼女に感謝し、山賊達もチベット仏教に帰依して、トゥルクは山岳地帯に平和をもたらして行きます。