真の動物福祉牧場を目指して

2060年のエクソダス

 前置きが長くなりましたが、いよいよ物語が進行中のダラムサラー(法の家)に戻って来て、「宇宙史上最大の葬儀」を完結させようと思います。

 この葬儀には、高倉健のナレーションが素晴らしかったNHKスペシャル「チベット死者の書」で紹介されていた、49日間に渡る「バルドゥ祭」のスタイルを当然取り入れます。
 そこではラストを盛り上げるタメに、夜中に盛大な松明を焚いて死者を御輿に担ぎ上げ、元気に村中を走り回るといった儀式が行われていましたので、秀祥(しゅうしゃん)の葬儀でもそれをやろうかと思います。

 因みに以前、魔王−曹希聖を昇天させた時には「バルドゥ-トドル(中有助言)」をかなりフィーチャーしましたが、この「チベット死者の書」と訳されている御経を死者の耳元で読み聞かせる役割を、秀祥は幼い頃から担って来ているので(子供の声が死者によく届くとされる)、今回それは省略します。

 葬儀のバックグラウンド-ミュージックとしては当然、七拍のドラムに合わせた唱題を取り入れ、それは秀祥が唱えていたように、七通りのマントラを自由に組合わせるスタイルにします。
 これはあらゆる宗教の祈りを統合する狙いで、百万人を超す参列者はみんな一緒に輪唱して祈り続けられます。

 この輪唱には当然、前に四菩薩としてフィーチャーした4人の女神達も参加するので、彼女達の視点からこの儀式を描いて臨場感を持たせられます。
 4人の中では、直接秀祥から教えを受けたリタ-メイ(カーリー)が一番熱心に唱題するとして、彼女の主観から物語るコトにします。

 因みに以前、秀祥の十大弟子を「使徒」として描きましたが、すこし勘違いがありました。
 キリストの弟子は「12使徒」とするのが正しかったので、リタ-メイとターシャの回想録も「新しい福音書」に加えるコトにします。
 
 それにはやはり、ターシャをウラン鉱山から生還させる必要性があり、核ミサイルによって崩壊した鉱山から「エクソダス」出来たのは、彼女がブレサリアン(不食者)だったからとします。
 ターシャは誰もが生存者など居るハズないと思った一週間後に「復活」を果たし、その経験を「秀祥の福音書」で語るコトとします。 
 
 彼女はチベット蜂起軍の旗頭だったので、半年以上に渡った戦いの一部始終も書き上げられて、散って行った4000人の同胞達への花向けとします。
 これによって「12使徒による福音書」は完結し、2060年にチベット亡命政府から刊行されたこの福音書は、真の「エクソダスの書」としてバイブルを超える影響力を後世に持ち続けます。
 
 
 
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