先週、叔父夫婦の入居している介護付き有料老人ホームへ行ってきました。
大阪から西への電車に乗りかえ、最寄の駅から歩いて10分、家から3時間半ほどで着きます。
受付を済ませて叔父の部屋を訪ねました。このホームは働いている人が皆、優しい雰囲気です。
いつものように「おう、おう!」と迎えてくれた叔父です。
先回行ったときにはなかった机が増えています。そこで習字をしていたようでした。
この一月どうだった?と問うと、いろいろ話してくれます。話が前日のことになり、午前中に散歩に出て、戻ろうとすると帰り道がわからなくなったと言います。
それで、どうしたの?とさらに尋ねると、タクシーで帰ろうとして以前住んでいた場所まで行ってしまったそうです。
行く先を聞かれて、現在の場所より長年住んだ家のほうが、先に頭に浮かんだようです。
ホームを出る時は、外出カードを渡されるのですが、それを見せることもなくパニックになったのかもしれません。
ホームでは午前中に出て、お昼にも戻らず、更に三時のおやつの時間になっても帰らない叔父のことで大騒動になっていたことが、想像されます。
どういう経緯で帰れたのか細かいことはこちらに伝わりませんでしたが、無事にタクシーで夕方に帰ってきたそうです。
叔父は「騒動をかけて、皆に名前を覚えられてしまった!全国に何万人と、散歩にでて行方不明になった人がいるらしい・・・気をつけなければ・・・」と、たんたんと話します。
皆に名前を知ってもらったことはいいのでは・・・と、言いながら、ひたひたと悲しみが私の胸をしめつけます。
こうして目の前で普通に話している叔父の頭のなかで、どんな変化が起こっているのでしょう。
ひとしきりして、叔母の部屋へ降りていくと、今日はディケアに出かけているとのことでした。叔母の部屋で待っていると、職員さんが今日は7月の誕生会だからとおやつを運んでくれました。
フルーツゼリーと温かいミルクティーのおやつを私もお相伴しました。
叔母が帰ってきて、今度は叔母の話を聞きます。しばらくおしゃべりをして過ごしました。以前の施設に居た時のような不満は、ここへ移ってからは無いようで、本当によかったと思えます。
叔父夫婦がどんな形にせよ、健やかな気分で過ごせることが一番です。
4時半になり、帰途につきました。駅につくまで、叔父の忘れる・・・ことを考えて歩いていました。叔父は軽度認知症と診断されていますが、今のところ普段の日常は自立できています。
駅に着いたところで、自分の忘れ物に気づきました。
陽よけのスカーフを椅子の背にひょいとかけておいてきたのです。
取りには戻らずに次に来るときまで置いてもらうことにしました。そして、忘れることは叔父だけでなく、自分にも当てはまること!と、思い至りました。
今、叔父が歩いている道は、私が行く道かもしれません。徐々に何かを忘れていくこと・・・初めはそれにとまどいを覚え~~だんだんと悩むことも、忘れてしまうのでしょうか。
でも、認知症は病気であって、その人の人格にはかかわりない・・・などと思ったり、帰りの電車の3時間余は考えをめぐらす時間となりました。
エアコンがききすぎて、最寄の駅に着くころには体が冷えきってしまいました。