Wー2つの世界ー 第15話(3)
現実の世界の家そっくりの隠れ家に着いた ヨンジュは
急いでソンムの元へ。ベッドに体をくくりつけた ソンムは眠っています。
まるで 意識を覚醒させないよう 努力しているかのように。
呼びかけにも応じません…どうしてくくりつけているのか問うヨンジュに
チョルは 「彼が 自分でなさったんです。」と答えます。
驚くヨンジュ。自分自身を制御できなくなっているそうだとチョルは告げます。
泣き続けるヨンジュの声に ソンムが目を覚まします。
ヨンジュがちゃんとよみがえっていたことに 安堵するソンム。
そして,また 自分の中の真犯人の記憶が覚醒し
ヨンジュを傷つけてしまうのではないかと苦悩するソンムでありました。
ソンムのために おかゆを作るヨンジュ。
その間 チョルとなにやら話しているソンム。
チョルは目に涙を溜めて
「どうしてそんな話を…」
そう言い 首を横に振ります。
「できません。」
「私が言うとおりにしろ。(諭すように)」
今度はさっきよりきっぱりと
「できません。」
「私の言うとおりにしてくれ(お願いだ)」
チョルの目から 大粒の涙がこぼれます。
「それは 不可能です。聞かなかったことにします。」
そうチョルが答えたとき ヨンジュがおかゆを持って入ってきました。
「おとうさんはどう?」
ソンムは涙をみられまいとするかのように 顔を向こうにそむけます。
チョルも普通の声のトーンで少し良くなっているようだと答えます。
ヨンジュがソンムに声を掛けます。
「おかゆを作ったんだけど 召し上がることができる?お父さん」
しばらくして チョルが おかゆの入っていた盆をさげてきます。
ヨンジュは キッチンの食卓に 二人分の食事を用意しています。
「寝たよ。」
「座って ご飯用意したから」
「ご飯?」
「私達も食べなきゃ。お昼も食べてないでしょ。」
チゲをまん中に置き 二人で向かい合ってご飯を食べ始めます。
機械的に 口にご飯を運ぶヨンジュを見て 場を明るくするようにチョルが
話しかけます。
「意外だな」
「何が?」
「考えてみたら君が作った食事を食べるの初めてだね。いけるじゃない。」
「本当?」
「うん」
「忙しい医者だと思えば 結構上手だよ。」
「本気じゃないでしょ。お世辞でしょ。」
「半々かな?」
「じゃあ もっとやって見せて」
「何を?」
「お世辞にしろ何にしろ 手厳しいカン・チョルさんがほめるんだもん。
気分いいわ。」
「OK~ほめることか…」
ん~と考えるチョル。
「ほめること ないの?」
「考え中だよ。ん~~~髪は長くて…顔が白くて…」
「それ 本当に ほめてる?」
「背が高い方で…鼻も高いかな?」
「私 今 ほめてって言ってるんだけど。事実を言ってるだけじゃない。」
「耳はちょうどいい所についていて…いや~簡単じゃないな~。」
「もう…」
「オッパって一度ためしてごらんよ。そしたら,褒めちぎるのに…」
「年をひとつ 一人でとったことを 自慢してるの?」
「うん。僕は とても満たされるんだ。 なぜこのように満たされてるかって?
オッパ(自分)は31だ。ヨンジュ。 君はせいぜい30。 分かるか?」
思わず笑みがこぼれるヨンジュ。
「笑顔がいいね。一年ぶりに見るけど いい笑顔だ。」
ヨンジュは 先ほどのチョルと父の話の内容が気になるようです。
しかし チョルは 「ノーコメント」と返事します。
「食べたら 片付けは 僕がするよ。」
話題を変えるチョルです。
食後 父の様子を見るヨンジュ。(ああ お医者様だったよね)
皿洗いをしているチョルは どうしたらいいのか迷っているようで
ため息をつきます。
回想シーン
「どうせ 君と私 一緒に(生きて)行くことはできないんだ。」
「え?」
「君がハッピーエンディングなら,私はサッドエンディングだ。
私がハッピーなら,君がサッド。この手を見てみろ。」
ソンムは自分の手を見せて 普通の手ではない殺人者の手なんだと言います。
今朝 看護師を殺して逃走したんだと 告白します。
消えかかった手が 殺した後 復活します。悪いことをしないと
存在を維持できないことに気付いたソンム。(作家様なのにそんなことが!?)
「私はもう 以前の私に戻ることは できない……
(現実世界に)戻ったとしても 生きてはいけない。
私はとても汚れてしまった…(涙を流すソンム)私のこの手で
たくさんの人が死んだ…(殺した記憶を)すべて覚えているんだ。」
だから この世界から出ないというソンム。出ていくことはできないと。
「私が どうやって ヨンジュの顔を見ながら これから 生きていけるだろう?
…私の人生は もう 終わってるんだ,1年前に。」
黙って聞いているチョルですが 恐ろしい事実とあまりの衝撃に
一言も答えることができません。そして,何より ソンムがいなくなると
ヨンジュがどんなに悲しむか考えると …。
ソンムが手を差し出します。その手を握るチョル。
「ハッピーエンディングンが出る前に ここで私を死なせてくれ。
お願いだ。漫画の中に…埋めてくれ。(葬ってくれ)」
「どうしてそんな話を…私にはできません。」
「私が言うようにしろ…」
「(首を横に振って)できません…」
チョルも涙が溢れそうになっています。
「(ソンムも首を横に振り)私の言うようにしてくれ…」
ハン・チョロが 以前チョルを拷問した倉庫に再び現れました。
なんと 今度は ドユンくんを 拷問!!
(真犯人が死んだので この漫画の主要悪役が一人になったことで
悪役度が増していますね。)
しかも 実際 拷問は部下にさせていたようですね。
カン・チョルやオ・ヨンジュの居場所について 探っていたようです。
薬も投与して しゃべらそうとしたようです。
ドユンくんの携帯電話をとるハン・チョル。
チョルの携帯にドユンの携帯から ラインが入ります。
チェックすると それは ハン・チョロからでした。
ドユンに何かがあったことに気付く チョル。
ヨンジュに外で電話してくると告げます。通話することで現在位置を
知られるおそれがあるからですね。隠れ家から離れた路上に車をとめて
電話をかけます。
一瞬 ドユンが出ますが すぐハン・チョロの声。
ドユンが拉致されたことに気付きます。
大統領候補がギャングのようなことをするのかと噛みつきますが
ハン・チョロはカン・チョルが復讐しようとするだろうから やられる前に
完全に決着をつけようと考えているようです。
それだけでなく オ・ソンムの名前まであげて 多くのことを知っているぞ。
聞きたいことがある。と言い,11時までにタブレットを持ってこいと
言います。「1分でも遅れたら 何が起こるか 知ってるよな。」
電話が切れ 悔しそうなチョル。
…と,警官が 住民に聞き込みをしているのが目に入り 身をかがめます。
しかし,チョルを探してるのかと思いきや ソンムを探していることが
分かります。捜査網がすぐ近くまで迫ってきているようです。
慌てて隠れ家に戻ります。
その頃 ヨンジュは タブレットで チョルが拷問されていた倉庫にCCTVを
描き加えていました。すると 眠っていたソンムが目を覚ましました。
何をしているのかと尋ねるソンムに,ここから出る前に描いておくのだと言い
ここは ソンムにとって地獄だから 早く出ようと答えるヨンジュです。
「私達がハッピーエンディングになるように…」
と 突然 ソンムがベッドに起き上がります。
(目つきが変わってます。真犯人の意識が覚醒したのでしょうか。)
ちょうど その時 チョルが 車で帰ってきました。
門を閉めるときに 自分の手が消えかかっていることを見ます。
門を閉め 鍵をかけ 家の中へ。
書斎では 真犯人の意識に憑依されたかのように ヨンジュの首を絞めるソンム。
チョルが家の中にはいると
「死ね~死ね~」「きゃー」
と言う声が聞こえてきました。慌てて助けに行きます。
(んんん?首を絞められていたら 悲鳴は出ませんよ?
まあ 分かりやすいから いいっか)
ヨンジュから ソンムを引きはがし 両腕を押さえつけるチョル。
「大丈夫か?」
あまりの衝撃に答えられないヨンジュ。
また ベッドにくくりつけられたソンム。
正気に戻ったようで 憔悴しきっています。
(そりゃあ 地獄ですよね。愛してやまない娘を また 自分が
殺そうとしたのですから…)
「私は 何をしたんだ?」
「何も ありませんよ。」
涙を押し隠して答えるヨンジュ。
「その首は どうしたんだ…? お前に何かしたのか?」
「なんでもありません。」
何かを悟ったソンムは チョルに向かって
「私が 言っただろう。…私は怪物だ…私が言ったようにしてくれ。お願いだ。」
何も答えられないチョル。
そして,父の手が消えかかっているのを ヨンジュは目撃してしまいます。
父の部屋から出て 追っ手が来ていないか窓からうかがっていたチョルの手も
また消えかかります。ヨンジュはそれも目撃してしまいます。
チョルの手を取るヨンジュ。
「手がどうして…監獄では大丈夫だったって言ってたのに…」
「罪を償わずに逃亡し 友達を死の淵に追いやっているから…」
「誰が死にかけてるの?」
「ドユンが ハン・チョロに誘拐されたんだ。…タブレットを持ってこいと
脅迫されたよ。タイムリミットまであと40分しか残っていない。
…それに…君のお父さんが…人を殺したんだ。」
「何ですって…?」
「警察が今(僕たちを)探してるところだ。 すぐにこの家も見つかるだろう。」
食卓の椅子に向かい合って座るチョルとヨンジュ。
「ハン・チョロの(拷問の)動画を描きました。これから警察に
(それを)渡しましょう。e-mailでばらまけばいいんです。
そして ドユンさんが捕まっている場所の情報を提供しましょう。
そしたら すぐ(ハン・チョロは)捕まるじゃないですか。その次は…」
「今は だめです。」
「どうして?」
「そんなハッピーエンディングになったら お父さんが消えてしまいます。
僕のハッピーエンディングは 真犯人のサッドエンディングです。
今問題なのは どんなエンディングになっても エンディングになったら
お父さんと僕,二人のうち一人はもうあなたのそばにないということです。
死んだり…消えたり…」
警察はとうとう 隠れ家を見つけてしまいました。
誘拐されたドユンは まだ拷問を受けています。
薬物を注射され 何か尋問されているようです。
「続けろ…話せよ…2つの世界は何が違うんだ?」
ハン・チョロがドユンに話の続きを 求めています。
「この世界のほかに まだ他の世界があるといったじゃないか…今…
オ・ヨンジュがそこから来たって?」
「聞いたんです…」
「ということは あの日 私がオ・ソンムを見たそこが…他の世界と
いうことか?(合点がいったように)ああ~ちょっと理解できた。
今まで理解できなかったが…」
ドユンの顔を上に向け
「それで,そことここと何が違うんだ?」
隠れ家の前に来た警官が パク刑事に電話をかけ カン・チョルの車が
見つかったことを報告し 来てくれと要請しています。
隠れ家では ヨンジュがタブレットで 隠れ家のドアや窓など外界と通じる場所を
全て壁に描き変えていました。
「抜かしたところはない?」
「ちょっと話があるんだ…」
チョルが意を決したように言いました。
踏み込もうとした 警官達は ドアも窓もないへんてこりんな家に
驚いています。
チョルとヨンジュは,食卓の椅子に 再び向かい合って腰掛けます。
「もう…どうしよう?」
「(窓やドアを消しても)長くは持たないだろう…たぶん どうにかして
壊して入ってくるでしょう。ドユンを助ける時間も30分しか残っていないし…」
ため息をついて 顔を手で覆うヨンジュ。
その左手を取り 自分の両手でそっと包むチョル。
「もう 決定しなきゃならない。どんなエンディングを作るのか。」
「どんな?…どんなエンディングですか?」
チョルは黙って 消えかかっている手で ヨンジュの左手から指輪を抜き取ります。
そして それをテーブルの上に置くと 自分の指輪も外し そっと並べて
置きます。
「どういうこと?…何してるの?…どうして指輪を抜くの?
何をどうしようっていうの?」
「父が娘まで殺さないと消滅を免れないというのは 残酷じゃない?
そんなことはさせない。…僕の家族の名簿から消してあげるよ…
あなたは もう 自由です。もうエンディングに関係なく安全だ…
もう(この後は)あなたが 決めて…どんなエンディングを作るのか。
僕は オ・ヨンジュさんの決定に従うから…。」
現実の世界
パク教授が 病院に 出勤してきたシーン。
エレベータに乗ると 知り合いが 今朝 Wの漫画が終わったと教えてくれます。
結末のネタバレしそうな 知り合いの口を塞いで 急いでエレベーターを降ります。
パソコンを起動させ 神妙な面持ちで 最終話を読み始めるパク教授でした。
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脚本家ソン・ジェジョン作家が ワッタガッタして内容が難解だったことに
触れ 全放送の台本を公開してくれました。多少撮影の場で変更はあったようですが
だいたいはそのままです。…というわけで,台本もチェックしていたので
15話を終わらせるのにすごく時間がかかってしまいました。
ちょっと 日本語風に意訳もしてみました。
さて いよいよ 最終話です。
名残惜しいですが…頑張ります。^-^