安倍首相はきのう、EU(欧州連合)と経済連携協定(EPA)を結ぶ文書
に署名した。安倍首相がEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長と顔を
並べ、文書にサインをした調印式のセレモニー。その実況中継を夕方のニュー
ス番組でご覧になった読者も多いだろう。内閣支持率のアップをねらった見
え見えのパフォーマンスに違いないが、それはともかく、こ、これはす、す
ごいことだ。報道によれば、この協定によって、世界の国内総生産(GDP)
の約3割を占める自由貿易圏が生まれるという。
けれども、注目すべきはそのことではない。もっとすごいのは、我がアベ首
相が トランプ米大統領のポチであることをやめて、彼の主導する自国第一
の保護主義の動きに公然と反旗を翻したことである。
EUといえば、先ごろトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の相手方であり、
アメリカにとっては、刃を交える敵方に当たる。そのEUと経済連携協定を
結んだ安倍首相は、同盟国だったアメリカを敵に回す道を選んだと見てよい。
今までの安倍首相ーー何事でも「アメリカを支持する」という、べったり随
順の姿勢を取り続けてきた今までの安倍首相ーーからは想像もできない、あっ
と驚く大胆な変り身である。あっぱれ!これはすごいことだ。
問題は、アメリカの同盟国であることをやめ、アメリカから(軍事的にも)
独立することが、核戦力を持たない今の日本に可能かどうかである。経済的
な外交戦略の強化によって、核兵器をしのぐ防衛力を手に入れることは充分
に可能だ、という判断があるのかも知れない。この判断それ自体は尊重すべ
きだが、在韓米軍が撤退し、中露の軍事的脅威が増すと懸念されるなか、こ
の戦略がどこまで通用するかは、よくよく検討すべきではないだろうか。
に署名した。安倍首相がEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長と顔を
並べ、文書にサインをした調印式のセレモニー。その実況中継を夕方のニュー
ス番組でご覧になった読者も多いだろう。内閣支持率のアップをねらった見
え見えのパフォーマンスに違いないが、それはともかく、こ、これはす、す
ごいことだ。報道によれば、この協定によって、世界の国内総生産(GDP)
の約3割を占める自由貿易圏が生まれるという。
けれども、注目すべきはそのことではない。もっとすごいのは、我がアベ首
相が トランプ米大統領のポチであることをやめて、彼の主導する自国第一
の保護主義の動きに公然と反旗を翻したことである。
EUといえば、先ごろトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の相手方であり、
アメリカにとっては、刃を交える敵方に当たる。そのEUと経済連携協定を
結んだ安倍首相は、同盟国だったアメリカを敵に回す道を選んだと見てよい。
今までの安倍首相ーー何事でも「アメリカを支持する」という、べったり随
順の姿勢を取り続けてきた今までの安倍首相ーーからは想像もできない、あっ
と驚く大胆な変り身である。あっぱれ!これはすごいことだ。
問題は、アメリカの同盟国であることをやめ、アメリカから(軍事的にも)
独立することが、核戦力を持たない今の日本に可能かどうかである。経済的
な外交戦略の強化によって、核兵器をしのぐ防衛力を手に入れることは充分
に可能だ、という判断があるのかも知れない。この判断それ自体は尊重すべ
きだが、在韓米軍が撤退し、中露の軍事的脅威が増すと懸念されるなか、こ
の戦略がどこまで通用するかは、よくよく検討すべきではないだろうか。