先日、安倍首相がプーチン大統領とおこなった北方領土交渉について、新聞各
紙はどう見ているのか。それを知ろうとして、各紙の社説にざっと目を通して
みた。きのう11月16日は、各紙が社説でこのテーマを取りあげている。こ
れらを読む前と読んだ後で、私の意見はガラリと変わった。こんなことは珍し
い。言ってみればビフォー・アフター。我ながらびっくりするほどである。
各紙の社説に目を通す前は、私はこんなふうに考えていた。北方4島はいずれ
も辺境の地、価値はない。そんな島なら、2島返還でも、4島返還でも、そん
なことはどうでもいいじゃないか、と。
「おいおい、『そんな島』と馬鹿にするけど、旧島民にとっては、どれもかけ
がえのないふるさとなんだぜ。人情が解らないやつだな」と言う人がいるかも
知れない。しかし、彼らがふるさとと見なす4島へは、彼らが自由に往来でき
るようにすれば、良いのではないか。これなら領土問題とは関わりなく、一件
落着となるはずだ。
「でもなあ、4島がどの国の領土になるかで、我が国の漁業の操業権は違って
くるんだぜ。今まで違法操業の咎で、何人の漁師がロシア当局に捕らえられ、
痛い目にあってきたか、おまえは知らないのか。」
こう言う人もいるだろう。しかし、4島の周辺漁場での操業が日本人漁業者に
認められるよう、ロシア側と交渉することは充分可能ではないのか。この問題
も、領土問題と切り離して解決できるはずだ。
そんなふうに考えていた私は、返還されるのが2島なら、その2島で良いのじゃ
ないかと考えていた。しかし、各紙の社説を読んだ私は、「4島の帰属問題は、
そんなレベルの問題ではない」と思い至り、考えを改めたのである。
北方領土問題は、では、どういうレベルの問題なのか。事の本質は〈正義〉に
関わっている。こう見なす点で、各紙の論調はほぼ一致しているが、ズバリ核
心を突いているのは、産経新聞の社説《北方領土交渉 「56年宣言」基礎は
危うい 四島返還の原則を揺るがすな》である。要所を抜粋しよう。
「日本が忘れてはならないのは、四島はロシアに不法占拠された日本固有の領
土であるという点だ。四島返還を確かなものにすることなしに平和条約を結ぶ
とすれば、締結の時点で約束された以外の固有の領土を、日本が事実上放棄す
ることになりかねない。
(中略)先の大戦末期に、日ソ中立条約を破って参戦したソ連が、北方四島を
不法占拠した。プーチン氏のロシアが行ったクリミア併合と同じ「力による現
状変更」にほかならない。
安倍首相とプーチン氏は「戦後70年以上、平和条約が締結されていないのは
異常な状態だ」との認識を示してきたが、それを招いたのは、ひとえに不法占
拠を続けてきたロシア側なのである。
(中略)法と正義を重視して交渉を続けてきた、これまでの経緯を安倍首相は
軽んじるべきでない。」
法と正義を踏みにじり、クリミアを併合して、ロシアはアメリカやEUから経済
制裁を課された経緯を持つ。その経済制裁の影響で、経済的に苦境に立つロシ
アに塩を送っても、日本に何も良いことはない。ロシアに経済援助のニンジン
をぶら下げても、それで4島返還をするようなロシアではない。それに日本は、
ロシアの経済制裁逃れに加担したと見なされ、西側諸国から爪弾きにされるの
が落ちだろう。
紙はどう見ているのか。それを知ろうとして、各紙の社説にざっと目を通して
みた。きのう11月16日は、各紙が社説でこのテーマを取りあげている。こ
れらを読む前と読んだ後で、私の意見はガラリと変わった。こんなことは珍し
い。言ってみればビフォー・アフター。我ながらびっくりするほどである。
各紙の社説に目を通す前は、私はこんなふうに考えていた。北方4島はいずれ
も辺境の地、価値はない。そんな島なら、2島返還でも、4島返還でも、そん
なことはどうでもいいじゃないか、と。
「おいおい、『そんな島』と馬鹿にするけど、旧島民にとっては、どれもかけ
がえのないふるさとなんだぜ。人情が解らないやつだな」と言う人がいるかも
知れない。しかし、彼らがふるさとと見なす4島へは、彼らが自由に往来でき
るようにすれば、良いのではないか。これなら領土問題とは関わりなく、一件
落着となるはずだ。
「でもなあ、4島がどの国の領土になるかで、我が国の漁業の操業権は違って
くるんだぜ。今まで違法操業の咎で、何人の漁師がロシア当局に捕らえられ、
痛い目にあってきたか、おまえは知らないのか。」
こう言う人もいるだろう。しかし、4島の周辺漁場での操業が日本人漁業者に
認められるよう、ロシア側と交渉することは充分可能ではないのか。この問題
も、領土問題と切り離して解決できるはずだ。
そんなふうに考えていた私は、返還されるのが2島なら、その2島で良いのじゃ
ないかと考えていた。しかし、各紙の社説を読んだ私は、「4島の帰属問題は、
そんなレベルの問題ではない」と思い至り、考えを改めたのである。
北方領土問題は、では、どういうレベルの問題なのか。事の本質は〈正義〉に
関わっている。こう見なす点で、各紙の論調はほぼ一致しているが、ズバリ核
心を突いているのは、産経新聞の社説《北方領土交渉 「56年宣言」基礎は
危うい 四島返還の原則を揺るがすな》である。要所を抜粋しよう。
「日本が忘れてはならないのは、四島はロシアに不法占拠された日本固有の領
土であるという点だ。四島返還を確かなものにすることなしに平和条約を結ぶ
とすれば、締結の時点で約束された以外の固有の領土を、日本が事実上放棄す
ることになりかねない。
(中略)先の大戦末期に、日ソ中立条約を破って参戦したソ連が、北方四島を
不法占拠した。プーチン氏のロシアが行ったクリミア併合と同じ「力による現
状変更」にほかならない。
安倍首相とプーチン氏は「戦後70年以上、平和条約が締結されていないのは
異常な状態だ」との認識を示してきたが、それを招いたのは、ひとえに不法占
拠を続けてきたロシア側なのである。
(中略)法と正義を重視して交渉を続けてきた、これまでの経緯を安倍首相は
軽んじるべきでない。」
法と正義を踏みにじり、クリミアを併合して、ロシアはアメリカやEUから経済
制裁を課された経緯を持つ。その経済制裁の影響で、経済的に苦境に立つロシ
アに塩を送っても、日本に何も良いことはない。ロシアに経済援助のニンジン
をぶら下げても、それで4島返還をするようなロシアではない。それに日本は、
ロシアの経済制裁逃れに加担したと見なされ、西側諸国から爪弾きにされるの
が落ちだろう。
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