ゴルゴ13の「たかをちゃん」、「実は優しいジェントルマン」…ちばてつや氏が談話
9/29(水) 19:29配信
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漫画家のさいとう・たかをさん(2019年撮影)
漫画家のさいとう・たかをさんの死を悼み、親交のあった漫画家のちばてつやさんがコメントを寄せた。全文は、以下の通り。
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たかをちゃんを偲(しの)んで
まさか、あのお元気だったさいとう・たかを氏を見送ることになろうとは思ってもいませんでした。
彼は僕より二つ年上でしたが、ふだんは親しみを込めて「たかをちゃん」と呼ばせてもらっていました。
代表作「ゴルゴ13」とも重なり、一見コワモテで気難しそうな印象の人だから、あのサングラス越しに「ギロッ!」と睨(にら)めつけられると大抵の人は足がすくんだんじゃないかな。
でも実は誰よりも周りを想(おも)いやる、とても優しくて思慮深い真っ直ぐなジェントルマンでした。
よく一緒にゴルフをやって遊びました。
腕も相当なもので、ほんのついこのあいだまで遥か遠くを歩いている前の組に打ち込んでしまうくらいよく飛ばしていたし、グリーンに乗れば愛用のL字パターを自在に駆使し、とんでもなく長いパットをそれこそ「スナイパー」のように沈めまくっていましたっけ。
あの風貌(ふうぼう)にも関わらずキャディさんにもとても優しく接するからずいぶんモテていましたよ。
仕事も遊びも全てに大胆で繊細な「ゴルゴ13とたかをちゃん」らしさが出ていると思います。
劇画を制作するときに映画界のような考え方をいち早く導入し、毎回作品の最後のページにエンドロールとして脚本作家名、スタッフや担当者の名前を全て掲載。
監督、演出、資料集めなど役割分担を徹底し、そのそれぞれの行程をとても大切に尊重して、あのたくさんの作品を生み出し続けてきた先駆者で、とても合理的で進歩的な考え方を持っていましたね。
半世紀も前から大人がマンガを読む時代を予見し「青年誌」の必要性を強く訴えていましたね。
「劇画」というマンガの一ジャンルを創生し日本の漫画劇画文化をここまで大きく育んだのは、疑う余地なく彼の功績です。