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『べっぴんさん』10週 この追い風に乗っていけ

2016-12-11 11:39:07 | 朝ドラの感想
2016年後期BK朝ドラ『べっぴんさん』の第10週「商いの聖地へ」のネタバレ感想。


圧倒的バリトンボイス。



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●百貨店の力


大急百貨店との取引が描かれた9週。
すみれたちキアリスは悩んだ末に小山の話を断りましたが、その後大島社長と直接話すことになりました。

小山が提案していた話を蹴ったというがどういうことか、と尋ねる大島社長。
百貨店の店舗に来たときに、処分される品をみて悲しい思いをした、とすみれは理由を伝えます。
さらに「それだけではありません」と付け加えました。


「理解できない人にお任せすることはできないと思ったからです」

タグを外すことも、工程を減らすこともできない。
キアリスのものがキアリスのものではなくなってしまう。
小山の提案は到底承服しがたい。

すみれの話を聞いたうえで、大島社長は大急話し始めました。
毎日毎日何人の人と会わなければならない。
とてつもない商品の量を見て、考えなければならない。


「無駄なく、合理的に。そんなふうに仕事をしているうちに、あなたの感じる一番大事なことを忘れてしまったみたいだなあ」

すみれたちの思いを理解したうえで、大島社長が提案したのは『委託販売』でした。
大急百貨店のフロアの一角を貸す。
期限付きで。
そこで自分たちの力で自分たちの商品を売ってみればいい。

「百貨店の力を試してみませんか。どれだけ大勢のお客様にあなたたちの商品を知ってもらえるか」



●急成長過ぎて心配


この大島社長の提案に、キアリスの面々も同意しました。
責任を持って全てをする。
挑戦してみたい、と。

しかし旦那たちは難色を示します。


「責任持ついう意味が分かってるのか」
「売れへんかったら損害を全部自分らで被るんだぞ」


旦那たちが心配するのもまあ当然。
少し前まで商品に値段をつけると言う感覚がわからず、丼勘定の台帳でやりくりしてきた4人。
その4人が賃貸料・人件費・売れ残った時の損害など『商いに関するすべての責任』をこうむると言う。

……まあ反対するわな。
最初なんて値段つけられなかったし、帳面も丼勘定だったんだもんな。





●別品をより多くの人に


すみれたちは4人で大島社長に挨拶に来ました。

君枝、明美、良子、それからすみれ。
4人の顔と名前をきちんと知っていた大島社長。
先週出てきた新聞では明美ちゃんは省かれていたので、大島社長が何らかのルートで調べたのでしょう。
「4人のお店を世間に知らせたい」と考えていたすみれたちは、これ、嬉しかったでしょうね。


「百貨店は今、生まれ変わろうとしています」
「大勢の人に来てもらうには目玉になるもの。そしてお客様が心から喜んでまたほしいと思ってくれるようないいものを置きたい。皆さんと力を合わせてやっていきたいんだ。よろしく頼みますよ」

より多くの人に『べっぴん』を届けたい。
その思いは、大急もキアリスも変わらない。



●カリスマ・悦子様




時子ちゃんたち4人、それから悦子様御一行様も加わり、いざ作業開始。
作業場所の問題も一瞬起こりましたが、そこは大急ブランドで無事に解決。
これも百貨店の力ですね。

売り子の悦子様もスタンバイ。

 
「さすが悦子様!カリスマでいらっしゃる」
「 悦 子 様 」


明美ちゃん、新たなお嬢様属性を目にして言葉を失っているwww



●良子ちゃんの憂鬱


喜代さんとさくらの発言にヒントを得たすみれ。
大急出店にあたる目玉商品として、アルマイト製のお弁当箱にイラストをつけたものを製作・販売することにしました。



懐かしい、アルミのお弁当箱。
食洗機や電子レンジに使用できないので、最近じゃめっきり使用しなくなりましたが。
そうそうこういう絵柄がついているとワクワクしますね。


がしかしこの作業中、思わぬ問題が発生。


9週、やんちゃすぎて保育所では預かれないと断られてしまった良子ちゃんちのひとり息子・龍ちゃん。
やむを得ずキアリスのお店で見ているのですが、絵の具で遊びだしてしまいます。
「龍ちゃん、お母さん悲しんじゃうよ」とすみれが止めるも、龍ちゃんってば年相応に暴れるったらもう。

叱られ慣れてないし、叱り慣れてもいない。
すみれらしい『ぬるい叱り方』だなと。


そこへ外出していた良子ちゃんが帰ってきて、これまた良子ちゃんもぬるく叱る。
この一連のお嬢様たちのやり方に「良子ちゃん、こんな事したらあかんって言わな。」と声をかけたのが明美先輩でした。
同僚のお子さんってだけじゃなくて、元ナースならではの小児看護の視点があるんでしょうね。


「明美さんは子供がおらへんから分からんのよ」

あああああ!!!!
良子ちゃん、あんたまた辛気臭いことを……!!!!


 
第5週でもこんなことを言っていた良子ちゃんでしたが、でも今回は少し顔色が違う。


「どうしたらええのかわからない」
「さくらちゃんも健ちゃんもええ子なのに、なんでうちの子だけ言うこと聞いてくれないの」
「もう、どうやって育てたらいいのかわからない」


あああああ……。

大急出店の裏で静かに進んでいた良子ちゃんちのエピソード。
やんちゃすぎる息子が保育所で預かれないと言われ、自宅で見てくれる人もいないので、しかたなく職場に連れてきた。
でも職場でもやんちゃが過ぎてしまい、商品を汚してしまった。

色々とうまくいきかけていたところで、問題にぶち当たる。

仮に龍ちゃんが何らかの診断名がつくレベルだとしても、全然そうじゃないそれは子供らしさの範疇だとしても。
ずいぶんとまあ、デリケートなところに踏み込んできたなあと思います。





良子ちゃんの「子どもがいない人には分からない」発言。
これも刺さりました。
(だって現実によく聞く言葉じゃないですか……ツイッタとかでも言われるじゃないですか……)

良子ちゃんが「おめえ子無しだろ口挟むなや」って、そんな悪意を持って言ったのではないのは分かるにしても。
でもな、それを言ったら何も言えなくなってしまうんだよ。


「言い過ぎてもうたかなあ…言われ過ぎたけど……」

明美先輩も心なしか辛そう。
追い込まれている良子ちゃんを厳しく叱責するなんてつもりはなかったんでしょう。

良子ちゃんも明美ちゃんも。
想いは言葉にしなきゃ伝わらない。

なんともヒリヒリします。



●ベターな選択


このナイーブでデリケートな話題をどこに着地させるんだ問題。
その解決は意外かつ妥当な人物でした。


「何倍も手をかけてあげたらええんです。周りに何人も大人がおるでしょ。誰が親やなくてみんなで育てるんです」

坂東のお屋敷ではなさんや五十八パパの代わりにすみれやゆりを育ててきた喜代さん。


喜代さんの言葉、というのがよかったです。

坂東家ではさくらを保育園に預けず、喜代さんに見てもらうことに決めていました。
保育園が良い悪いではなく、喜代さんとさくらが決めたこと。
板東夫妻にはそれを受け入れる余裕があったということ。

戦前も戦後も子育てをしている喜代さんが選んだ言葉。
良い悪いの問題ではない。
みんなで育てればいい。
ひとりで難しいならみんなで見てやればいい。


個人的な感想ですが、この落としどころ、いいなって思いました。
というか問題の答えはなく、ひとりひとりがベターなものを選びなさい、なんでしょうね。
『べっぴんさん』の物語の中ではこれ、良子ちゃんが選ぶベターな選択はこれ。

落とすタイミングとしても、翌日でよかったなと。
パッとアバンで解決するのも違うけど、何日も引きづるのも違うし。






●ひとりじゃない


良子ちゃんと明美ちゃんのやりとりを聞いていた君枝ちゃん。
自宅で弁当箱の色つけをしているときに、ひとり息子の健ちゃんの優しさに触れます。

君枝ちゃんは、琴子さんにお礼を言うのでした。


「健太郎をあんなに優しい子にしてくださって本当にありがとうございます」
「健ちゃんはもともと優しい子、安心して」


居て当たり前じゃないし、自分だけじゃない。
多くの人に見守られてこの子は育っている。
その感謝の思いを言葉にしなければ伝わらない。

朝ドラにはなかなかレアな健全な嫁姑関係だ…

そのあと琴子さんが君枝ちゃんに渡したのは思いがけないものでした。



すみれたちが集めるのに苦心していたアルマイトのお弁当箱301個。
300個は商品になるのですが、残り1つを健太郎のために作ってくれないか、と言います。

さすがや、稲本先生。てるてる家族の話)




確かに健ちゃんは、龍ちゃんに比べたら落ち着いてます。
でもそれが良いでも悪いでもない。



何か問題にぶち当たったとき、必要なのは周りの理解と協力。
もんのすごくストレートなメッセージなんですが、冒頭の大急とキアリスの関係性にしても、出店に向けての作業体制にしても、共通して言えること。

ヒリヒリしたぶん、作品の根底にあるメッセージにグッときました。




●いざ大急百貨店へ


話を本筋に戻します。
期間限定で大急に展開するキアリス。


いざ大急へ!!


そこはかとなく薫るエヴァ風味。


この機を逃すな、カリスマ店員悦子様投入。


だが売れてない。


やはり売れていない。

なぜ売れていない……

よーし会議だ!


(デーンデンデンデンドゥンドゥン)


(デーンデンデンデンドゥンドゥン)




答えは広報の問題でした。

新聞広告だけでは足りない。
そもそも百貨店に来るような客層と、キアリスのメイン客層が異なっている。

 

ならば、親子の集まるところにポスターを掲示しようと。
(ここで良子ちゃんが保育所に挨拶してるのがまたよかったなあ)



●満員御礼


そして……


デデン!

百貨店ですみれが見た光景は、ショーケースの前に殺到するお客さんたちの姿でした。


「お客さん…たっくさんいたよ!何かな…たっくさんいたよ!たっくさんいた!」

満員御礼!!!

1日限定30個のお弁当箱即完売。
初日と2日目の分も配らなかったのは、多分初日に搬入した30個をそのまま据え置きにして3日目迎えてるからですかね。



……。

だが、売れすぎてスッカラカン。



補充しろって言われても、急な量産体制はとれない。
「じゃあ、ショーケース返しちゃえばいいんじゃない?」と斜め上の展開(だが実話)

えええ、ショーケース2つで販売するってのが契約だったでしょ。
だめでしょそれは……と思っていたら。



社長が見てた。



●商いの聖地


ショーケースを減らすんじゃなくて商品を増やすことを提案する大島社長。
あと3日でもわざわざここに出店しなければ出会うはずのないお客様と商品との出会いがある
それが何より大切か。
何より素敵か。

すみれさんたちなら言わなくてもわかるよね
、と。


「黙って過ぎても3日、懸命に過ぎても同じ3日や」

やると決めたのだからやってみなさい。
今のこの追い風に乗りなさい。


今、この商いの聖地で、小売りの神様に何を学ぶか。
五十八パパはこの場には不在ですが、大島社長と同じことを言ったことでしょう。


やると決めたのだからやろう。
より多くの人たちに別品を届けるためにやろう。


どこか楽しそうなのすみれたちも時子ちゃんたちも悦子様たち。
みんな「戦争で失った青春」を今楽しんでいるんでしょうね。




10日間の期間限定販売。
序盤は客層が異なることで全く売れず困ったものの。

「じゃあどうする?」
「何が足りない?」


と考えて、新たな計画を実行に移しました。

どうなるものか、不安だったものの。
蓋を開けてみれば、12万円の売り上げで目標額を大きく上回る超大入り。


しかしすみれたちにとって重要だったのは、売り上げよりも何よりも、より広く多くの人に伝えられたかどうかということ。


「はい、新しいお客様も増えました。大急に出店しなければ出会えなかったお客様に出会うことが出来ました」

そのすみれに、大島社長は思いがけない提案をします。
大急百貨店への正式な出店。


「ずーっとだ。何年も何十年も。大急百貨店にキアリスの支店を出さないか」

どうなるどうなる。



●プレイバック男会



嫁さんたちのお店が急成長する一方。



男回の面々がスパイス効いてましたね。
まず嫁たちを心配する3人が、ツッコミ役として機能していたこと。
コミカルな演出も担っていました。



昭一さん「病弱だった嫁が最近妙に強い」



君枝ちゃんが健康を取り戻したのはとてもいいこと。
でも落ち込んでる紀夫に「そんなん気の持ちようだってwww」とか。

なんだかイチイチムカつく発言が目立ちはじめた昭一。
ああイケメンとラブラブ夫婦は今いずこ。



勝二さんの場合「明るく元気だった年下の嫁が最近元気がない」

明るく元気だった年下の嫁が最近元気がない。
子育ても自分はどうしたらいいのか分からない。

昭一に相談してもなんかこいつ使えない。

でも、勝二さんはここで紀夫に相談して喜代さんにたどり着いたのがよかったし。
琴子さんの言葉を夫婦でかみしめてるのもまたよかった。






武ちゃんの場合「渾身のど直球」


9週から登場している武ちゃん。
じわりじわりと明美ちゃんとの仲を詰めていきます。



10日間の出店が終わり。
夫婦3組がそれぞれ談笑している場から逃げ出すような明美ちゃんを呼び止めました。


「明美さんを幸せにしたいんじゃ。一緒にあったけえ家庭を作りたいんじゃ!」

武ちゃん、渾身のストレート。
がしかし明美さん華麗にスルー。

それも仕方ないんですよね。
武ちゃん15歳、明美ちゃん24歳という年齢設定。
明美ちゃんの性格考えると、年下の武ちゃんは弟的存在なのかもしれないし。



紀夫さんの場合「色々と辛い」

そんな切ない武ちゃんより辛いのこの人。



キアリスと大急の直接の取引がはじまったので、坂東営業部の紀夫はいったん離れることになります。
坂東営業部もキアリスに負けじと勝負をかける企画が、「大人の洋裁教室」でした。
この担当を任された紀夫は、新素材の生地などを探し回ったり営業をかけたりをするのですが、

どうにもこうにもうまくいかない。


嫁は成功するし。


同僚は仕事できるし。


潔は期待してくるし、ゆりは痛々しいって言うし。


唯一本音を話せるのは、男同士の飲み会。
(でもそういう場所があってよかったね)


「人づきあいが…苦手で」

ストレスをフルに貯めた紀夫。
潔と昭一のポジティブパンチをくらってもうKO寸前。

で、酔いつぶれてこうなった。



とはいえ目の前の仕事に手を抜くことはできない。
嫁たちもがんばってるんだ、自分も頑張らなくては。

洋裁教室の運営を任され、多くの婦人たちの前に立つも。


過緊張。


あっ。






●次週第11週「やるべきこと」





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