甘粛から新疆へ入ったシルクロード特急は朝のウルムチを目指す。
さすが天山北路、マイナス10度との噂が飛び交う中恐る恐るホームへ降りた。
ウルムチの市街地は発展していて、ある意味の懐かしささえ感じる。
なんだよ東京じゃん。東京ってこんななの。
まさに新宿そのものだよ。
へえそうなんだ、俺長野から東にはいったことないよ。
私も名古屋から西にはいったことないな。
街の節々にはノスタルジー、西安で感じた . . . 本文を読む
列車の朝は冷え込む。動く床5泊目。
いいかげんにホテル泊が待ち遠しい。
私の感情を知らないであろう列車は相変わらずの音をたてながら、河西回廊を西へ突き進む。
車窓に見える白色は塩か石灰か。
違うよ雪だよ。
あ、羊がいる。
山羊もいるよ。
いよいよだねえ。
ねえ──寝ぼけなまこで交わした会話。
NHKで見た光景が今目の前に広がっている。
誰もがその実感を握り締めていたはずだ。
気が付けば雪は止んでい . . . 本文を読む
ぼんやりと足が地に付かない気分のまま船の甲板に出た。
海に反射する光が眩し過ぎる。
どうなるのだろう、どうなるのだろう。
ずっとその問いばかりを繰り返しているうちに、大きく汽笛が3回響いた。
離岸はあっという間だった。
方向を変えた船は大海原へと繰り出す。
いよいよはじまる。
考えていたことも不安もいつのまにか忘れていた。
大きな動きを感じていた。
やっぱり関西弁は聞き慣れないなあ。
早く名前 . . . 本文を読む
【帰国後にまとめて書いたものなので、時系列がズレてますが気にしないでけろ】
品川駅でひかりから降りたとき、懐かしい感情がこみ上げてきた。
ここは日本なのだ。ここにいる人たちは皆モンゴロイドで、日本語を話す。
朝になれば家を出て仕事に行くし、17時になれば帰路に着く。
家族に迎えられて白米と味噌汁の日本食を食べる。
熱い風呂にだって浸かるだろう。
清潔なトイレで用を足すだろう。
映りの良いテレビ . . . 本文を読む