朝ドラ『べっぴんさん』。
迫るオイルショック、エイスはどうなる、と気になるところですが。
個人的に「うわあ……」となったシーンを3つ紹介します。
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1.あてもなく闇をさまよう紀夫
紀夫君がおじいちゃんになりました。
じじバカの道をまっすぐ突き進む8ミリカメラおじいちゃん。
週末の社員たちを呼び寄せて自分の孫自慢大会。
さすがだ紀夫。
可愛いよ紀夫。
って、いまやマスコット的存在の紀夫君ですけどね。
2週で出征。
3週4週で良子・君枝のそれぞれの旦那が帰還する中、紀夫が帰ってきたのは7週の終わり。
ようやく帰ってきて、桜の下ですみれ、さくらと抱き合うシーンはそりゃあ感動ものだったのですが……
帰ってきたら、俺の嫁、立派なバラック建ててる。
帰ってきたら、俺の嫁、商売を始めてる(しかも順調らしい)
帰ってきたら、俺が継ぐ予定だった会社、もう動き出してる。
帰ってきたら、お嬢様だった義姉がなんかやたらしっかりしている。
帰ってきたら、米国兵士と街の子どもたちがなれ合ってる。
帰ってきたら、敵国の言葉や食べ物が机の上に並んでる。
帰ってきたら、よく知らない人たちがいっぱいいる。
帰ってきたら、俺と嫁の子どもが知らん男に懐いている。
今振り返ると、これは紀夫辛い。
口下手だけど優しい男だった旦那。
収容所での辛辣な体験は、紀夫に人間不信を植え付けていました。
この週はとにかくとにかく辛辣。
職のない紀夫があてもなくさまよう闇市の様子が描かれるんですが、これ。
「敗残兵が」と、傷痍軍人に罵声を浴びせる男。
侮蔑の言葉を投げる米国兵士。
戦後描写としてギリッギリまで攻めてた回でした。
・『べっぴんさん』8週その1.泥水を湧き水に変えろ
・『べっぴんさん』8週、その2 さよならを選んだ君はおそらく正しい
2.良子ちゃんがどん底だった頃
駆け抜けた自身の半生と子育てに夢中だったころを振り返り、この表情。
ほんとにね、ほんとによかったですよ。
いやマジで良子ちゃんが幸せになってくれてよかったですよ。
最も安パイだと言われている良子ちゃんですが、序盤は逆でした。
接客が苦手の良子ちゃん。
麗子さん相手に物怖じして言葉が出なくなっていました。
「お客様相手にその態度はないだろう」と明美さんに注意されるんですが……
「4人って言うてもあの人は看護婦さんでしょう?」
そのままの言葉に取れば「あなたは手に職があるんだからいいじゃない」。
働くこと、女性が働くこと、女性が手に職持って働くことへの偏見だけならまだいいんです。
しかし看護婦の歴史を振り返ってみると、社会的地位が確立されたのはごく最近の話。
このとき昭和20年代。
明美ちゃんは確かに手に職を持っていますが、じゃあ社会的地位があるか?と言われればそれは微妙なところかもしれません。
良子ちゃんの言葉には「看護婦という仕事への職業差別」が隠れている可能性もある。
「うあああこのドラマ暗い!!!」と感じた瞬間でした。
しかもこのあと良子ちゃんと明美さんの対立は激化。
「ええなあ、羨ましいわ。奥様はのんきで」
「何よ…悔しかったら自分も奥さんになればいいのに」
「おあいにくやけどうちは仕事持ってますから」
このとき明美ちゃんは勤めていた病院を解雇されていて、良子ちゃんは家庭があるから仕事をやめると言い出していました。
でもふたりとも嘘をついていた。
しかもわりと良子ちゃんがkuzu。
いやあひどかったですね、この週。
→『べっぴんさん』 5週 帰ってきた人たち。
そんな良子ちゃんと明美さん、まだまだ続きます。
やんちゃすぎる龍ちゃん。
仕事場で他のメンバーにも迷惑をかけてしまいます。
「しっかり叱ったほうがいい」と明美さんが言うんですが、これに対して良子ちゃん。
「明美さんは子供がおらへんから分からんのよ」
ほんとにひと言余計で…!!
そんな良子ちゃんはひとり子育ての悩みにぶち当たっていました。
「どうしたらええのかわからない」
「さくらちゃんも健ちゃんもええ子なのに、なんでうちの子だけ言うこと聞いてくれないの」
「もう、どうやって育てたらいいのかわからない」
TLでも話題になってましたが、ずいぶんデリケートなところにきやがって…!と。
→『べっぴんさん』10週 この追い風に乗っていけ
3.孤立する朝ドラヒロイン
さくらと藍の成長を温かく見つめるすみれです。
(菅野ナレ風に)
さくらの誕生ってとても早かったんですよね。
第2週。
この子を守ろうと思って必死に生きてきた。
泥水を湧き水に変えてきた。
それがべっぴん作りにつながった。
皇室御用達にまで成長した。
それがどうしてこうなった。
16週『さくら』のハイライトシーンのひとつ。
さくらが次郎への思いから、ナイトクラブ遊びにはまっていた頃。
ババアと化したすみれがナイトクラブにズカズカ乱入する事件が起きました。
「何をしてるのよ?!」と激怒して、みんなの前でビンタ。
「忙しい忙しい言うて自分のことしか考えてないくせに」
「自分のことやない。仕事なんやから」
「好きでしてる仕事やろ、自分が。それやったら自分のためやない」
「自立もしてないくせに勝手なことよう言うわ」
「うるせーよババア」と孤立していく朝ドラヒロイン。
この後無事にすみれ株が持ち直したからよかったものの……
幼少期から口下手で、それでも針と糸に魅せられた少女が母となり。
非力ながらも娘を守るため、懸命に時代に立ち向かい。
うまくいかないこともあったけれど、ようやく実を結んできた。
朝ドラならではヒロインとの距離感。
すみれが孤立していく姿は観ていて辛かったですね。
→【ジャズ喫茶編】えぐいよ!!べっぴんさん【さくら強く生きろ】
おまけ
中の人同じなんてそんな。
— ゆずず (@yuzu0905) 2017年2月27日
#べっぴんさん#精霊の守り人 pic.twitter.com/gFKgsMfqwJ
1970年頃のすみれが1950年頃を振り返って「あの頃は…」と言っていたけれど、ロケ地として映る神戸ファッション美術館の様子を見てると、同じように2017年から20年前の90年代の神戸のことが思い出され、同じように「あの頃は…」となるの感慨深い。#べっぴんさん pic.twitter.com/g66yOB10tS
— ゆずず (@yuzu0905) 2017年3月2日
病弱だった君ちゃんが立派な姑に、ひどいこと言い合ってた明美ちゃんと良子ちゃんが仲良く並んで、時代に振り回されていたすみれと紀夫が穏やかに時代を残していく。べっぴんシーンや新しいセットはなくとも、登場人物が時代を生き抜いて幸せ掴んでるってだけでもべっぴんかも。
— ゆずず (@yuzu0905) 2017年3月9日
#べっぴんさん
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