妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

〈07夏、四万温泉バースデイ〉~自然~

2007-09-05 23:38:27 | ○07夏、四万温泉バースデイ
12:10
中之条駅

いつもよりグンと短めの乗車時間。
車窓が緑を濃くしてしばらくしてから、中之条駅に着いた。
いつものようにガイドブックは持っていないので観光マップをもらう。
定刻、少し混んでいるバスは四万温泉に向けて出発した。

沢田農協の農産物直売所がこみあっている。
わざわざバスを下車する観光客もいる。
なんだかんだで農の未来は明るいと思える光景だ。

サルビアの群生が見えた。
赤い夏。
一番後ろの席でのんびりと揺られている。

 

30分ほど経って、四万甌穴についた。
チェックインまでかなりの時間があるので一旦下車。
下りたのは私だけだった。

 

絶景をひとりじめ。
甌穴は川床の岩が摩擦で擦れて深い穴が出来たものらしい。
難しいことはよくわからないけれど、緑の色の美しさならわかる。
蝉の音が岩に染み入る。
温度計が30度を示していても、標高が高いせいかだいぶ涼しく感じる。
水は夏色、風は秋色。
明暗はコントラスト。


大事なことは、なんですぐ忘れかけてしまうんだろう。

 

14:30

再びバスに乗ってバスはさらに山を登った。
目指すは四万温泉。

 

終点、四万温泉バスターミナル
乗客はバスを降りると、散々に温泉街へ消えていく。
私も慌てて追い掛けてみたのだけれど、すぐに見失った。

 

細いレトロの裏道。
パチンコ、スマートボールなんて今日び珍しい店が立ち並ぶ。
セピア色の似合う街並み。
浴衣でそぞろ歩く湯治客。
どこからか香る温泉まんじゅうの甘い匂い。

 

積善館。
四万温泉、老舗中の老舗旅館。
紅い橋と江戸時代からの建物が、千と千尋の神隠しを彷彿させる。
その橋を渡れば――と不意に頭がボヤッとする。



予約したのは四万温泉最奥の宿。
温泉街から少し離れている日向見地区にあたる。
山道の県道をてくてく歩く。
車は数える程度しか通らない。
電車にバスにそれなりに標高が上がったらしい、山頂が近く感じる。
緑を透けてくる夏が眩しかった。

 

日本の旅に寺社あり。
特に好きというわけではないのだけれど、旅に出て見掛けるたびに立ち寄っている。
水晶山の登山道入り口にある稲包神社。
普段なら登山道途中までヒョイヒョイ歩いてしまうのだけれど、序盤の看板に神社で一休みもそこそこにチキンは引き返すことにした。
「このあたりはヒルが出ます。ご注意下さい」
「熊出没。気を付けて」
どう注意しろと言うんだか、そんなことを小さくぼやいたら足に何か触れた気がしてびっくりした。



16:00

 

日向薬師堂の奥に旅館はあった。
思ったよりもひなびているし川が近い。
それに人がいない。
温泉街から日向見地区までにすれちがったのは夫婦一組だけだった。
「……ごめんください、予約しましたなかむらです」
女将さんがすぐに出てきて部屋へ案内してくれた。
お一人様専用客室。
旅館やビジネス用ホテル以外のホテルの8割は一人旅お断りが多いから、このプランは本当に助かる。
いつもは漫画喫茶やスーパー銭湯だし、強攻に強攻を重ねたときは車中泊ばかりだけれど、たまにはね。


ドラマの再放送をみたり、宿にある漫画を読んだり、せせらぎを聞いていたらすぐに夕食の時間になった。
一人で部屋食。
格安プランでリッチな気分を味わう。
至極の贅沢。

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