ZF

メインはtwitterで、ここは書庫。
twitter ID : @ZF_phantom

慰安婦像撤去の攻防

2016年01月12日 | 韓国・朝鮮


日韓慰安婦問題合意で「在韓日本大使館前の慰安婦像撤去」が議論の対象になっている。だが、あの慰安婦像の撤去はおそらく不可能、というのが日韓両国での世論の大勢を占めているように見える。では、勝つのはどっちなのか。韓国の尹(ユン)外交部長官は記者発表で次のように述べた。

日韓両外相共同記者発表
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html

《韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,韓国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,適切に解決されるよう努力する。》

尹外交部長官が述べた「日本政府の懸念」とは、外交関係に関するウィーン条約 第二十二条2「接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。」に対応している。

外交関係に関するウィーン条約(外交関係ウィーン条約)
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/mt/19610418.T1J.html

尹外交部長官のセリフには「撤去」という言葉はないので、「公館の安寧・威厳の維持」が実現できれば、例えば慰安婦像を塀で囲ってしまう、などの裏技も可能だ。だが、それとて韓国内で合意形成を得るには不可能なほどに困難なことだろう。

この「慰安婦像撤去」について一部には、「韓国側が確約しなかったから韓国の勝ち(=日本の負け)」という評価がある。しかし、それはモノゴトの表層しか見ていない。日本にとって「慰安婦像撤去」は歓迎すべきことだが、それで何らかの国益になるわけでもない。韓国人の反日が消えるはずもない。

では、今回の合意における日本の戦略目標はどこにあったのか。合意のこの文言によって韓国政府を黙らせる確約を得たことが第一のポイント。「日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。」

第二のポイントは、韓国によって各国に広められてしまった慰安婦問題に起因する日本の悪評を払拭すること。これについては、正攻法としては、正確な史実と日本の見解を粘り強く各国に説明することだが、前項の合意には抵触しないので、今後も可能であり、逆に韓国からの再批判だけが封じられた。

そして、正攻法ではないが、日本の悪評払拭となる策謀がある。それは、「韓国はウソつきだ」あるいは「信用できない国」との悪評を世界に知らしめること。むしろ、正攻法よりもこの方が効果は絶大だろう。ウソつきが言いふらす悪口を真に受ける者はいない。ウソつき本人の悪評が増すだけ。

韓国側は「慰安婦像撤去を努力するが、約束はしてない(意訳)」ので、それで勝ったと思うならそれで良い。日本は、努力の継続をひたすら要求するだけ。損は何もない。だが、韓国側は、その政府努力は韓国内の反対派からの反発を招き、対立が継続する。撤去を強行すれば政府は持たないだろう。

慰安婦像撤去の是非について韓国内で揉め続けるほど、各国には「韓国はウィーン条約すら守れない野蛮な国」という悪評が定着する。逆に、韓国政府が撤去努力を放棄すれば、それは合意破棄になるから、それも韓国の信用失墜となる。この意味で、韓国の方が罠にはまった、と私は思う。

最近の安倍内閣は、対韓国についてはいわゆるネトウヨの想像をも超える策謀を繰り出すように見える。助け合うべき大切な隣国、というような扱いではない。社交儀礼の微笑の裏で思いっきり蹴りを入れている。本気で日本を怒らせた報いを受ければいいと思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 慰安婦は史上最悪か | トップ | 韓国人のDNA変異の謎 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

韓国・朝鮮」カテゴリの最新記事