これ、中国から北朝鮮を剥ぎ取ろうとしてるようにも見える。そりゃ中国は抵抗し始めるだろ。
《ポンペオ氏は、「確実にしようと思ったら、安全保障を提供しなければならない」、「これは25年間未決のままの取引だ。」》
「北に安全保障提供」米国務長官、非核化の見返りに言及 https://t.co/ULN9HOkDv7
— AFPBB News (@afpbbcom) 2018年5月13日
前にも書いた気がするが、日米vs中露という大きい対立陣営がある中で、従来は日米韓vs中露北だったものが、南北を入れ替えて日米北vs中露韓という奇想天外な組み替えもあり得るんじゃないの?
今後、米中対立がどんどん激化すると思えば、北朝鮮を滅ぼすことは最終目標でもなく有効活用した方がいい。
イラク戦争の教訓のひとつは、独裁者サダム・フセインを排除したらパンドラの箱が開いてしまい、残った世界は混沌の極みだったということ。ましてや、そうなった後の朝鮮半島は全域が中国の軍門に下るのは明らか。となれば、米中対立の構図からみると愚策。逆に、北朝鮮温存かつ入れ替え策が有効かも。
ただ、そうなろうとした場合、露というのは西側と国境を接することを絶対拒否する体質があるので(クリミア事変とか)、北朝鮮の処分を巡って米露が衝突する危険がある。北朝鮮が米国の影響下に入るなら、露と国境が近い一部をロシア軍が侵攻して占拠するかも。クリミアと同様に。それでもいいけど。
で、今の状況は、核兵器を完全破棄し、かつ拉致被害者も全員返して、日米との遺恨を清算した上で米国の安全保障の庇護下に入るか、それとも米軍の総攻撃食らって滅びるか、どっちでも好きに選べや。っていう感じ。これは金正恩も人生最大の正念場だが、習近平も相当困ってるだろうな。
あと、これも定番の話だが、米国はビジネスの国。焼け野原になった北朝鮮を中国にさらわれるよりは、陣営組み換えして核兵器を廃絶した北朝鮮に米国企業が進出して商売した方が利益になる。ビジネスマントランプ大統領も国務省もそれは念頭に置いてるはず。情緒を無視して損得だけで考えればあり得る。
さらに想像を進めれば、核廃絶して西側陣営になった北朝鮮が米国から兵器を購入し、在韓米軍は撤退しつつも米韓同盟を温存し、日本もこのままで、台湾に米軍が駐留するようになれば、米中対立の構図の中での北東アジア情勢としては100点満点だろう。この場合は中国は完敗。たぶん、そういうゲーム。
それから、この北朝鮮問題ってイランと連動してるんだよな。核兵器での結びつき。米軍も2正面作戦はできないだろうから、核兵器の供給元(知財という意味も含めて)の北朝鮮を戦わずに核廃絶させられれば、イランの核武装を遅らせつつ、イランと開戦という選択肢も取り得る。
イラク戦争は実は石油利権が狙いだった、とグリーンスパン元FRB議長が暴露したことがある。同じ動機でイランとの開戦はあり得るだろう。逆に北朝鮮との戦争は焼け野原にした後に中国に持っていかれるだけなので、利権的に価値がない。イランとの核合意破棄なんてその準備にも見える。
ただ、イラク戦争当時と違うのは、米国はシェールオイルの開発で産油量がほぼ世界一になってるから、イランとの戦争の危機が高まるだけで米国石油業界が儲かるようになっている。既に原油価格が上昇してそうなってるけど。その点は露も喜んでる。w その意味では危機が持続すれば開戦せずとも良い。
もしかすると、イスラエルの米国大使館をエルサレムに移転する話も、同じ文脈の上に乗ってるかもしれない。つまり、中東の紛争危機が高まると原油価格が高騰し、米国シェールオイル業界に利益がでる。ついでに、米国内の宗教票も稼げる。今のところ、こんな読みをしてる識者は特に見つけてないけど。
まぁ、この読みが正しいかどうかは知らんけど、大国の国益の稼ぎ方ってこんな雰囲気だろうし、北朝鮮問題だって日本から見れば北朝鮮しか見えてなくても、大国から見れば地球全域に全部つながってるだろうよというお話でした。
(以上、自分のツイートの書き写し記事)
(追記)
トランプ大統領が、米朝首脳会談を中止するという書簡を発表してから急激に事態が動いた気配がする。外交上の外形的にはまだ見えていないが、トランプvs金正恩という構図の中では当人同士の間では決定的な決着がついたように思える。
トランプ vs 金正恩、勝負あり - Togetter
https://togetter.com/li/1231353
軍事的合理性だけで考えれば、日本を核攻撃する意味はないと思います。そんなことをすれば必ず米国から遠慮なく報復核攻撃されて北朝鮮が消滅しますので。従って、北の核は威嚇または抑止力の意味でのみ有効だと思います。
ただ、北朝鮮は日頃から「日本こそわが民族に極悪非道の犯罪をはたらいた千年来の敵である」「日本が過去にわが民族に働いた全ての罪悪をいささかも許さず、百倍、千倍に血の代価を払わせる」などと言ってる国ですから、軍事的合理性だけで有事の行動予測はできないだろうと思います。