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某所で「米国のデフォルト」が議論になっています。私は専門家でもないので、デフォルトするとかしないとかの断言などしません。断言する方が無責任です。また、金融専門家であっても断言などできないでしょう。
ただ、いくつか述べたいことはあります。
問題は修正される
街中を走っているクルマは、そのままアクセルを踏んでいたら必ず事故を起こす、と言えると思いますが、実際にはぶつからないようにドライバーはハンドルやブレーキなどを操作します。だから、結果的にはほとんどぶつからないわけです。
それと同じように、国家であれ企業であれ、破綻しないように必死に操作している人たちがいます。
まっすぐ進み続けて安泰な国家も企業もこの世にありはしません。
「デフォルトする」と唱えている人たちの主張にも、その前段に「このまま行けば…」という条件が記述されていないでしょうか。
「このまままっすぐ行けば…」
いや、まっすぐ行かないのです。皆、それぞれの立場で責任と、利益と、名誉と、人生を賭けて必死に奮闘して対策しているのです。
だから、外野の例えば田中宇氏などらが「破綻する、破綻する、する、する…」と何年言い続けても実際には破綻しないのは、これが理由だと私は思っています。
租税回避問題
どこの国でも税収が増えれば政府はデフォルトにはなりません。
ところが、米国では見かけ上は景気が回復しているようですが、政府財政は逼迫しています。
その理由のひとつに「多国籍企業による租税回避」問題があります。税率が低い国に本社を移してしまえば、どれだけ売上と利益があっても税金逃れができる、という抜け穴的な方法です。
一例を挙げますが、これはアップルでもアマゾンでもどこでもだいたい同じことが指摘されています。
米ウォルマート、海外事業の税負担軽減に租税回避地利用=調査
http://jp.reuters.com/article/2015/06/17/wal-mart-stores-taxavoidance-idJPL3N0Z34FC20150617
このような大企業が税金を払ってくれないのですから、政府はデフォルト危機にもなるでしょう。
これは、数年前からG20財務大臣会合などで問題になっていましたが、ようやく対策が打たれ始めています。
多国籍企業による租税回避への対抗に向けたOECD/G20の第一歩が踏み出される
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/first-steps-toward-implementation-of-oecd-g20-efforts-against-tax-avoidance-by-multinationals-japanese-version.htm
従って、この問題に関してはいずれ税収が回復する効果を発揮するでしょう。
これも、前項で述べた「問題に対する修正」です。破綻に向かってまっすぐは行かないのです。