デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

吾輩も猫である 62 ( ドラマチックな人生 )

2014-06-26 11:58:34 | 吾輩も猫である

 I am "GOLDEN EGG"
 吾輩の写真は主人が勝手に撮ってUPする。が、「吾輩も・・・61」の冒頭写真がいつの間にかPC画になっていてビックリ! 例により主人の学生時代の後輩QPが描いた。下半身がやや気になるが、今の主人夫婦にとって「金の玉子」には違いない(笑)

           

 主人が京劇公演に誘った元同僚
 先日、主人に京劇公演の招待状が届いた。フェスティバルホールは、昨春の(建替)再オープン後は主人には初めて。細君は都合がつかず主人は元同僚を誘って出かけた。
  京劇公演の詳細は次の「閑話休題(フェスティバルホール・・・二つの公演)」参照

 ドラマチックな人生
 この元同僚は、このブログの「閑話休題(旧友との食事会)」で、『ドラマチックな人生についていずれ』と記されていた方。公演前にそのことが話に上り、「迷ったけどやっぱり載せようか」と。主人の頼みゆえ「文責:シマジロウ」にてごく簡単に紹介する。

 彼は二つ違いの弟と千里ニュータウンの団地で育った。小学校6年のある晩、両親がひそひそ話す声を聴く。弟はすでに寝入っていたが、彼は息を詰め耳をそばだてていた。
 『私にはいま好きな人がいます。一緒になりたいんです。別れて下さい』
 『子どもはどうするんや。子どもを棄てる気か』
 『二人はよう連れて行きません。でも〇〇(弟)だけは連れて行きます』
 『子どもは別々にできん。両方連れて出るならいい。片方だけなら許さん』
 結局、母は二人の子を残して家を出た。以後、父一人で二人を大学にも進学させてくれた父に、彼は心から感謝している。そして母には『実の子二人を棄ててまで自分の思いを貫いたひとだと思う』と。なんというすごいヤツや!と、主人、聴きながら心に滂沱。

 昨年、彼が退職する前夜、弟から電話がかかってきた。
『司法書士を名乗る人から電話があった、俺らの母親が死んだそうや』。
『誰にも知らせんでいいとの遺言だったらしいが、俺が結婚した時の新聞記事の切抜が遺されていた。母親は生前この記事を司法書士に見せ、私の息子や!と』。
   彼の弟はさるアスリート(五輪選手)と結婚、スポーツ紙の話題となった。
弟『これは知らせなくてはとスポーツ紙に俺の電話番号を聞いて電話をくれたらしい。遺骨のことやらで名古屋まで来れないか?とのことやった。兄貴、どうする?』。

 彼は『そりゃ行かないかんやろ』と、退職辞令を受けるや名古屋へ。別れから50年、実母(の骨)に再会した。50年前『〇〇(弟)だけは連れて行きます』と言った母親の言葉を思い出した。司法書士に弟の結婚の記事を誇らしく見せていたことも知った。だからと言って憎い!とは思わなかった。寧ろ母なりに信念を貫いた人生を送ったんやと思った。
 『俺が退職する日にこの報せがあり50年ぶりに会えた。ず~っと俺と見守ってくれてたんや。俺の退職の日に、お疲れさん!とねぎらってくれたんや。俺はそう思うんや』。

 これ以上、吾輩が記すべき言葉は・・・ない。

     
                       Pictures by QP (クリックで拡大)

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 【過去ログ目次一覧】
 吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
 吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
 吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
 かんわきゅうだい  http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
 閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
 腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
 旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
 ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c

12 コメント

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おはようございます (michi)
2014-06-27 05:52:39
女性には二通りあると思うんですよね
母性が強い人と、女の部分が強い人と。

ある年代(30代か40代だったかな?)に周りの知人の女性がどんどん(本当にこの表現がピッタリ)男性と逃げました。
それも小さい子供を残して・・・・・
その時、私は思いました
「女として最後の炎が燃えるのかな~」と・・・・
子供を奈落の底に落とすような思いをさせるなんて許せない・・・私はそう思いました。
残された子供はほとんど道をそれました。

その方と弟さんは立派でしたね。
私だったら会いに行けたかな?
お父さんも大変だったでしょうに・・・・
軽々しく言えないのかもしれませんね・・・・
ううーーん・・・。 (himiko)
2014-06-27 10:45:57
突然ですが、私のホームページに「メールフォーム」っつーものがあります。
そこから一度わたくしめにメールを頂けないでしょうか?

さて。人生にはさまざまなドラマがあります。
この話を読ませて頂いて一番徳の高い人は長男さんでしょうかと思いました。
そんな方とご友人のデ某さんはさすがだと思います。
この後の人生が更に豊かで幸せであるようにお祈りします。
本当にドラマチック (かず38)
2014-06-27 13:47:34
本当にあるんですね。。。
読んでいて、涙が出ました。
いい話をありがとうございました。
厚い人生を歩んできた (デブと某医)
2014-06-27 15:04:00
michiさん
率直なコメントありがとうございました

> 女性には二通りあると思うんですよね
> 母性が強い人と、女の部分が強い人と。
男女を問わず実は20通りも30通りもあるのかもしれません
勝負!に臨むに「何を加えるかではなく何を棄てるかだ」との言葉を思いました。

> 「女として最後の炎が燃えるのかな~」と・・・
小説の世界に限らず、普通(当たり前)に女性はそう発想されるのでしょうか
「男として最後の炎」ってどういう時かなぁ・・・と漠然と思いました。

> 子供を奈落の底に落とすような思いをさせるなんて許せない・・・私はそう思いました。
> 残された子供はほとんど道をそれました。
奈落の底に落ちる思いは、棄てられた子にも棄てた人にも同様にあると思います。
そこからどう想像力(復元力)をいだくのか・・・。
容易ならざることを為す人はいるのだと思いましたし、
私の元同僚もその一人であったのだと思います。

> 私だったら会いに行けたかな?
> 軽々しく言えないのかもしれませんね・・・
会いに行けるだけの愛を注いだ父親があり
彼もまた会いに行けるだけの厚い人生を歩んできたのだと思います

「いままであまり言わんかったけど・・・」と言いながら
あまりに普通に淡々と語る彼ではありました。
京劇を観た帰り、「近々に書く」と言いましたので、
ここのコメント欄も含めて彼も読んでいると思います。
母親が背中を・・・ (デブと某医)
2014-06-27 15:25:01
himikoさん
コメントありがとうございます

> この話を読ませて頂いて一番徳の高い人は長男さんでしょうかと思いました。
彼とはリタイアするまでの5年間ともに仕事をしてきたことを誇らしく思います
その間、彼の生い立ちを聞いたことは一度もありませんでした。
お骨となって50年ぶりに現れた母親が彼の背中をそっと押したのでしょうか・・・。

> この後の人生が更に豊かで幸せであるようにお祈りします
退職後、『特になにもしていない』と言っています
彼が長年に亘り蓄積した経験と叡智を引継ぎ教え育てる仕事に就くことを願っています。
若い後輩たちのためにも彼自身のためにも・・・
話す機が熟す (デブと某医)
2014-06-27 15:43:02
和38さん
コメントお寄せくださり嬉しく存じます
ありがとうございました。

> 本当にあるんですね。。。読んでいて、涙が出ました。
一緒に仕事した5年間に一度も聞かなかった話です
私自身「こういうことって実際にあるんやなぁ」と思いながら聞いていました。
同席した他の4人も表情を改めて聞き入っていました。

どんな話のきっかけから彼の生い立ちを聞くことになったのか思い出せませんが、
彼の中では「話す機が熟す」ところがあったのだと思います。
この日(6/15京都)は、良き同僚に恵まれたことを改めて思い感謝した一日でした。
かずさん家のますますのご多幸とご活躍をお祈りします
Unknown (SORA)
2014-06-27 21:23:23
色んな人生がありますね。

近所にうちの子供と年齢の近い3兄弟がいました。(男の子ばかりの3人兄弟)一番下の子が3歳の頃、突然お母さんが3兄弟を残し家を出ました。
夕方、町内の公園で遊んでいる私の子供を呼びに行くと3兄弟がいつも羨ましそうに私達親子を見ていたその時の3兄弟の寂しそうな目、その時感じた胸が張り裂けそうな思いを未だに忘れられません。

その後、色んなことがありましたが3兄弟は立派に成長し成人しました。

私の周りでは、こういう出来事が結構あり
色々と見てきました。

そんな私の身近であった事と今回のお話しが重なりました。
子供を置いていった母親・・・
残された父親、子供・・・それぞれに違う苦しみがあったと思います。それぞれの立場になって その心中を思うと言葉にはならない感情でいっぱいになってしまいます。

人の数だけドラマがあります。
どんな境遇にあっても、誰もが物語の主人公です。
そのドラマをどう演出するかは、やはり主人公自身なのだと思います。

デ某さんのお友達の物語は、きっと素晴らしいものになるんだろうなぁ。そう思います。
お友達に  を贈ります。


私の母親は (花世)
2014-06-27 22:20:39
占い市によると再婚相手の男はサイテーの人と言われたのにもかかわらず
母は女として生きることを選んだんですよね。
母の連れ子として生きた私の人生は滅茶苦茶でしたよ。

親戚や施設をたらい回しされて小学校なんか5階も転校しました。
母のおばが私を引き取ってくれてやっと平安を得ましたが
そこも貧乏で・・・
私が道を外さずに生きてこられたのは、くよくよしない性格と
知り合いの占い師のおじいさんから 年いくほどお金には困らない生活できる運命だから頑張って生きろ!の言葉でした。

おかげ様で大きなお金に困る事はあっても、毎日の生活に心配ないのは有難いことだと感謝して生きています。
私の人生も波瀾万丈だったんですよ~

生活に困らない人は優しくなれるものなんです。
怨んではいない・・・ (デブと某医)
2014-06-28 01:58:42
SORAさん
いつも丁寧なコメント、ありがとうございます

> 近所にうちの子供と年齢の近い3兄弟がいました
> 一番下の子が3歳の頃、突然お母さんが3兄弟を残し家を出ました。
いつの時代にも絶えない出来事ですけど、すべてに様々な経緯があると思います
傷つかない人はいますまいし、各々にそこから歩んで行かれるのだと思います。

> そんな私の身近であった事と今回のお話しが重なりました。
> その心中を思うと言葉にはならない感情でいっぱいになってしまいます。
わが身わが目からしか推しはかれませんが、こころ揺さぶられずにはいません
私自身、小さい頃、父と母が諍いをすると母が家を出るような或る種の恐怖がありました。
現実にはありませんでしたが、疑似体験or仮想体験のようなことはありましたから・・・。

> どんな境遇にあっても、誰もが物語の主人公です。
> そのドラマをどう演出するかは、やはり主人公自身なのだと思います。
仕事の過程で、いわゆる施設の児と接したことがありました
不憫に思い、一人一人横に抱えスーパーマンのように飛ぶ「スーパーマンごっこ」をしたら、
十数人、小一時間ず~っとせがまれ、手が上がらなくなったことがあります。
親のいない日々の淋しさの底深さを垣間見ました。
その子たちが施設で育ち、やがて施設を出る時、
自らを励まし生きる力はついているだろうかと・・・暗澹たる思いがありました。

> デ某さんのお友達の物語は、きっと素晴らしいものになるんだろうなぁ。
彼からこのブログを読んだ旨のメールを頂きました。
故人に添える冊子に「ありがとう。感謝してるからな」と記したそうです。
「怨んではいない」ことだけはどうしても伝えたかったそうです。
夜も更けて (デブと某医)
2014-06-28 02:17:13
花世さん

花世さんの生い立ちに触れたコメントをいただき心がちぎれそうになりました。

> 母は女として生きることを選んだんですよね。
> 母の連れ子として生きた私の人生は滅茶苦茶でしたよ。
「辛酸を舐める」という言葉で表しえないご苦労をされたことと存じます
昔も、そして今は今で、幸せどころ生きることさえ拒まれる子どもたちの状況があります。
ここで記した私の元同僚は、そうした状況をなくすことに懸命に取り組みました。
生い立ちを聞き改めて彼のその姿勢に敬意を表したところです。

> 私が道を外さずに生きてこられたのは、くよくよしない性格と
> 占い師の・・・年いくほどお金には困らない運命だから頑張って生きろ!の言葉でした
> 私の人生も波瀾万丈だったんですよ~
生きる標となるものは何であれ貴重だと思います
花世さんのブログからは窺いしれないことに触れ、
花世さんの現在ある重さと幸せを思いました。
がんばって生きなくては!と、そんな当たり前のことをいま心底思う夜です(夜も更けました・・・)。

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