デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

吾輩も猫である 50 ( 眼科病棟記 その3 )

2014-04-24 00:31:13 | 吾輩も猫である
   

 猫生哲学について少し語ってみる

 病室と手術室の間は車椅子にのる。主人「いつかこの姿が日常の光景になる」って思ったかも。まぁそれくらいに自覚しておくのは妙に自信満々よりマシである。還暦過ぎれば、如何に自分を客観視し、如何に自分に引導を渡すか、それが最大の課題なのだ。

 鶴や亀は兎も角、人間は長生きである。最近は分子レベルで病の根源に迫り一層長寿化しつつある。吾輩ら猫はよく生きて20年、生きることに執着せぬ価値観をもっておる。寝てばかりいるように見えて「眠りとは生きたまま死ぬることなり」と悟っておる。

 人間も多かれ少なかれ遅かれ早かれ、事故で不自由になり病気で元気喪失し年老いて衰弱して初めて「生に執着しない」悟りに至る。事故も病気も老化も悪くない、寧ろ幸いである。であるからここ2~3年、にわかに主人を襲う病も幸いと思えばよろしい。

 変化の兆し

 吾輩の哲学的期待に応えたわけではあるまいが、主人に明らかな変化の兆しが見える。手術を終えた後しばらく安堵と満足感に浸っていたが、夜には眼の奥がじくじく且つ頭痛に襲われた。が、ベルで看護師さんを呼ぼうとしないのだ。ほほぉ、どぉした?

 「今夜はじ~っと耐えてみよう」と考えたところが第一の変化の兆し。じっと耐えていると身体は自然に休息を求める。TVを視るでも本を読むでもなく静かにベッドに横になる。それこそ心と身体が求めた意思である。消灯時刻より1時間早く眠りに就いた。

 翌朝は5時起床。頭痛は治まり眼の奥も前夜よりずっとマシの由。主人らしいと言うかなんと言うかパジャマを脱ぎ普段着に着替えた。カーテンを開け冷たい外気を呼びこんだ。ふと眼を東の空に向けるとオレンジ色に染まる朝焼けに見とれていた由。

   

 たとえ還暦を過ぎても

 術後3日間は首から上は洗えない。点眼薬も増える。抗炎症など5種を5分間隔で点眼する。薬と時間を間違えないようすべて看護師が立ち会う。随時、検温や血圧測定も入る。担当医の診察のほか数人の医師の診察、検眼がある。結構!忙しい入院生活だ。

 関西で言う「イラチ」の主人がそれを面倒がらない。看護師にも医師にもその都度!丁寧に礼を言う。そんな当り前のことを当り前にするのが、主人の第二の変化の兆し。そうしたことが衒いなくできる。人間、還暦を過ぎても変わる、変われる?ものだ。

 術後は順調で予定の2週間より6日繰上げて退院。細君「ついでやからあと6日入ってたら?」に主人もその気になりレジデントの女医さんに申し出た。しかし「カルテに退院日が記されてますし、室予約も入ってます」。そりゃ病院はホテルやないからなぁ。
                                 
   
                        或る日の病院食(夕食:707kcal)

 ではではご機嫌よう

 退院。挨拶を終えエレベータを待っていると、逆に入院される方がスーツケースをもって現われた。主人、つい8日前の自分の姿である。会計で請求書を見ると概ね年金1か月分。けして安くはないが、主人、「これだけの医療。高いとは言えん」と思った。

 帰ると、庭に咲き誇る花々に眼をとめた。主人にはかつてなかった光景である。一つ一つ、細君に花の名を訊く。まぁこれが第三の変化の兆し。玄関のドアを開けるや吾輩を呼ぶ。シマ!シマ!とうるさいこと。あんたが思うほど吾輩はあんたを想ってはいない。

 これにて主人のスポークスマンを終える。ご清聴、否、ご笑読に感謝申し上げる。なお、これまで頂戴したコメントには主人が逐一レスポンスしているが、吾輩からもお礼を申し上げる。そもそもここに書いたのは主人ではなく吾輩なのだ。ではではご機嫌よう!
                           
   
                 主人の家の庭 「猫の額」とはよく言ったもの

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6 コメント

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うるさくて・・・・ (michi)
2014-04-24 07:13:26
申し訳ございません。
楽しくてキッチリチェックさせて頂いております(笑)
「うん、うん・・・そのと~~~り」と
最後はイエ近い内に車椅子が自家用車になる時期が来るやも・・・
これは今から自覚されていた方が賢明かと。
私は長い事介護職に就いていましたので嫌と言うほど
その世界を見て来ました。
家族の嘆きも見て来ました。
今の時期にその感覚を得られた事は感謝ですね。
「イラチ」って私もよく使います。
私がイラチだからモタモタがストレスになります
でもその性格が車椅子に結びつかねないな~~と心配しているのですが
お互いゆったりとゆる~~い生活をおくりましょうね

奥様のお花に目がいく・・・いいですね
お花は目も心も癒してくれます
そしてしまじろう君。
さすが観察力ありますね。
文章もうまい。
そして何より癒してくれる。
何も言わないでそこに居てゴロニャンと言うだけで


最後に・・・辛い手術でも、手術出来る事に感謝されて下さいね(もうしてますよね)
私は手術出来ない・・・
2年前だったら完全右目は失明してたそうです。
今は認められて無いけど大腸癌に使う抗がん剤の「アバスティン」を眼球に注射する事でかなりの改善が。
データーを取ってる最中らしいです。
早くips細胞とやらで再生出来るようになって欲しいです。
まあ、今生では無理でしょうが

今回も長くなって申し訳ありません
以後気を付けます。
気まぐれシマちゃんと同じで来なくなる?
ほどほどにコメ入れましょうね(^_^メ)



気づき・・・ (デブと某医)
2014-04-24 10:43:25
michiさん

お早うございます。

> 楽しくてキッチリチェックさせて頂いております(笑)
いつもキッチリ!コメントくださりありがとうございます
時にやや暴走するシマの筆ですが、お見逃しください。

> 車椅子が自家用車になる時期が来るやも・・・今から自覚されていた方が賢明かと。
> 長い事介護職に就いていましたので嫌と言うほどその世界を見て来ました。
> 今の時期にその感覚を得られた事は感謝ですね。
父は認知症を患い、そのことに気がつくのに本人も家族も遅すぎました
ですから今、明日の私を見るように父の背中を見ています。

> 「イラチ」って私もよく使います。
> 私がイラチだからモタモタがストレスになります
> その性格が車椅子に結びつきかねないな~~と心配・・・
私は、案外!ゆったり(モタモタ)している方を好ましく思ったりします
こんな性格が車椅子にどう結びつくか自身興味津々・・・(笑)
michiさんも、さぁ~ なにが本当の自分か案外わからないものかもしれませんよ。

> お花は目も心も癒してくれます
これは今頃になって目覚めつつある感覚、オクテ!と言うべきでしょうか。

> そしてしまじろう君。さすが観察力ありますね。そして何より癒してくれる。
> 何も言わないでそこに居てゴロニャンと言うだけで
猫って奥が深いのか浅いのか・・・
シマは日をおって人間味をましツツアリマス、猫味ではなく人間味を・・・。

> 辛い手術でも、手術出来る事に感謝されて下さいね
> 私は手術出来ない・・・
眼に限らず総ての病気、ガンについてはとりわけそうですね
私の患った腎がんは、抗がん剤や放射線は効果がなく手術しかありません。
逆に言えば化学療法をしないため、副作用に苦しむこともありませんでした。
人生に限らず病気もまた総て「塞翁が馬」かもしれません。

> 2年前だったら完全右目は失明してたそうです。
> 早くips細胞とやらで再生出来るようになって欲しいです。
michiさんの思い・・・一言では著せない思いを感じました
医学の難しさとともに、一方に想像を超える進化進歩の速度もあります。
諦観と希望とを程よくもっていたいと思います。

> 今回も長くなって申し訳ありません
> 気まぐれシマちゃんと同じで来なくなる?
> ほどほどにコメ入れましょうね(^_^メ)
とんでもありません、なんどでもいくらでもお書きくださ~い
コメントをいただき読みレスをするたびに、
私自身あらためて「新しい気づき」に触れています。

The Righteous Brothers「Unchained Melody」を!
http://www.youtube.com/watch?v=Gk0eVqsZ9G8
Unknown (Anne)
2014-04-24 12:01:32
どこか具合が悪くなって色々と痛みや治療を経験するのは
自分を見つめるきっかけですよね!
私の場合は一人旅がそんな時間かなと思います。
海外でのひとり旅は周りは外国語!
いつも自分との会話です(^○^)
朝、目覚めてどこも痛くない今日に感謝!
旅でたくさん歩ける足に感謝!
こうしてこんな遠い異国に飛んで来ちゃえる時代に生きてることや、
それが出来る自由な国に生まれたことって素敵!
誰とも会話をしないって、逆に色々な考えが巡ってきます。
トイレでオチッコした時だって、口から水分が入ってから、たくさんの私の体がちゃんと働いて外に出てくる!
これって私の体って凄いヽ(^o^)丿
昆虫でも爬虫類でもなくて、人間で、日本で、この時代で!
初めて見る異国の景色が見えて、風を感じて、音が聞こえて!
感動でセンチになってウルウルしちゃったり(笑)
そんな自分を見つめる機会は誰かと会話しちゃうことが勿体ない!
多くの人はきっと忙しくて、そして誰かと一緒が多いから、
入院なんかの機会にきっとたくさんの自分と向き合うんだろうなあって思います。
きっと具合が悪くなるってことは、そんな気づきと時間をくれるんでしょうね!
体の痛みも、そして痛い治療も、気づきと治癒能力のサポートだから感謝ですね。
一人ゆっくり寝てる猫の方がしっかり考えているのかも(^_^;)
明日に架ける橋 (デブと某医)
2014-04-24 17:25:06
こんにちは! コメント、ありがとうございます。

> 色々と痛みや治療を経験するのは自分を見つめるきっかけですよね!
> 私の場合は一人旅がそんな時間かなと思います。
痛みや治療は「たびたび」経験したくありませんけど
一人旅ならなんどでも経験したいですね(笑)
そんな時は、ちょっと言葉がわからないぐらいがちょうど良いかもしれません。
英仏独は不自由せず五輪外交!と殆ど嫌味な某知事さんもいらっしゃいますが・・・。

> 目覚めてどこも痛くない今日に感謝! 旅でたくさん歩ける足に感謝!
> ・・・自由な国に生まれたことって素敵!
失うか失いかけるかすると気づくのですけどね
知らないことは一時は幸いとしても、やっぱり「知る」幸いには遠く及びません。

> 初めて見る異国の景色が見えて、風を感じて、音が聞こえて!
その感覚、感性は貴重ですね、なんどか繰返されると少しにぶりますけど・・・
外国のホテルやバスの中でふと聴く音楽に心をうたれことも・・・。
イタリア旅・・・長距離バスの中で聴いたグレゴリオ聖歌に涙がとまりませんでした。

> 多くの人はきっと忙しくて、そして誰かと一緒が多いから、
> 入院なんかの機会にきっとたくさんの自分と向き合うんだろうなあって思います
私、病院のベッドは人生で3回目、いつも未来より寧ろ来し方に向き合います。

> 一人ゆっくり寝てる猫の方がしっかり考えているのかも
それを言うと圭佑くんは兎も角、うちのシマジロウはいい気になります

Anneさんに「明日に架ける橋」をおくります。
http://www.youtube.com/watch?v=d1icujSV4o0

 P.S.つい今しがた結構大きな地震が・・・
おかえりなさい (花世)
2014-04-24 22:03:16
ちょっと昔夫の母の時は入院しましたが
最近は日帰りで出来るそうですね。
だけどそれも大変そうです。
入院してお薬をキチンと出してもらったり目薬だって
こぼれぬようさしてもらった方がいいような気がしましますし。

新緑の季節になり優しい緑が目にも優しいでしょうね。
Unknown (デブと某医)
2014-04-24 22:59:50
花世さん

こんばんは! コメントありがとうございます。

> 最近は日帰りで出来るそうですね。
> 入院してお薬をキチンと出してもらったり・・・
白内障のみの手術で、特にリスク要因がない方の場合は日帰り可!のようです。
尤も、化膿し再手術や失明に至るケースも結構!多いと聞きました。

私が入院した病院でも白内障のみの方は3日余りで退院されました。
手術の翌日からもう眼帯も外されていましたしね。
なお、白内障のみの手術で他に問題がない方の場合、
この病院では「急を要さない」とされ、手術は早くて半年待ち!だそうです。

> 新緑の季節になり優しい緑が目にも優しいでしょうね
はい。せいぜい緑を眺めて癒しといたします
リフォーム、なにかと大変でいらっしゃいますね。
それこそ若葉と花々を眺め楽しまれますように!

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