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サンマリノ神社宮司に聞く   欧州唯一の神社に奉職した神宮司善基さん

2024-04-30 11:52:26 | 特別インタビュー

サンマリノ神社宮司に聞く

欧州唯一の神社に奉職した神宮司善基さん

 


▲サンマリノ神社に奉職した神宮司宮司(右から2人目)らが神輿とともにサンマリノ市庁舎前の石畳の道を練り歩く(Press Walkerより)

 

ヨーロッパの石畳を神輿が練り歩く

「ワッショイ! ワッショイ!」
 そんな掛け声とともに神輿(みこし)が石畳を練り歩きます。日本ならどこにでもある光景ですが、見物人は外国人ばかり。それもその筈、ここは日本ではありません。どこかと言えば、ヨーロッパの小国、サンマリノ共和国でした。

 なぜヨーロッパの街中で神輿なのでしょうか。昨年6月24、25の両日、日本サンマリノ友好協会が主催した「サンマリノまつり2023」で、日本の祭りそのままに神輿が街中を練り歩いたというわけです。
 ちなみに、この神輿は東京・目黒の町会が寄贈したもの。寄贈先はというと、当地にあるサンマリノ神社です。何、神社? そう、あの神社です。ヨーロッパで唯一神社本庁に認可された、正真正銘の神社なのです。

 神社が創建されたのは、2014年6月のことでした。きっかけとなったのが、2011年に東北地方を中心に大被害をもたらした東日本大震災です。数多くの犠牲者を追悼するために、駐日サンマリノ大使のマンリオ・カデロ氏が中心になって神社の造営を計画、2014年6月21日にサンマリノで創建されました。鎮座式には、神社本庁の総長をはじめ、安倍晋三元首相の母・安倍洋子さんら約150人が参列しました。残念ながら安部元首相は2年前の7月8日に凶弾に倒れ、洋子さんは今年2月に95歳で亡くなられています。

▲サンマリノのカデロ駐日大使(右)と安部洋子さん(サンマリノ神社のHPより)

 

▲鎮座式で挨拶する安部洋子さん(サンマリノ神社のHPより)

 

▲安部洋子さんの右隣りが、外交評論家の加瀬英明さん(サンマリノ神社のHPより)

鳥居を通る神官と巫女(サンマリノ神社のHPより)


 昨年、フランチェスコ・ブリガンテ初代宮司の後を引き継ぎ、サンマリノ神社の二代目宮司に就任したのは、神宮司善基さん(38)。本ブログは神宮司さんにいろいろとお話を伺いました。(聞き手/本ブログ編集人・山本徳造)

 

▲2代目「宮司」の神宮司善基さん

 

■神宮司善基(じんぐうじ よしき)さんのプロフィール

昭和60(1985)年、東京・新宿生まれ。小3年から合気道、中1から柔道を始める。柔道2段。3年間の英国留学で、日本文化の素晴らしさを実感。神職資格を取得するために國學院大学北海道短期大学と出羽三山神社神職養成所で学ぶ。昨年、サンマリノ神社の2代目宮司に就任した。現在、花園神社(新宿)で修業中。「あのちゃん」の大ファン。

 

▲宮司に就任したときの神宮司さん(Press Walkerより)

 

―それにしても神宮司というお名前ですが、いかにも神社にふさわしいお名前ですね。先祖代々の神職の家系とか?
神宮司 いいえ、4代か5代前の祖先が諏訪大社(長野県)に奉職していたという話は聞いたことがありますけど…。

―その名字で困ったことは?
神宮司 そうですね、「神宮司」の「司」を「寺」と間違えられることがよくありました。高校時代に柔道部に入っていたんですけど、柔道着に名前を入れてもらうでしょ。「司」で名前を書いて柔道着をお願いしたら、「神宮寺」で来ちゃった。それで試合に出れなかったんですよ。

―えっ。ま、いずれにしても、いいお名前ですよ。ところで、柔道をされているとか。
神宮司 小3年から合気道、中1から柔道を始めたんです。

―柔道は何段ですか?
神宮司 2段です。英国留学から日本に戻ってから東京アメリカンクラブ(港区麻布台)でチャック・ウイルソンさんと一緒に日本在住の外国人児童に柔道を教えたりしていました。それから柔道整復師も3、4年やってました。

―宮司になろうと思ったきっかけは?
神宮司 ある日、親父と旅行に行ったんです。二人で温泉につかっているとき、親父から「将来、何をするんだ!?」とと聞かれたので、ついつい「海外で日本文化を広めたい」と答えてしまった。そう思っていたんでしょうね、だから自分でも「あっ、それだ!」と思ったんです。

―どうしてサンマリノ神社を選んだのですか?
神宮司 趣味のネットサーフィンをやっているとき、サンマリノ神社のことを知ったんです。でも、神社に奉職するためには神職の免許が必要でしょ。で、國學院大学北海道短期大学と出羽三山神社神職養成所で学び、結局、神職の免許を取るのに3年かかりました。

―それからすぐにサンマリノへ?
神宮司 まず東京に戻ってサンマリノ大使館に行ってカデロ大使に「サンマリノ神社に奉職するために神職の免許を取ってきました」と報告しました。正式に宮司に就任したのは去年です。例大祭に宮司就任のお祭りをしていただきました。

―サンマリノという国を知っている日本人はそんなに多くはないでしょう。
神宮司 でも、観光立国として有名なんです。2008年に「サンマリノの歴史地区とティターノ山」がユネスコ世界文化遺産に登録されました。

  イタリア半島の中部に位置するサンマリノは、世界で5番目に小さい国で、世界最古の共和国でもある。アドリア海を一望できるティターノ山の高台にあり、要塞や城壁が残る美しい街並みが有名。

―サンマリノ神社には社務所がないですね。
神宮司 本殿は小さいのがありますが、社務所はありません。でも、将来的には必要になるでしょう。参道の下にレストランがあるんです。そこ一部を借りられないかと、今、土地のオーナーと交渉中です。社務所があれば、直会(なおらい)でも使えます。また、地元の子供たちを呼んでワークスペース的なこともやってみたいですね。

ー今は現地に常駐されてないですけど、将来は?
神宮司 2年ぐらいもう少し勉強して、ちょうど40歳になる年に現地に移住しようかな。それまでは何かあるたびに現地に行くことにしていますが、それまでは花園神社で修業をしています。

―必ずサンマリノに行くのは、年に何回ですか?
神宮司 今のところ、年に一度の例大祭だけです。ただ、自分が向こうに行ったら、いろいろとお祭りをすることになるでしょう。今年、七五三の予約が入れば、やる予定です。

―ヨーロッパで七五三ですか。いいですね。
神宮司 イギリスにいたとき、仕事や結婚、留学などもろもろの理由でイギリスに住んでいる日本人と話をする機会があったんです。そういう人たちのから、「子供に日本文化の七五三とかお宮参りをさせてあげたい。けど、神社がないので、苦肉の策として、お寺や教会を神社に見立てて、やってる。でも、何か違う。何かしっくりこないんだよね」と。そのときは自分が神職になるつもりはなかったけど、そのことが頭の中にあったんです。結婚式もやりたいですね。ヨーロッパに住む日本人だけじゃなく、現地の人も対象です。

―どうしてサンマリノ神社でやろうと思ったのか。
神宮司 サンマリノって、観光立国なので、たくさんの観光客が来るんです。ヨーロッパ在住の日本が七五三やお宮参りでいちいち日本に帰るんじゃ、時間も交通費もかかる。しかし、イタリア、フランス、スイス、ドイツとかに住んでいる日本人なら、日本に帰る余裕はないけど、サンマリノだったら、「ちょっとサンマリノに出かけよう。そのついでに神社があるから、子供たちの七五三をやろう」というふうになるでしょ。

―うん、それはいい狙い目ですね。
神宮司 ええ、小さいながらもサンマリノ神社が心の拠り所にもなると思う。

―神社の近くに宿泊施設はあるのですか?
神宮司 近くにホテルが沢山ある。サンマリノは観光客が沢山来ますから。入国も簡単です。出入国のゲートもない。日本で言うと、県境みたいなものです。

―ところで神宮司さん、イタリア語は?
神宮司 私、3カ月間ボローニャの語学学校に通ったことがあります。教室ではイタリア語で一言一言話してたんですけど、一歩外へ出るとまったく通じない(笑い)。で、もう英語でいいや、と。サンマリノに限らず、ヨーロッパの人はけっこう英語できます。まったくできない人には、ほかのお客さんが通訳してくれるので、大丈夫です。

―ぶどう農園も敷地内に?
神宮司 そうです。そこでつくられたブドウでワインをつくっています。「ジンジャ・ワイン」という名です。すごい濃厚というか、軽くなくて美味しいですよ。ここでは日本酒ではなく、白ワインがお神酒(おみき)なんです。あとオリーブ農園もある。本来、榊(さかき)で使う常緑樹のは向こうにはなかなか手に入りにくいでしょ。オリーブの木は黄色くて、もともと神道の木とは違うんですけど、世界平和の象徴としても使われているので、オリーブもいいだろうと自分が判断して使っています。

―素晴らしい。郷に入れば郷に従えですね。ところで、ご家族は?
神宮司 私、まだ独身です。

―日本女性ではなく、向こうの女性と結婚するかもしれませんね。
神宮司 まあ、出来れば(笑い)。

(*インタビューは4月23日、東京・新宿で行われました。)


 神宮司さんは5月にサンマリノに向かう。5月25、26日の両日、サンマリノ神社で例大祭が予定されているからだ。今年はサンマリノ神社の創建10周年記念なので、新しいみ鏡を奉納する予定だという。


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