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焼き芋屋さんが閉店 【連載】腹ふくるるわざ㊴

2023-01-09 06:27:26 | 【連載】腹ふくるるわざ

【連載】腹ふくるるわざ㊴

焼き芋屋さんが閉店

桑原玉樹(まちづくり家) 

 

 

 

 焼き芋屋さんが閉店した。印西市の戸神。千葉ニュータウン中央駅から南へ約700m、畑の中にある小さな掘立て小屋の焼き芋屋さんだ。15年ほど前にできてからというもの、12月から3月までの金、土、日のお昼時だけ営業していた。


▲印西市戸神で人気の焼き芋屋さん

 

 当時たまたま通りかかって食べたところ蜜が多くてねっとりと甘い焼き芋に魅了された。以来、冬には昼食用に買いに行くようになった。時には売り物のみかんをもらったりしていた。孫娘も「おいしい・・・ケーキみたい」とニタニタしながら食べている。

▲ねっとり焼き芋

 

 開店当初、高齢の店主に聞いてみた。開店する前にいろいろ試されたそうだ。まず芋の種類。いろいろ試したが茨城にある農場の「紅はるか」が一番ということになって、その種芋を元に、近くの自分の畑で栽培しているそうだ。
 そして焼き方。石焼きやらも試したが、「壺やき」が一番。温度調節も苦心し、炭も厳選したとのこと。すべてが吟味した結果の味だったのだろう。近辺の焼き芋では群を抜いた感動の甘さだった。

▲つぼ焼き

 

 ところが昨日(1月7日)、「昼食に焼き芋を」と昼前に行ったところ、店が閉まっている。「諸般の事情により閉店しました」の張り紙が……。えーっ?
 今日改めて様子を見に行くと、壺焼きの壺をミニバンに積んだり、店の後かたずけをしている人たちがいる。様子を伺っていると、作業中の女性に話しかけられた。
「あのー、実は閉店したんですが……」
「ええ。昨日来た時に入り口の張り紙を見ました。気になって様子を見に来ました」
「私は店主の孫娘ですが、実は、おじいちゃんは年末に亡くなりまして」
「えーっ! 年末に芋を買いに来た時にはお元気でしたが」
「ええ。私たちもびっくりしたんですが、急に亡くなって。年末は葬儀場が混んでいて、実は今日が通夜なんです。84歳でした」
 この後も色々な思い出話をした。

▲閉店のあいさつ

 

 孫娘さんからは箱に詰めてあった本来なら売り物のリンゴをもらって帰ってきた。地域のSNSでも評判の焼き芋だった。贔屓にしていた方も多かったことだろう。心より哀悼の意を表したい。
(★1月8日に記す。写真は「We Love 印西」より)

 

 

【桑原玉樹(くわはら たまき)さんのプロフィール】

昭和21(1946)年、熊本県生まれ。父親の転勤に伴って小学校7校、中学校3校を転々。東京大学工学部都市工学科卒業。日本住宅公団(現(独)UR都市機構)入社、都市開発やニュータウン開発に携わり、途中2年間JICA専門家としてマレーシアのクランバレー計画事務局に派遣される。関西学研都市事業本部長を最後に公団を退職後、㈱千葉ニュータウンセンターに。常務取締役・専務取締役・熱事業本部長などを歴任し、平成24(2012)年に退職。現在、印西市まちづくりファンド運営委員、社会福祉法人皐仁会評議員。


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