介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第3820号 世界軸の転換と日本文明の未来(中谷 巌)

2010-07-30 20:27:54 | 地球→ドイツブログ
【夏休みに読む本】

『NARASIA 東アジア共同体?』(丸善)を買いました。

平城遷都1300年記念出版ということですが、この本の編集をしている松岡正剛からテレビで聞いていたのです。松岡自身、それからメンバーの中には、政府の枢要な立場にいた人やいわゆる「国家主義的な」人もいそうですが、避けて通れないテーマだと思いました。


その冒頭論文が、

中谷 巌

の表題の論文です。pp.16-27 


【中谷論文の骨子】

ジャック・アタリ(フランス人)『21世紀の歴史』

カール・ヤスパース(ドイツの哲学者)『歴史の起源と目標』

エマニュエル・トッド(フランス人)『帝国以後』

などの先学を援用しながら、

・ 世界は、アメリカ・EU・中国の3極が支配する。
・ 経済的には、日本は中国に圧倒的に依存するようになる。
・ 軍事面では、いわゆる「非核・非武装中立」も「再軍備」も現実的ではなく、さりとて、「(中国の)チベット化」のような事態を避けるには、アメリカとの軍事同盟に依存する方が危険は少ない。
・ 日本が、世界に不可欠な国となることで日本の存在感をたかめることはできる。


【中谷構想をどううけとめるか】

将来の軍事政策は、常識的な認識だけではなく、専門的な知識と状況判断がいるので、中谷氏の選択を評価する力量は私にはない。

「世界中の人々がひとたび日本を訪れたならば、一様に「すばらしい」と感嘆の声をあげるような穏やかで落ち着いた文化国家をつくりあげることをめざす」p.26

といっていますが、

認知症の高齢者を抱える家族、高齢者虐待、児童虐待、刑期を終えて社会に出てきた人の就労、若い人たちの就職難、介護現場の労働の過重な実態、学校や勤め先でのいじめ、公共交通機関での若者の無秩序、公務員の規律の弛緩(汚職や業務上のミスの頻発)、地域の商店街の疲弊、そして何よりも方向性を失った政治、目を覆うような低俗なテレビ番組・・・

はたしてどこをみれば、中谷氏のいうような「すばらしい」国への展望が開けてくるのだろうか?


【介護問題とひきつけて】

本書の特色として、
・ 中国や韓国の文化と日本とのつながり
・ 医療や文化の面での交流
・ 東アジアのローカル同士の交流

などの論文が用意されている。

介護問題への日本の現場の取組みの中に、東アジアがめざす方向があるのか?
小さくても、具体的な行動を起こすための方法は?

といったことを夏の間の宿題にします。
その第一歩として、明後日8月1日、横浜で、介護の第1線で働く人たちから現状を教わります。
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